Micron Q4 FY26 決算の重要発表まとめ — 需給は「2027〜28年がさらに締まる」へ、SCA 26件・RPO $150B、NVIDIA とカスタム HBM4E
Micron Q4 FY26 決算の重要発表まとめ — 需給は「2027〜28年がさらに締まる」へ、SCA 26件・RPO $150B、NVIDIA とカスタム HBM4E
Micron が 2026年9月30日(米国引け後)に FY26 第4四半期(FQ4)の決算を出した。売上は $54.23B、非GAAP EPS は $33.42 で、会社ガイドとコンセンサスをどちらも上回った。
数字の上振れ幅は前回より小さい。コンセンサス比のビートは、売上で前回 Q3 の +18.4% から今回 +5.4% に縮んだ。今回の決算の中身は、数字よりも 見通しと契約の開示 にある。需給の見通しを一段と強め、長期契約(SCA)と受注残(RPO)を積み増し、設備投資と研究開発を大きく増やすと表明した。
この記事では、公表された資料と2本の説明会から「今回新しく出たこと」「前回から変わったこと」を拾い、前回 Q3(6月24日)と並べる。訳文の全文は別の記事に置いた。
- FQ4 FY26 Prepared Remarks 全文和訳 — 事前に公表された説明会原稿(10ページ)
- FQ4 FY26 決算説明会 質疑応答 全文和訳 — 2本の説明会の質疑(質問者 5人+8人)
今回は説明会が2本あった。 CEO の Sanjay Mehrotra と CFO の Mark Murphy が出た 本番の決算説明会(原稿を読み上げてから質疑。質問者5人)と、Sanjay が欠席し、社長兼COO の Manish Bhatia、社長兼CTPO の Scott DeBoer、Mark Murphy が答えた 決算後のアナリスト向け説明会(質疑のみ。質問者8人)である。Motley Fool の書き起こしは後者で、Investing.com の書き起こしは前者だった。以下、出典を「本番」「アナリスト向け」と書き分ける。
1. 先に結論 — 今回の発表で大きいもの10個
- 需給の見通しを強めた。 前回の「暦年2027年以降もタイト」から、今回は「暦年2027〜28年は2026年より はるかに タイト」へ。前回あった「2028年に供給が徐々に改善」の一文は消えた
- 業界ビット成長率を2028年まで初めて示した。 DRAM は暦年2027・28年とも20%台前半、NAND は20%台半ばで、両年とも供給制約が続く。HBM は2028年まで通常の DRAM より速く伸びる
- SCA(戦略的顧客契約)は16件から26件へ。 2030年までの売上の35%超を占める。顧客の資金拠出は $22B から $32B、RPO は約 $100B から約 $150B に増えた。2031年まで続く契約も出てきた
- FY27 の出荷の75%超がコミット済み。 顧客との割当の協議は、すでに2028年分に移っている(本番・アナリスト向けの両方)
- 2027年の HBM は大部分を大幅値上げで契約済み。 通常 DRAM との粗利率の差が縮まる。NVIDIA とは業界初のカスタム HBM4E「NVHBM」に取り組んでいる
- FQ1 FY27 ガイドは売上 $61.5B ± $1.5B、EPS $38.15 ± $1.00。 コンセンサス($57.88B / $35.92)を売上で6.3%上回る。粗利率は約86.25% で、前四半期の 87.0% を下回る。経営陣は「FQ1 が FY27 の底」と言う
- FY27 の設備投資を従来計画から増やす。 上期だけで約 $25B、下期はそれ以上。増額の大半は建屋で、暦年2028年後半以降のクリーンルームを前倒しで用意する
- FY27 の営業費用は約 $2.5B 増える。 前回の見通しは約 $1B 増だった。研究開発の追加と、インセンティブ報酬の引き上げが理由である
- 株主還元を強める準備に入った。 12月9日から還元を増やし、自社株買いの承認枠(現在 $2.2B)の追加を近く求める。現金は FQ1 末に目標水準に届く見込み(本番)
- 経営体制が変わった。 Manish Bhatia が社長兼COO、Scott DeBoer が社長兼CTPO(最高技術・製品責任者)に就き、Sanjay は社長の肩書が外れた
2. 業績 — FQ4 FY26 と FY26 通期
FQ4 はガイドもコンセンサスも上回った
| 項目 | 会社ガイド(Q3 時点) | コンセンサス | 実績 | 前四半期比 / 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上 | $50.0B ± $1.0B | $51.47B | $54.23B | +31% / +379% |
| 非GAAP 粗利率 | 約86% | — | 87.0% | +210bp |
| 非GAAP 営業費用 | 約 $1.65B | — | $2.57B | +$1.1B |
| 非GAAP 営業利益率 | — | — | 82.3% | +110bp |
| 非GAAP EPS | $31.00 ± $1.00 | $31.82 | $33.42 | +33% |
| 税率 | 約15% | — | 15% | — |
- コンセンサスは発表直前(2026-09-30)の Koyfin の値で、サイトの決算モニターと同じものを使った
- 売上は6四半期連続の過去最高。GAAP では粗利率 86.8%、EPS $32.87
- ガイドを大きく外れたのは営業費用だけ である。全世界の全社員の FY26 インセンティブ報酬を引き上げたことと、地域社会への投資に $300M を拠出したことによる
DRAM と NAND — 価格の伸びは前回から大きく鈍った
| 売上 | 前四半期比 | 構成比 | ビット出荷(前四半期比) | 価格(前四半期比) | 前回 Q3 のビット / 価格 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| DRAM | $39.8B | +27% | 73% | 1桁台半ばの増加 | 10%台後半の上昇 | 1桁台前半の増加 / 60%台前半の上昇 |
| NAND | $14.1B | +42% | 26% | 約10%増 | 約30%上昇 | 1桁台半ばの増加 / 80%台半ばの上昇 |
価格の上昇は続いているが、ペースは前回の数分の一に落ちた。前回 Q3 の時点で会社は「FQ4 は価格上昇のペースがかなり鈍る」と予告しており、そのとおりになった。
事業部(BU)別 — Core Data Center が最大の事業部に
| 事業部 | 売上 | 前四半期比 | 構成比 | 粗利率(前四半期比) |
|---|---|---|---|---|
| Core Data Center(CDBU) | $18.0B | +56% | 33% | 90%(+290bp) |
| Cloud Memory(CMBU) | $16.3B | +18% | 30% | 83%(横ばい) |
| Mobile and Client(MCBU) | $13.1B | +14% | 24% | 90%(+260bp) |
| Automotive and Embedded(AEBU) | $6.8B | +47% | 13% | 84%(+470bp) |
- CDBU が CMBU を抜き、4つの事業部で最大になった。前年同期比は +1,042%(スライドにだけ載っている数字)
- CMBU の粗利率が横ばいなのは、価格の上昇を HBM の比率の上昇 が打ち消したからだと会社は説明している。HBM の粗利率が通常の DRAM より低いことを、会社自身が認めた形である
- MCBU はビット出荷が前四半期比で減った。それでも価格の上昇で売上は伸びた
FY26 通期
売上 $133.19B(前年比 +256%、前年の3.5倍)、非GAAP 粗利率 81.1%(前年比 +40pt)、非GAAP EPS $75.52(+811%)。DRAM の通期売上は初めて $100B を超えた($100.68B)。データセンター売上は前年の4倍になった。
3. ガイダンスと FY27 の見通し
FQ1 FY27 ガイダンス
| 項目 | ガイダンス(非GAAP) | 発表前のコンセンサス | 参考: FQ4 実績 |
|---|---|---|---|
| 売上 | $61.5B ± $1.5B | $57.88B | $54.23B |
| 粗利率 | 約86.25% | — | 87.0% |
| 営業費用 | 約 $2.06B | — | $2.57B |
| EPS | $38.15 ± $1.00 | $35.92 | $33.42 |
| 税率 | 約15.5% | — | 15% |
| 株数 | 約11.5億株 | — | 11.49億株 |
| 純設備投資 | 約 $11.5B | — | $10.77B |
コンセンサスは発表後(10月2日の Koyfin)に売上 $61.66B / EPS $38.22 へ引き上がった。
粗利率は FQ1 が底 — 約 $1B のコスト増を先に吸収する
ガイドの粗利率が前四半期の実績を下回るのは、今回が初めてである。理由は会社の説明では次のとおり。
- FY26 のインセンティブ報酬を FQ4 に引き上げた。そのうち製造に関わる分の大半は、FQ4 に在庫へ吸収された。その在庫が売れる FQ1 に、原価として出てくる
- FQ1 のコスト増は合計で約 $1B。大半がこのインセンティブ報酬で、立ち上げ費用なども含む(Mark Murphy、本番)
- FQ2 はこの影響が減るが、FY27 のインセンティブ報酬の引き上げで相殺される。FQ1 より後は粗利率が上がる。価格の上昇ペースはさらに緩やかになる
- FQ1 のガイドは、DRAM と NAND のどちらもビット出荷が前四半期比で1桁台の増加という前提に立っている(Mark Murphy、アナリスト向け)
FY27 通期の見通し
| 項目 | 今回(Q4) | 前回(Q3) |
|---|---|---|
| 売上 | 過去最高の年。毎四半期で前四半期比の増収 | — |
| 粗利率 | FQ1 が底。以降は上昇 | — |
| 営業費用 | 約 $2.5B 増(研究開発とインセンティブ報酬) | 約 $1B 増(研究開発) |
| 研究開発 | インセンティブ報酬を除いても、前年比で $1B を超えて増える(アナリスト向け) | 約 $1B 増 |
| 税率 | 約15.5% | FY26 は約15% |
| 設備投資 | 上期 約 $25B、下期はそれ以上。従来計画から増額 | 各四半期とも FQ4 を上回る |
会社は FY27 通期の設備投資額を示していない。上期約 $25B に「下期はそれ以上」を足すと $50B を超える。本番の説明会では、アナリストが「$50B 超」を前提に質問し、Mark Murphy は設備投資の売上比率は歴史的に低い水準だと答えた。
4. 需給の見通し — 前回からの変化
| 項目 | 前回 Q3(6月24日) | 今回 Q4(9月30日) |
|---|---|---|
| 全体の表現 | 暦年2027年以降もタイト("remain tight beyond calendar 2027") | 暦年2027〜28年は2026年よりはるかにタイト("much tighter in calendar 2027 and 2028 than they were in 2026") |
| 需給が均衡する時期 | 2028年に供給が徐々に改善。ただ追いつく時期は見通せない | 「2028年に改善」の一文が消えた。顧客から新たな上積みの要請もあり、均衡に戻る時期は見通せない |
| 業界 DRAM ビット出荷 | 暦年2026年: 20%台前半〜半ば | 2026年: 20%台半ば、2027年・2028年: 20%台前半(両年とも供給制約) |
| 業界 NAND ビット出荷 | 暦年2026年: 約20% | 2026年: 20%台前半、2027年・2028年: 20%台半ば(両年とも供給制約) |
| HBM | — | 2028年まで通常の DRAM より速く伸びる |
| サーバー台数 | 暦年2026年: 10%台後半 | 2026年・2027年とも 10%台後半 |
| PC・スマホ | 台数は減るが業界売上は伸びる | 台数は 2桁減もありうる が、高価格帯が牽引して業界売上は伸びる |
- 概要スライド(p.4)とプレスリリースは「fiscal 2027 and 2028」、市場見通しのスライド(p.16)は「calendar 2027 and 2028」と書いており、表記が揺れている。ビット成長率はすべて暦年ベースである
- 供給が伸びない理由として、Manish Bhatia は4つを挙げた。ノード移行で得られるビットが細っていること、HBM の比率が上がること、HBM4・HBM4E では1ビットを作るのに要るウエハーがさらに増えること(トレードレシオの上昇)、そしてクリーンルームの不足である。アイダホで初回のウエハーを出してから、意味のある量になるまで数四半期かかるという(アナリスト向け)
- 需要側では、エージェント型 AI が CPU で走ることで LPDRAM・DDR・SSD の需要を押し上げていると Manish は説明した(アナリスト向け)。Sanjay は、顧客がメモリの搭載量を抑える「デスペック」をしているのは、台数を多く出すための最適化だと説明した(本番)
5. 長期契約(SCA)と RPO
| 項目 | 前回 Q3 | 今回 Q4 |
|---|---|---|
| 締結数 | 16件 | 26件(Q4 中に10件) |
| カバー率 | 締結済み16件で DRAM 数量の約20%、NAND 数量の約3分の1 | 2030年までの売上の35%超(売上ベースに変更) |
| 顧客の資金拠出 | $22B | $32B(大半は現金預託) |
| RPO(残存履行義務) | 約 $100B | 約 $150B |
| 価格の枠組み | 大口契約は暦年 Q2 の市場価格を上限に、下限価格を設定 | SCA 売上の 4分の3に価格の枠組み(その大半は上限と下限のある価格帯)。残る4分の1は市場価格で定期的に交渉 |
| 契約期間 | 通常5年(2026〜2030年)、自動車は3年 | 2031年まで続く契約 を新たに締結し、既存の2件を2031年まで1年延長 |
| 新規交渉の価格 | — | 足元の市況を織り込んだ より高い価格 で交渉 |
- RPO は、価格の枠組みが決まっている SCA だけを、最低数量と最低価格で計算した数字である。会社は「本質的に保守的」で、契約期間の売上は RPO を大きく上回ると言う。下限価格でも、過去のどのサイクルのピークより高い利益率になるという説明は前回から変わらない
- カバー率の物差しが、前回の「数量」から今回の「売上」に変わった。そのため、2つの数字を並べて「上がった」「下がった」とは言えない
- 最終的な目標は2030年までの売上の約50%で、変わらない(Sanjay、本番)。新しい顧客も含めて、供給の柔軟性は残しておくという
- ビット量で見ると、SCA は2030年までの DRAM の35%を少し下回り、NAND は少し上回る(Manish、アナリスト向け)
- FY27 の出荷の75%超がコミット済み である。SCA と SCA 以外の合計で、年単位で取引する大口顧客を含む。SCA 以外の顧客からも、すでに2027年分の発注が来ている(Sanjay、本番)
- 顧客から受け取った現金預託は、FQ4 中の受け取りが $12.3B、期末の残高が $12.7B。使途の制限はなく、各契約期間の後半にかけて返す。財務キャッシュフローに計上するため、フリーキャッシュフローには入らない
6. HBM — 2027年分は値上げで契約済み、NVIDIA とカスタム HBM4E
- 暦年2027年の HBM ビット供給の大部分を、前年比で大幅に値上げして契約済み である。通常の DRAM との粗利率の差が縮まる。2026年の価格は前年に交渉したもので、値上げは暦年2027年の初めに効く(Sanjay、本番/Manish、アナリスト向け)
- FQ4 の HBM 売上は、全社売上(前四半期比 +31%)より速く伸びた。HBM4 の立ち上げは順調だとするが、前回出した「HBM4 の売上が $1B 超」のような金額は今回は出していない
- NVIDIA と組み、業界初のカスタム HBM4E「NVHBM」に取り組んでいる。 次世代の GPU と NVLink Fusion のプラットフォームに採用される予定である。Scott DeBoer は、NVIDIA と1年以上共同で設計してきたと述べ、「市場に出る初の本格的なカスタム HBM」と位置づけた(アナリスト向け)
- HBM4E のベースダイ(積層の土台のチップ)は、HBM4 のような自社製ではない。カスタム品も JEDEC 標準品も、ファウンドリのプロセスで作る(Scott、アナリスト向け)
- HBM のシェアは特定の目標値を追わず、「DRAM 全体のシェア前後」を目安にする。HBM の市場規模(TAM)の見通しは今回は更新しない(Manish、アナリスト向け)
7. データセンター・PC・スマホ・フィジカル AI
- データセンター SSD の売上はほぼ $10B になった。前回 Q3 は「$5B 超」で、前年同期の10倍を超え、NAND 売上の3分の2超を占める。用途として、推論の KV キャッシュの退避先(オフロード)を明記した。暦年2026年は、データセンター SSD で5年連続のシェア過去最高を見込む
- サーバー向け LPDDR の SOCAMM 製品群の売上は、前四半期比で2倍超になった(プレスリリース)
- 業界初の 512GB DDR5 RDIMM(最大 9,200 MT/s)のサンプル出荷を始めた(プレスリリース)
- FQ4 の MCBU 売上の半分近くを、最新の 1γ(1ガンマ)DRAM の製品 が稼いだ。フラッグシップのスマホ向けに、6チャネルの 1γ LPDDR5X を出荷した
- フィジカル AI の搭載量を初めて数字で示した。レベル4以上の自動運転車は、メモリが200GB超、ストレージが数TB に達する。どちらも、いまのレベル2+やレベル3の車より1桁以上多い。人型ロボットも同程度になる見込みである。1γ の LPDDR6 を、複数のフィジカル AI の市場にサンプル出荷した
- 技術ノードでは、1γ DRAM と G9 NAND が現在最大の生産ノードになった。次世代ノードは暦年2027年後半に量産を始める。Scott は、中国勢に対して少なくとも2ノード先行していると述べた(アナリスト向け)
- 中国向けの売上は、FY27 に1桁台%になる見込み である(Manish、アナリスト向け)
8. 製造拠点と設備投資
| 拠点 | 前回 Q3 | 今回 Q4 |
|---|---|---|
| アイダホ ID1 | 暦年2027年半ばに初回のウエハー | 変わらず |
| アイダホ ID2 | 暦年2028年後半 | 変わらず |
| ニューヨーク 1棟目 | 2026年1月に起工 | コンクリート打設の節目。初回のウエハーは暦年2030年 と初めて明示 |
| 日本(広島) | 計画どおり | FQ4 に DRAM 工場拡張の 起工式。初回出力は暦年2028年後半で、ノード移行を支える。地名「広島」はスライドの写真の見出しにだけ出てくる |
| 台湾(銅鑼) | 暦年2027年半ばに意味のある出荷 | 変わらず |
| シンガポール HBM パッケージ | 2027年前半から寄与 | クリーンルームの準備が 計画より前倒し。初回出力は暦年2027年初め |
| シンガポール NAND 新工場 | — | 建設は計画どおり。暦年2028年後半に出力開始 |
- 設備投資の増額は、過半が建屋(建設)に向かう。DRAM のクリーンルームが足りず、SCA によって2030年代までの需要が見えているからだと説明した。既存のクリーンルームから多く作るため、装置の支出も一部前倒しする
- 装置は、そのときの需要の動向に合わせて入れる。建屋が先行するのは、装置が手に入らないからではない。新しい工場の立ち上げに時間がかかるからだという。装置メーカーとは長期の供給契約を結んで、装置を押さえている(Mark・Manish)
- 建屋への投資の比率が高い状態は、2027年より先も続く(Mark、アナリスト向け)
9. 財務と株主還元
| 項目 | FQ4 FY26 |
|---|---|
| 営業キャッシュフロー | $43.97B(売上の81%) |
| 純設備投資 | $10.77B |
| 調整後フリーキャッシュフロー | $33.20B(FY26 通期 $62.31B) |
| 現金・有価証券 | $73.48B(過去最高) |
| 負債 / ネットキャッシュ | $5.2B / $68.3B |
| 在庫 / 在庫日数 | $10.4B / 129日(前四半期比 +9日) |
| 格付け | FQ4 中に2社が格上げ。大手3社すべてで BBB+ 相当 |
| 配当 | $0.15/株(10月29日支払) |
- 還元の拡大: CHIPS 法の確定契約に署名してから2周年の 2026年12月9日から還元を増やし、いずれは余剰現金の100%を還元する。ここまでは前回と同じ方針である
- 自社株買いの承認枠は現在 $2.2B で、近く追加を求める。 還元は主に自社株買いで行う。現金は FQ1 末までに目標水準にほぼ届き、FQ1 のフリーキャッシュフローは FQ4 の $33B を大きく上回る(Mark、本番)
- FY26 の自社株買いは $650M(250万株)で、FQ4 はゼロだった(スライド p.28)
- 在庫日数が増えたのは、生産を終えるノードの製品を作り置いたことと、製造関連のインセンティブ報酬が在庫に入ったためである。在庫日数は今後下がる見込み
10. 人事と開示の形
- 社長職を2つに分けた。 Manish Bhatia(社長兼COO)は事業部と全世界のオペレーションを率い、営業損益に責任を持つ。需要から供給までを一貫して見る。Scott DeBoer(社長兼CTPO)は技術・製品の組織と、全社の旗艦研究拠点 Micron Research Labs を率いる。発表は8月で、Sanjay の肩書は「会長・社長兼CEO」から「会長兼CEO」になった
- 説明会を2本立てにした。 本番は Sanjay と Mark が原稿を読み上げて質疑に入った。もう1本は Sanjay 抜きで、技術と事業運営の責任者が直接答える形だった。読み上げた原稿は、事前に公表した PDF と実質的に同じだった
- 会社の旗印が「AI の時代」から「Super Intelligence(超知能)の時代」に変わった
- 前回のガイダンスに付いていた「通商・地政学の影響はガイダンスに含めない」という注記が、今回の資料には無い
11. 数字を読むときの注意
- FQ4 は14週の四半期で、FY26 は53週の年度である。 決算期の日付(2026年5月29日〜9月3日)から数えた週数で、3つの資料のどこにも週数は書かれていない。前四半期比の +31% には、日数が約8%多いことの効果も含まれる
- 特許ライセンス費用 $500M が、非GAAP の調整項目に新しく加わった。相手先や中身の説明は無い
- RPO の約 $150B が期末時点の値か、期末後に結んだ契約を含むかは書かれていない。10-K で確かめる必要がある
- 顧客の預託金には数字が4つある。FQ4 中の受け取り $12.3B、期末残高 $12.7B、FY26 の財務 CF 上の受け取り $12.75B、貸借対照表の非流動の顧客契約負債 $12.9B である。拠出の約束 $32B のうち、受け取り済みは4割ほどになる
- 書き起こしには聞き取りの誤りがある。たとえば Investing.com 版の Sanjay の発言は、データセンター SSD の売上を「$10 million」としている(正しくは約 $10B)。Motley Fool 版の要約欄は SCA のカバー率を「生産ビットの35%」としているが、公式資料は「売上の35%超」である。本記事の数値は、公式資料(プレスリリース・スライド・Prepared Remarks)を優先した
参考 — 株価の反応
決算前日(9月30日)の終値は $1,065.11 で、翌10月1日の終値は $1,097.39(+3.03%) だった。時間外の反応は小さく、翌日は金利の上昇で朝方に売られたあと切り返した。
データソース
- 決算プレスリリース(Form 8-K Exhibit 99.1)— 損益、BU 別業績、キャッシュフロー、ガイダンス、製品ハイライト。→ SEC EDGAR
- 決算スライド(51ページ)— → Micron IR(PDF)
- Prepared Remarks(10ページ)— → Micron IR(PDF)
- 本番の決算説明会の書き起こし — → Investing.com
- 決算後のアナリスト向け説明会の書き起こし — → Motley Fool
- 前回 Q3 との比較 — FQ3 FY26 の Prepared Remarks・決算スライド・プレスリリース。和訳は FQ3 FY26 Prepared Remarks 全文和訳
- コンセンサスと株価 — Koyfin(発表前 2026-09-30、発表後 2026-10-02)と Yahoo Finance。サイトの決算モニター(
MU.json)と同じ値