メモリ3社は5年で生産能力をどれだけ増やすのか|数字で倍増を約束しているのはSK hynixだけである
メモリ3社は5年で生産能力をどれだけ増やすのか
SK hynixが「今年の需要は倍になった」「生産能力を作るには4〜5年の準備が要る」「5年以内に能力を倍にするが、それでも顧客の需要には足りない」と語っている。同じ趣旨の増産計画を、Samsungも Micronも持っている。では3社はそれぞれ、5年で何をどれだけ増やすつもりなのか。
当サイトがこれまでに調べた各社の設備投資記事と、保持している四半期の能力推計を突き合わせ直した。
結論
- 5年後の生産能力を枚数で公表しているのはSK hynixだけである。DRAMのウェハ投入能力を、月55万枚から2030〜31年に月100万枚へ倍増させる。SamsungとMicronが出しているのは投資金額と単年の目標で、5年後の能力は数字になっていない
- 当サイトの四半期推計で2028年末まで積み上げると、2025年末比の増加率はSamsung 33%、SK hynix 31%、Micron 65%である。3年ぶんの視界では、どこも倍増していない
- 韓国政府が掲げる「5年以内にメモリ生産能力を倍増」も、2社の合計で見ると2028年末時点で32%増にとどまる。倍増の大部分は2029〜31年の後ろ2年に置かれている
- 枚数が増えても、汎用DRAMはほとんど増えない。韓国2社の増分は65〜80%がHBMに吸われる。逆にMicronは増分の73%が汎用へ向かう
「5年で倍増」を数字で言ったのは誰か
まず、3社の約束の質がそろっていないことを押さえたい。同じ「5年で増やす」でも、検証できる数字を出しているところと、金額しか出していないところがある。
投資金額は、能力の代理指標にならない。同じ1兆円でも、更地に新棟を建てるのか、既存クリーンルームの空きスペースに装置を入れるのか、既存ラインを次世代ノードへ転換するのかで、出てくるウェハの枚数はまったく違う。ライン転換にいたっては、装置の入れ替え期間中はむしろ生産が止まる。
SK hynix:月55万枚を月100万枚へ
3社のうち、能力拡大のロードマップが最も具体的なのはSK hynixである。
SKグループの崔泰源会長は2026年6月2日、台北のCOMPUTEXで記者団に対し、ウェハ生産能力を今後5年で倍増させると明言した。韓国のThe Elecによれば、同社は主要サプライヤーに対して、世界全体のDRAMウェハー投入能力を現在の月約55万枚(中国・無錫工場の約20万枚を含む)から2030〜31年に月100万枚前後へ増やす計画を示している。
ここで注意が要る。これは会社が投資家向けに正式開示した能力ガイダンスではなく、装置会社などへ提示されたとされる業界ロードマップである。それでも起点の月55万枚は、当サイトが持つ四半期データ(2026年Q1に54万枚、Q2に56万枚)と整合する。起点も着地も数字で確認できるという点で、3社のなかで唯一この計画だけが検証可能になっている。
工場ごとの内訳はこうなる。
| 拠点 | 何が起きるか | 時期 |
|---|---|---|
| 清州M15X | 月4万枚を立ち上げ、翌年に月8万枚へ | 2026年後半〜2027年 |
| 龍仁 第1工場 | 最初の区画への装置搬入。以後おおむね半年ごとに月6万枚ずつ | 2027年2月〜 |
| 龍仁 第1工場(完成) | 6区画すべてが埋まって月36万枚 | 2030年上期 |
| 清州M17(NAND) | 着工から稼働まで。約80兆ウォン | 2027年着工・2029年上期稼働 |
| 龍仁 第2〜4工場 | 第4工場は最初のクリーンルームの建屋完成目標が2033年 | 2030年代 |
崔会長が言う「4〜5年の準備期間」は、この表がそのまま裏づけている。龍仁は2027年2月に装置搬入が始まるが、6区画が埋まるのは2030年上期である。着工から数えれば、さらに前に躯体工事の年月が乗る。
同社の年次設備投資も積み上がっている。2023年の6.6兆ウォンから、2024年に約15兆ウォン、2025年に30.2兆ウォン、2026年は約40兆ウォンへ向かう見通しだ。中長期の投資枠は龍仁600兆ウォン、清州100兆ウォン、韓国南西部400兆ウォンで、合計1,100兆ウォンに達する。ただしこれは数年以内に全額を使う確定予算ではなく、需要と市場環境を見ながら段階的に執行される構想である。
→ SK hynix Plans to Double DRAM Wafer Capacity by 2030-2031(The Elec)
→ SK Hynix Plans to Double Capacity to Ease Memory Chip Crunch(Bloomberg)
Samsung:金額と、単年の目標だけ
Samsung電子は2026年に、全社の設備投資と研究開発費を合わせて110兆ウォン超を投じる方針である。半導体工場の設備投資だけの数字ではなく、全社の研究開発費を含む点に注意したい。加えて2026年6月30日の政府との覚書では、メモリ工場2棟と国家AIコンピューティングセンターなどを含む425兆ウォンが計上されている。
能力そのものについて同社が語っているのは、いずれも単年の話である。
- HBM向けウェハー投入能力を、2025年末の月約17万枚から2026年末に月約25万枚へ、約5割増やす(電子新聞の業界取材)
- 最先端の1cナノ世代DRAMを、既存ラインの転換と平沢P4への装置追加により2026年末までに月産20万枚の体制にする
この2つは足し算できない。SamsungのHBM4はメモリダイに1c DRAMを使うため、HBMの25万枚と1cの20万枚は相当部分が重複している。
長期の拠点としては、半導体不況期に建設が止まっていた平沢のメガファブP5が2026年に躯体工事を本格再開した。6つのクリーンルームの階が3層ある巨大な工場で、会社が示す量産開始目標は2028年である。ただしSamsungは、米テキサス州のTaylor工場で累次の延期を重ね、量産が2027年へずれ込んだ実例も自分で持っている。
つまりSamsungについては、5年後に何枚になるかを会社の言葉で確認する材料が存在しない。金額と、単年の目標と、工場の量産開始年しかない。
Micron:金額と、米国内の比率で語る
Micronの語り口はSamsungとも違う。同社が出しているのは投資金額と、地理的な比率である。
2026年7月9日に更新された米国投資構想では、2035年までのファブ・研究開発・技術投資に2,500億ドル超を投じる(従来の約2,000億ドルから増額)。長期的には同社のDRAM生産量の4割を米国内で作ることを目標とする。最大約64億ドルのCHIPS法直接補助契約も締結済みで、各プロジェクトの進捗と条件達成に応じて支給される。
Micronの特徴は、工場ごとの初回ウェハ時期を細かく開示している点にある。
| 拠点 | マイルストーン | 時期 |
|---|---|---|
| アイダホ第1工場(ID1) | 最初のDRAMウェハー | 2027年半ば(従来の2027年後半から前倒し) |
| 台湾 銅鑼P5(旧Powerchip) | 意味のある規模の出荷 | 2027年半ば |
| シンガポール HBM後工程 | パッケージング能力への寄与 | 2027年前半 |
| アイダホ第2工場(ID2) | 最初のウェハー。HBMパッケージングを米国内へ | 2028年末 |
| シンガポール NAND新工場 | 最初のウェハー | 2028年後半 |
| 広島 新クリーンルーム | 製造装置の搬入開始。投資約1.5兆円 | 2028年後半 |
| ニューヨーク州クレイ | 第1工場の供給寄与 | 2030年以降 |
この表を「5年後の能力」に変換することはできない。各拠点が何枚を担うのかが開示されていないからだ。ただし時期の分布ははっきりしていて、2027〜28年に初回ウェハが集中し、ニューヨークだけが2030年以降に置かれている。
→ Micron Accelerates U.S. Investments, Pours First Concrete at New York Fab
積み上げると、3年で3割である
会社の言葉ではここまでしか分からないので、当サイトが持っている四半期の能力推計で積み上げてみる。この系列は2028年Q4までしか伸びていないため、5年ではなく3年ぶんの視界になる。
数字にすると次のとおりである。単位は月間のウェハ投入能力(300mm換算)で、いずれもDRAM全体である。
| 会社 | 2025年Q4 | 2028年Q4 | 3年の増加 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|
| Samsung | 69万枚 | 92万枚 | +23万枚 | +33% |
| SK hynix | 52万枚 | 68万枚 | +16万枚 | +31% |
| Micron | 34万枚 | 56万枚 | +22万枚 | +65% |
| CXMT(参考) | 20万枚 | 50万枚 | +30万枚 | +150% |
| 世界合計 | 196万枚 | 298万枚 | +102万枚 | +52% |
3社のなかで最も速いのはMicronである。ただしこれは、絶対量の少ない会社が既存拠点の増強と買収した工場の立ち上げを重ねているためで、増分そのものはSamsungの23万枚とほぼ同じである。
そしてSK hynixの数字が、会社ロードマップとの距離を示している。2025年Q4の52万枚から2028年Q4の68万枚まで、3年で16万枚のペースだ。この傾きの延長では2030〜31年の月100万枚に届かない。2028年末の68万枚から、残り2年で32万枚を積む必要がある。直近3年の2倍のペースである。
これは推計が間違っているという話ではなく、龍仁が2030年代を通じて立ち上がり続けるプロジェクトだということの裏返しでもある。第1工場の6区画が埋まって月36万枚に達するのが2030年上期で、能力の積み上がりは後ろに寄っている。
韓国政府の「5年で倍増」との距離
韓国政府は2026年6月30日、SamsungとSK hynixとの投資覚書にあわせて、5年以内に韓国のメモリ生産能力を倍増させるという政策目標を掲げた。電力・用水などの基盤インフラ整備費を最大100%支援し、産業団地の造成期間を5年以内に短縮し、龍仁ですでに進む産業団地の最終工場完成を最大12年前倒しする、という支援策とセットである。
この目標を当サイトの推計に当てはめるとこうなる。韓国2社のDRAMウェハ能力は、2025年Q4の121万枚から2028年Q4の160万枚へ、32%増える。倍増するなら242万枚が必要なので、2028年末の時点で82万枚が足りない。
つまり政府目標が達成されるとしても、その大半は2029〜31年に起きることになる。「5年以内に倍増」という言葉から、来年再来年に供給が倍になる情景を思い浮かべると、時期を2〜3年早く読み違える。
なおこれは政策目標であって、会社の計画ではない。産業団地の造成期間短縮のような環境整備は政府が実行できるが、クリーンルームに装置を入れるかどうかを決めるのは各社である。
→ 半導体メガクラスター構築の前倒し、および5年以内のメモリ生産能力倍増に向けた総合支援策(韓国産業通商資源部)
増えたウェハは、どこへ行くのか
ここまでは枚数の話だった。しかし投資家が知りたいのは、市場に出てくる製品の量である。両者の間には、もうひとつ大きなずれがある。
HBMは積層とパッケージの工程で歩留まりが落ちるため、同じビット数を作るのにDDR5の約3倍のウェハ生産能力を消費する(Micron公表値)。HBM4世代では約4倍になる。したがって、増えたウェハがHBMに向かうほど、市場に出るビットの増え方は鈍る。
当サイトの推計を分解すると、3年間の増分の行き先はこうなる。
| 会社 | HBM向けの増分 | 汎用DRAMの増分 | HBMの割合 |
|---|---|---|---|
| Samsung | +15万枚 | +8万枚 | 65% |
| SK hynix | +12万枚 | +3万枚 | 80% |
| Micron | +6万枚 | +16万枚 | 27% |
SK hynixの汎用DRAM能力は、2026年Q4に月40万枚、2028年Q4も月40万枚で横ばいである。総能力は増えるのに、増分がHBMに吸われて汎用には回らない。スマホやPCに載るメモリの逼迫が長引く理由は、この配分にある。
逆にMicronは増分の73%が汎用へ向かう。米国内の新工場が先端DRAM中心である一方、既存ラインの増強と買収した台湾拠点が汎用側を押し上げるためだ。
この数字を読むときの注意
最後に、ここまでの数字を扱うときの前提を4つ書いておく。
1. 枚数とビットは違う。 微細化が進めば、同じウェハ1枚から取れるビットは増える。したがって「ウェハ能力が3年で31%増」は「販売可能なビットが31%増」を意味しない。実際にはビットのほうが速く増える。一方でHBMへの配分が進めばビットの伸びは鈍る。2つの効果が逆を向いているので、枚数だけ見ても製品の量は決まらない。
2. 数字の身分が違う。 この記事に出てくる数字は、実績(2025年Q4付近)、当サイトの推計(2026〜28年)、業界ロードマップ(SK hynixの2030〜31年)、政策目標(韓国政府)が混ざっている。会社が投資家向けに正式開示した能力ガイダンスは、このなかに1つもない。
3. 投資枠は予算ではない。 SK hynixの1,100兆ウォンも、Micronの2,500億ドルも、Samsungの425兆ウォンも、期間内に全額を使う確定予算ではない。需要と市況を見ながら段階的に執行される構想である。逆に言えば、需要が続く限り上振れる余地もある。
4. 内訳の合計が総計と合わない箇所がある。 SK hynixの2025年Q4は、HBM向け16万枚と汎用37万枚の合計が総計52万枚を1万枚上回る。丸めによるもので、図3の増分は内訳ベースの15万枚で示した。
そして冒頭のSK hynixの発言に戻ると、「5年以内に倍増させるが、それでも顧客の需要を満たすには足りない」という言い方は、供給側の数字と矛盾しない。倍増するのは2030〜31年であって、その手前の3年で積み上がるのは3割である。需要が今年倍になったのだとすれば、その差は当分埋まらない。
補足Q&A:この3社を市場でどう持てるのか
ここまでは供給側の話だった。以下は主題から外れるが、同じ3社を投資対象として見たときに前提が変わった点があるので、Q&A形式で補足しておく。2026年7月に2つの変化があった。
Q. 3社をまとめて買えるファンドはあるのか
Roundhill Memory ETF(ティッカー DRAM)がある。 Cboe上場のアクティブ運用で、2026年4月2日設定、純資産は約220億ドル、経費率0.65%。DRAM・NAND・HBMを手がける企業に投資する。2026年8月11日時点の保有はこうなっている。
| 保有 | 比率 | 形態 |
|---|---|---|
| 米国債(T-Bill 09/08/26) | 27.81% | 現物 |
| Samsung Electronics | 24.67% | 現物18.43 + スワップ6.14 + 優先株0.10 |
| Micron Technology | 26.02% | 現物2.59 + スワップ14.71 + スワップ8.72 |
| SK hynix | 20.85% | 現物15.23 + スワップ5.14 + ADR 0.48 |
| Seagate / Western Digital / SanDisk / Kioxia | 16.79% | 現物 |
| CXMT | 4.85% | 全額スワップ |
| Nanya / Winbond / GigaDevice / Phison / Macronix | 6.75% | 現物 |
3社で約72%を占める。ただし中身を開けると、素直な株式ポートフォリオではない。
Q. なぜMicronの現物が2.59%しかないのか
税制上の分散要件を通すためである。 米国のETFは「RIC(規制投資会社)」の資格を保たないと、ファンド段階と投資家段階で二重に課税される。その要件が2つある。
- 単一発行体は総資産の25%まで
- 5%を超える銘柄の合計が50%まで
- 現金・政府証券・他のRICはこの計算から除外される
このファンドは3社に72%を集中させる設計なので、現物だけでは通らない。そこでトータルリターン・スワップを使う。税法上、スワップは想定元本ではなく時価で評価されるため、名目で26%のエクスポージャーを持ちながら、分散テストの分子はほとんど消費しない。
保有構成には、その手つきがそのまま出ている。SamsungとSK hynixは現物を25%未満(18.43%と15.23%)に抑え、超過分だけをスワップで足している。ここで5%を超える現物を合計すると、Samsung 18.43 + SK hynix 15.23 + Seagate 5.02 で38.68%になる。50%枠の残りは11ポイントしかない。ここにMicronを現物26%で入れると64.7%となり50%テストに落ち、単独でも25%を超えて二重に失格する。
だからMicronが丸ごとスワップに逃がされた。Micronが選ばれたのは評価が低いからではなく、米国上場でスワップの流動性が最も高く、合成に振り替えるコストが一番安かったからだろう。設計の順序は「3社集中が先、税制を通すために誰かを合成にする必要があり、Micronが最も安く済んだ」である。
T-Bill 27.81%も二重の役割を持つ。スワップの担保であると同時に、政府証券として分散テストの計算から除外されるため、テストのバッファーとして効く。
運用会社自身がこの手法を公表しており、同社の他のファンド(マグニフィセント・セブン等加重のMAGSなど)でも同じ構造を使っている。特殊な操作ではなく、集中型ETFでは一般的な設計である。
→ The RIC Advantage: Exploring Tax Benefits in ETF Structuring(Roundhill Investments)
Q. スワップで持つと、投資家は何を引き受けることになるのか
3つある。
1つめはカウンターパーティリスク。 Micron相当の26%のうち23.43ポイントは、Micron株ではなく金融機関に対する債権である。2本のスワップに分かれているのは信用集中を避けるためだ。日次の値洗いと担保でカバーする設計だが、リスクがゼロになるわけではない。CXMTの4.85%も全額スワップである。
2つめは経費率に出てこないコスト。 トータルリターン・スワップは「参照資産のトータルリターン − 資金調達コスト」を受け取る契約なので、このファンディングコストは経費率0.65%に含まれない。実質コストは表面より高く、差はトラッキングの劣後として現れる。設定から4か月で純資産220億ドルまで膨らんだファンドなので、スワップのキャパシティが逼迫すればスプレッドは広がる。
3つめは税務上の足場。 IRSはスワップの発行体を誰とみなすかについて明確な立場を示しておらず、この構造はその曖昧さの上に立っている。現時点で合法かつ一般的な手法だが、解釈次第で覆りうる種類の設計である。
Q. SK hynixは米国市場で直接買えるのか
2026年7月10日にNASDAQへADRを上場した(ティッカー SKHY)。 149ドルで177.9百万ADRを発行し、調達額265億ドルは外国企業による米国での史上最大の売出しとなった。10 ADRが原株1株に相当する。初日終値は168.01ドル(+13%)、2026年8月13日終値は164.65ドル、52週レンジは124.80〜194.80ドルである。
これは投資家にとって前提の変化である。「韓国株は買いにくいからETF経由で持つ」という理由が、SK hynixについては消えた。Samsungには現在もADRがなく、CXMTは上海STAR市場で外国人のアクセスに制約がある。ETFが個別では代替しにくい価値を提供しているのは、この2社のほうになった。
→ SK hynix Lists ADRs on NASDAQ(SK hynix Newsroom)
Q. 「業界を丸ごと買えば、どこが勝つかを気にしなくていい」は成り立つか
汎用DRAMでは概ね成り立ち、HBMでは崩れる。
シェアの奪い合いだけなら、業界全体の利益プールは変わらない。誰が勝つかを外しても、サイクルの上昇は取れる。この論理が効くのは、製品が同質で価格が需給だけで決まる汎用DRAMである。
一方でHBMは、利益プールそのものを膨らませている。そして配分が極端に偏っている。Counterpoint Researchの推計では、2026年第1四半期のHBMシェアはSK hynix 58%に対しSamsung 21%である。業界全体を持つと、この偏在は平準化される。ETFは「利益プールの拡大」を取る道具であって、「偏在した超過利益」を取る道具ではない。
本文で見たとおり、供給側の数字もこの構図を裏づけている。SK hynixは3年間の増分の80%をHBMに振り向け、汎用DRAM能力は2026年Q4から2028年Q4まで横ばいに置いている。これはHBM価格が続く限り最も報われる配置であり、崩れたときに最も逃げ場がない配置でもある。逆にMicronは増分の73%が汎用へ向かう。同じ「メモリ株」でも、賭けている対象が違う。
なお本節は事実関係の整理であって、特定の銘柄やファンドの売買を推奨するものではない。数字はいずれも記載時点のもので、ETFの保有構成は運用者の判断で変わる。
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- DRAM工場能力ページ — 本記事の四半期推計の元データ