memory-makersメモ

韓国「品目別×旬報」半導体輸出データはどこから来るのか

結論(先に)

ジュカン(@jukan05)が毎旬出している「DRAM / NAND / MCP / SSD / DRAMモジュール の 1〜10日・1〜20日累計」の輸出データ。これを自前で取れないかと、관세청 tradedata.go.kr の内部APIをログイン済みブラウザから直接叩いて調べた。結論はこうなった。

  • 品目別×旬(1〜10日・1〜20日)を返す無料の公式API・公式リリースは存在しない。
  • 関税庁の公開データは「品目別だが月次」と「旬だが半導体合計どまり」の2系統に割れていて、両方を兼ねる経路が無い。
  • ジュカンの数字の大元は確かに관세청の「통관기준 잠정치(通関ベース暫定値)」。ただし品目別の内訳は、証券リサーチ(SK증권 한동희・메리츠증권)が관세청の通関ミクロデータをHSコードで集計したもので、ジュカンはそれを英訳して再投稿している。

つまり「品目別の数字が分からない」のではない。数字は毎旬公表されている。分からない=できないのは「관세청の無料APIから自分で品目別×旬を取得する」ことだった。

きっかけ

韓国SNSで出回る「メモリ半導体(全国)」「DRAMモジュール(全国)」「SSD(全国)」のチャート。凡例が 輸出確定値(黄)/ 10日(緑)/ 20日(オレンジ)/ 月末 + 単価(線) の旬報3段積み上げになっていて、しかも品目別。これと同じものを /memory-makers/korea-chip-exports の品目別チャート(今は全部「確報」の黄色バー)にも入れたい、というのが出発点だった。

ジュカンが2026年6月1〜20日について出した数字はこうだ。

  • DRAM(モジュール含む): +342% YoY, +3% MoM
  • フラッシュメモリ(NAND): +336% YoY, +28% MoM
  • SSD: +405% YoY, +25% MoM
  • MCP(HBM): +209% YoY, +51% MoM
  • MLCC: +24% YoY, +23% MoM
  • 半導体製造装置: +38% YoY, +43% MoM

絶対値は韓国の証券アナリスト経由で「DRAM 74.6億ドル / DRAMモジュール 43.9億ドル / NAND 12.2億ドル / MCP 73.4億ドル / SSD 27.8億ドル(6月1〜20日)」と出ていた。これだけ品目ごとに増勢が違う(DRAM +342% に対し MCP +209%)以上、合計を按分した推計ではなく、本物の品目別データだ。

確かめたかったこと

  1. いま動いている Chrome 拡張機能は、品目別×旬を取れる状態になっているか
  2. 取れていないなら、관세청のどのAPIを叩けば品目別×旬が取れるのか

拡張機能は tradedata.go.krretrieveTrade.do を**月別固定(priodKind: "MON")**で叩いていた。つまり「品目別の月次」は取れているが「品目別の旬」は最初から取っていない。だから後者の経路探しが本題になった。

関税庁の公開データは2系統に割れている

ログイン済みのブラウザから内部APIを直接 fetch して、レスポンスとフロントのJSを突き合わせた結果がこれ。

エンドポイント粒度旬(1〜10/1〜20)過去遡及入手
① 確定 貿易統計retrieveTrade.doHS品目別❌ 月/年のみ無料
② 暫定 旬報retrieveTentativeValues.doMTI 10대 품목(半導体合計)無料
③ 보도자료「1〜20일 잠정치」customs.go.kr主要品目(半導体は合計1行無料
④ 証券リサーチSK증권 한동희 / 메리츠品目別×旬有償/会員

① 確定統計(retrieveTrade.do)— 品目別だが月次、しかも約1.5ヶ月遅れ

HSコードを指定すると品目別の輸出額・輸出重量が月次で返る。ただし期間の指定は年別か月別の2択だけで、フロントのJSにも priodKindYEAR / MON しか実装されていない。日別・旬別のパラメータは存在しない。

しかも確定統計には約1.5ヶ月のラグがある。2026年6月22日時点でDRAMモジュール(HSK 8473.30.4060)の2026年全月を照会すると、返ってくるのは 2026年1月〜5月だけ。6月は単発で叩いても FAIL。「6月1〜20日の品目別」をここから取ることはできない。

② 暫定旬報(retrieveTentativeValues.do)— 旬だが半導体合計どまり

「10일 단위 잠정치 통계」画面が使うエンドポイント。これが旬報3段の正体だった。priodDate を空にして月を指定すると、1回の呼び出しで「01〜10日」「01〜20日」「月末」の3行が返る。過去月も遡れる。たとえば2025年5月の半導体(輸出)はこうだった。

  • 1〜10日累計: 3,417,924千ドル(≈ $3.42B)
  • 1〜20日累計: 7,265,549千ドル(≈ $7.27B)
  • 月末: 13,929,723千ドル(≈ $13.93B)

これはまさに旬報3段。ただし返ってくる列は 전체(総額)+ MTI 10대 품목(半導체・철강・승용차…)固定で、DRAM列もNAND列も無い。hsSgn(HSコード)を付け足しても無視され、半導体合計のまま。レスポンスに uprId / lwprId というドリルダウン用のキーがあったので「半導体→DRAM/NAND」に降りられないか試したが、ドリルダウンは固定10品目の中での見た目の展開だけで、HS品目には降りなかった。

③ 公式보도자료 — 半導体は1行

관세청が出す「2026년 6월 1일〜20일 수출입 현황 잠정치」の本文・別添。これは前のセッションで添付の hwp をテーブルのセルまで含めて全文抽出済みで、디램(DRAM)・낸드(NAND)・SSD・모듈(モジュール)・메모리(メモリ)はいずれも0件。半導体は「반도체」合計の1行しか載っていない。公式リリースに品目別の内訳は無い。

では品目別×旬はどこから来るのか

①②③をいくら組み合わせても、品目別×旬は無料では出てこない。残った可能性は「誰かが関税庁の通関ミクロデータをHSコードで集計している」だった。

X を横断検索して出所が見えた。品目別×旬の数字を最初に出しているのは韓国の証券リサーチだ。

  • SK증권 반도체 한동희(テレグラム)が「6월 1〜20일 반도체 수출액 잠정치 DRAM 74.6억달러、DRAM 모듈 43.9억달러、NAND 12.2억달러、MCP 73.4억달러、SSD 27.8억달러」と絶対値で出す
  • @jun89320(Ai Acceleration)が한동희リサーチを 상순(1〜11日)・중순(1〜20日)・月末でチャート付きに毎旬投稿(MCP 含む全品目で最も体系的な開示元。本ページの品目別旬データはここから収集)
  • 메리츠증권が DRAM 輸出単価などを出す
  • ジュカン(@jukan05)がそれを英語で再投稿し、YoY/MoM とチャートを添える

そして、その品目別の内訳の大元は 관세청の「통관기준 잠정치」のHS別ミクロデータ。これは公式UIには出てこない層で、最も整合的なのは 한국무역통계진흥원(KTSPI、관세청傘下で tradedata.go.kr の運営元)の「무역통계 교부서비스」経由だ。KTSPI の事業の柱は「무역통계 작성・교부」で、HSコードと期間を指定して通関データを交付(提供)する有償の資料申請サービスがある。通関データは速報性が高いので、「HS 8542.32.1010 の6月1〜20日」のような申請をすれば品目別×旬が返る。証券会社はこの一次ソースを契約で引いていると見るのが自然だ。

「출처は관세청 통관 잠정」という説明は正しく、同時に「無料の公式UI・APIには品目別×旬は無い」という検証結果とも矛盾しない。両方とも本当だった。データは確かに存在し、取れる。ただし自分で品目別×旬を一次取得するには、証券会社と同じく KTSPI の有償交付を契約する必要がある、というのが正味の答えだ。

なお無料の公開ルートをもう一つ確認した。data.go.kr の「관세청_시도별 품목별 수출입실적」OpenAPI は HS品目別だが、更新周期は1ヶ月(毎月15日頃に前月まで現行化)=月次・約1.5ヶ月遅れで、日別・旬別の照会は持たない。tradedata.go.kr の確定統計と同じ層で、速報性は無い。

何が無料で取れて、何が取れないか

  • 半導体合計の旬報3段(過去月も)← retrieveTentativeValues.do。ページ最上段のチャートが既に使っている
  • 品目別の月次(確定)retrieveTrade.do。約1.5ヶ月遅れ。拡張機能で取得済み
  • 品目別×旬 ← 無料の公式API・公式リリースには無い。叩く先が存在しない

したがって「拡張機能で品目別×旬を自動取得する」ことは、関税庁の無料APIの範囲では原理的にできない。一方で、品目別×旬の数字そのものはジュカン/SK증권が毎旬公開しているので、それを取り込めばチャートは作れる。

このサイトのチャートをどう作るか(選択肢)

  1. 公表値を取り込む(現実解): ジュカン/SK증권/메리츠が毎旬出す品目別の絶対値を取り込む。出所は「証券リサーチ集計の통관 잠정치」と明記する。半自動でX横断検索から拾える
  2. KTSPI の有償交付を契約: 한국무역통계진흥원の「무역통계 교부서비스」で、証券会社と同じHS別 통관 잠정を一次ソースとして引く。確実だが有料・契約手続き・運用コスト
  3. まず無料分だけで作る: 「半導体合計の旬報3段」+「品目別の月次確定」だけで描画し、品目別×旬は保留

どれを採るかでデータパイプラインが変わる。当面は 1 を軸に、過去の積み上げ履歴をどこまで遡るか(直近月だけか、2026年フルか)を決めるのが次の論点になる。

出所・注記

  • 品目別旬の体系的開示元(한동희リサーチ・상순/중순/月末・MCP含む): → @jun89320(Ai Acceleration)
  • ジュカンの6月1〜20日ポスト: → 元ポスト(@jukan05)
  • 関税庁 보도자료「2026년 6월 1일〜20일 수출입 현황 잠정치」: → 관세청 보도자료一覧(customs.go.kr)
  • 関税庁 무역통계ポータル: → tradedata.go.kr
  • 한국무역통계진흥원(KTSPI、教付サービスの運営元): → ktspi.or.kr
  • 公共데이터포털「관세청_시도별 품목별 수출입실적」OpenAPI(無料・月次・約1.5ヶ月遅れ): → data.go.kr OpenAPI
  • 内部APIの挙動(retrieveTrade.do / retrieveTentativeValues.do)は、ログイン済みブラウザのコンソールから直接 fetch して確認した実測値に基づく。数値は千ドル単位の生レスポンスを $B 換算したもの。
  • 品目別×旬の数値は証券リサーチ(SK증권 한동희・메리츠증권)が公表したものを引用しており、관세청の公式발표値(잠정치)とは集計者・タイミングが異なるため数%ズレうる。