メモリの輸出単価が割れ始めた — DRAM単体とSSDは反落、HBM・NANDは続伸(2026年6月)

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メモリの輸出単価が割れ始めた — 2026年6月の品目別 $/kg を読む

6月の品目別確報を眺めていて目に留まったのは、金額よりも単価($/kg)の割れ方だった。2026年に入ってから全品目が一直線に上がってきた輸出単価が、6月に初めて「続伸組」と「反落組」に分かれた。

先に結論を書くと、この割れ方はAIサーバーへの近さの序列になっている。AIサーバーの中核に近い品目ほど上がり続け——MCP(HBM)+12.3%、サーバーに挿さるDRAMモジュール +8.3%、エンタープライズSSD向けが強いNAND +9.4%——反落した2品目(DRAM単体 -3.6%・SSD -5.7%)はどちらもPC・モバイルなどコンシューマー寄りの要因で説明がつく。つまり「AIサーバー向けは全然下がっていない。緩み始めたのはコンシューマー側」というのが6月のシグナルになる。HSコードは用途を区別しないため、AIサーバー向けはMCPとDRAMモジュールを代理指標として見るしかないが、その2つが最も強い伸びを保っている。

品目別の輸出単価(5系列)

6月の単価スコアボード

品目6月単価 $/kg前月比前年同月比判定
MCP(HBM含む)$94,142+12.3%2.1倍続伸
DRAM(チップ単体)$74,706-3.6%6.1倍初の反落
NAND$62,150+9.4%5.5倍続伸
DRAMモジュール$49,353+8.3%5.9倍続伸
SSD$21,113-5.7%4.1倍初の反落

前年同月比を見れば分かるとおり、この1年のメモリ輸出の伸びは異常で、DRAM単体の単価は1年で6倍になった。その急坂が、6月に品目によって傾きを変えた。

そもそも DRAM と DRAMモジュールは何が違うのか

通関統計では別の品目として数えられている。

  • DRAM(HSK 8542.32.1010): メモリチップ単体。集積回路(HS 8542)として通関する。スマホ・グラボへの直接実装や、モジュール組立向けに出荷されるダイ・パッケージ品
  • DRAMモジュール(HSK 8473.30.4060): DRAMチップを基板に複数実装した完成部品(サーバー向け RDIMM、PC向け UDIMM 等)。HS分類上は「事務用機器の部品」(HS 8473)側に落ちるため、集積回路の統計には含まれない

単価の水準差($74,706 vs $49,353)は品質の差ではなく分母の重量の差で説明できる。モジュールは基板・コネクタなど「メモリでない部分」の重量が乗るため、kg あたりの金額が薄まる。だから2系列の単価は水準ではなく傾きで読む。

なぜ割れたのか — 重量 × 価格に分解する

輸出単価 = 金額 ÷ 重量なので、動く理由は「販売価格」と「製品ミックス(何を積んだか)」の2つしかない。品目ごとに分解するとこうなる。

DRAM単体(-3.6%): 価格ラリーの一服が最初に出る場所

重量は 147.4t → 149.6t とほぼ横ばいで、ミックス要因は薄い。つまりこれは素直に価格の頭打ちを映している。市況側の観測とも整合していて、コンベンショナル DRAM の契約価格は 4-6月期に約 +74%(前四半期比)と暴騰したあと、6月は「緩やかな上昇」に減速したとされる(Bernstein の月次メモ等)。→ 参照ポスト(@pequityresearch)

ここで効いてくるのが前回の記事でも触れた事実で、この1年の DRAM 輸出金額の伸び(+387.6%)は重量 -20.6% の中で起きた、ほぼ純粋な単価ドリブンだった。つまり単価が止まると金額も止まる構造で、実際6月の DRAM 輸出金額は前月比 -2.2% と、単価とセットで足踏みした。

SSD(-5.7%): 単価の反落は「価格崩れ」ではなくミックスの匂い

SSD は重量が 177.5t → 244.4t(+38%)と跳ねた月に単価が下がった。物量が急増して単価が下がるパターンは、普及帯(低容量・クライアント向け)の比率が上がったときの典型的な形になる。市況では 4-6月期の NAND 製品はモバイル NAND・SSD 主導で +70〜80% 級の値上がりが観測されており、エンタープライズ SSD は NAND 系の中でむしろ強い側とされているので、「SSD 価格が崩れた」と読むより「安いものをたくさん積んだ月」と読むほうが筋がいい。来月の重量と単価の組み合わせで答え合わせできる。

NAND(+9.4%)と MCP(+12.3%): 需給の逼迫がそのまま単価に乗る側

  • NAND 単体は 6月も契約価格が上昇継続(+0.3〜3.7% 前月比)とされ、輸出単価 +9.4% はそれにミックス改善が乗った形
  • MCP(HBM含む)は重量 +17.3% と単価 +12.3% の両方が伸びた。物量が増えながら単価も上がるのは、MCP の中身が HBM に置き換わっていくミックス改善が主導していることを示す。HBM は AI 需要でサプライヤーが生産能力を HBM 側へ再配分し続けており、逼迫が単価に乗る構図が続いている

DRAMモジュール(+8.3%): サーバー向けの強さ

モジュールは重量 157.7t → 216.2t(+37%)と物量も跳ねながら単価も上がった。市況ではサーバー DRAM モジュールのスポット価格が 6月に +6.1〜26.4%(前月比)と観測されており、AI サーバー向け RDIMM の強さと整合する。チップ単体の単価が一服しても、モジュールに組んでサーバーに挿さる側はまだ値上がりしている——という川上と川下のズレが6月の面白いところだった。

まとめ: 6月は「単価の一枚岩」が終わった月

  • 2026年前半のメモリ輸出は全品目が単価ドリブンで一直線に伸びてきたが、6月に DRAM単体・SSD が初の反落MCP・NAND・モジュールが続伸と割れた
  • DRAM単体の一服は契約価格ラリーの減速と整合し、単価ドリブンだった金額の伸びに直結する。次に鈍るのはどの品目かを単価で先読みするのが、この統計の使い方になる
  • 単価は「価格 × ミックス」の合成なので、1ヶ月の反落で結論を出さない。特に SSD はミックス要因が濃厚で、7月確報(8月15日頃)が答え合わせになる

チャートの続きは 韓国の半導体輸出ページ の品目別セクションで毎月更新している。


注記: 単価は関税庁(KCS)수출입무역통계の輸出金額 ÷ 輸出重量の計算値(HSK・수리일基準・全国計)で、製品ミックスの変化を含む。市況(契約・スポット価格)への言及は X 上のアナリストメモ・TrendForce 引用ポストの要約であり、確定値は各一次資料で確認すること。