加法定理を1枚の紙で導く。斜辺1の直角三角形を折ると sin(α+β) と cos(α+β) が同時に読める

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加法定理を1枚の紙で導く。斜辺1の直角三角形を折ると sin(α+β) と cos(α+β) が同時に読める

手元に、四角形に切った紙を折り目で三角形に分け、辺の長さを書き込んだ写真がある。 斜辺1の直角三角形をもう1つの角で2回切り分けると、横幅が sin(α+β)、高さが cos(α+β) になり、加法定理(角の和の三角関数を、それぞれの角の三角関数で表す公式)が2本同時に読める。 この記事では写真の図を描き直し、図の作り方と読み方を順に書く。

先に結論

図1の図形から、次の2本が出る。

  • sin(α+β) = sin α cos β + cos α sin β
  • cos(α+β) = cos α cos β − sin α sin β

横幅を2通りに測ると1本目、高さを2通りに測ると2本目になる。 図の中の①から④は、切り分けてできた4つの辺の長さである。

斜辺1で頂角αの直角三角形の2辺 cos α と sin α を、それぞれ角βで直角三角形に分けた図。横幅が①+②で sin(α+β)、右の辺③から左の辺④を引いた高さが cos(α+β) になる
図1: 横幅は①+②で sin(α+β)、右の辺③から左の辺④を引いた高さが cos(α+β)

図は α = 40°、β = 30° で描いたが、以下の話はαとβが鋭角で、α+β が 90° より小さければそのまま成り立つ。

図の作り方

斜辺1、頂角αの直角三角形を置く

まず、斜辺の長さが1で、一方の鋭角がαの直角三角形を用意する。 斜辺が1なので、αに接する辺は cos α、αの向かいの辺は sin α になる。 図1では角αの頂点を右上に置き、斜辺1を左下へ、辺 cos α を真下より少し左へ伸ばしている。 この三角形が図1の白い部分で、直角の頂点は底辺の上にある。

辺 cos α を斜辺にして、角βの直角三角形を切り出す

次に、右上の頂点で、辺 cos α と鉛直線のあいだに角βをとる。 辺 cos α を斜辺とし、鉛直線と底辺を2辺とする直角三角形ができる。 斜辺が cos α で頂角がβだから、鉛直の辺は cos α cos β(③)、底辺は cos α sin β(②)になる。 図1の右下の薄いグレーの三角形がこれである。

辺 sin α を斜辺にして、もう1つ角βの直角三角形を切り出す

残る辺 sin α にも同じことをする。 辺 sin α は辺 cos α と直角に交わる。 辺 cos α が鉛直線からβだけ傾いているので、それと直角に交わる辺 sin α は水平線からβだけ傾く(鉛直線と水平線も直角なので、傾く角は等しい)。 図1の底辺の途中に書いた角βがそれである。 辺 sin α を斜辺、底辺と左の鉛直線を2辺とする直角三角形ができる。 斜辺が sin α で底辺との角がβだから、底辺は sin α cos β(①)、左の鉛直の辺は sin α sin β(④)になる。 図1では左下の薄いグレーの三角形にあたる。

ここまでで、図1の全体は、底辺が①+②、右の辺が③、左の辺が④の四角形になった。 上の辺は元の斜辺1である。

図の読み方

右上の頂点に注目する。 斜辺1と辺 cos α のあいだがα、辺 cos α と鉛直線のあいだがβなので、斜辺1と鉛直線のあいだは α+β である。 長さ1の線分が鉛直線から α+β だけ傾いているのだから、その水平方向の幅は sin(α+β)、鉛直方向の高さは cos(α+β) になる。 図1でマゼンタの矢印で示した2本がこれだ。

同じ幅と高さを、切り分けた辺で測り直す。

  • 水平方向の幅は、左端の頂点から右の辺までの距離で、底辺の①+②に等しい。よって sin(α+β) = sin α cos β + cos α sin β。
  • 鉛直方向の高さは、右上の頂点から左端の頂点の高さまでの距離である。右の辺の全長③から、左端の頂点が底辺より高い分④を引けばよい。よって cos(α+β) = cos α cos β − sin α sin β。

同じ長さを2通りに測って等号で結んだだけで、計算らしい計算はしていない。 sin の公式が足し算で cos の公式が引き算になる理由も、図に出ている。 幅は2つの底辺を並べて足すが、高さは右の辺から左の辺のぶんだけ引く。

この図が使える範囲

図1は、αとβが鋭角で α+β が 90° より小さい場合の図である。 α+β が 90° を超えると cos(α+β) が負になり、左端の頂点は底辺より下に来るので、この図のままでは読めない。 一般の角に広げるときは、単位円上の2点の距離から cos(α−β) を出す証明のほうが素直で、鋭角の場合を図で納得したあとに教科書で確かめればよい。

#数学#三角関数#加法定理#図解