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ひとり社長の経費と節税実践11の手法

注意: 本記事の数値基準は2024年時点の税制に基づく。税制改正により変更される可能性があるため、最新の法令を確認すること。

経費と節税の基本

経費の税務上の定義、節税と脱税の境界線を明確にし、「お金が残る節税」と「お金がなくなる節税」の違いを解説。

経費の定義と判断基準

DO:

  • 事業との関連性がある支出を経費として計上する
  • 仕事とプライベート兼用のものは合理的な基準で按分計算する
  • 売上に対応する原価、販売費、一般管理費を正しく経費計上する

DON'T:

  • 事業関連性のない個人的支出を経費に入れる(スーツ代、腕時計等)
  • 領収書のない支払いを経費計上する
  • 使途秘匿金(出所不明の支払い)を経費にする

💡 WHY: 経費(損金)は法人税法第22条で「売上原価、販売費、一般管理費その他の費用」と規定されており、事業関連性が必須要件となる。


節税・申告漏れ・脱税・租税回避行為の区別

DO:

  • 節税=法律に則った合法的な税金軽減を実施する
  • 申告漏れ(ミス)は速やかに修正申告で対応する

DON'T:

  • 二重帳簿、意図的な売上除外、架空経費計上を行う(脱税)
  • 通常のビジネスでは用いない異常な取引形態で税負担を減らす(租税回避)
  • 故意に申告内容を操作する

💡 WHY: 脱税には重加算税(35〜45%)が課せられ、イメージ低下による売上減少、刑事罰(10年以下の懲役・1,000万円以下の罰金)のリスクがある。

📊 数値基準:

  • 過少申告加算税: 追加税額の10〜15%
  • 重加算税: 追加税額の35〜45%
  • 刑事告発基準: 脱税額おおむね1億円程度

決算直前の購入と経費計上

DO:

  • 事業供用した少額資産(10万円未満)は全額経費計上する
  • 毎年おおむね一定数量を購入し、経常的に消費する消耗品は購入時に経費計上できる
  • 事業に供用開始したものを経費にする

DON'T:

  • 商品券、収入印紙、切手、プリペイドカード等を購入しただけで経費にする
  • 消費していない在庫を経費計上する

💡 WHY: 商品券等は「消費」して初めて経費となる。棚卸資産として未使用分は資産計上が原則。

📊 数値基準:

  • 10万円未満: 無条件で全額損金算入可
  • 20万円未満: 一括償却資産として3年で均等償却
  • 30万円未満: 青色申告の中小企業は年間300万円まで全額損金算入可

減価償却と償却方法の選択

DO:

  • 黒字の場合は特例を活用して全額経費処理する
  • 赤字の場合は通常償却で来期以降に費用配分する
  • 月次決算で財務状況を把握し、最適な償却方法を選択する
  • 中古車を購入する場合は年度の最初の月に購入する(全額経費計上のため)
  • 今期だけ特別に利益が大きい年(税率34%)に中古車で一括経費化を検討する

DON'T:

  • 会社の財務状況を把握せずに償却方法を決める
  • 中古資産の特例を知らずに新車を購入する(節税目的の場合)
  • 決算直前に中古車を購入する(月割りで1ヶ月分しか経費にならない)
  • 毎年安定した利益の会社で、中古車の一括経費化で税引前利益を800万円以下に下げる

💡 WHY: 法人税法の原則は定率法(初期に多く償却)、特例で定額法選択可能。中古資産は耐用年数が短縮されるため、初年度の節税効果が大きい。ただし、中古車も新車もトータルで経費になる金額は同じ(タイミングが異なるだけ)。税率が変わらなければ、最終的な法人税額は同じ。

📊 数値基準:

  • 新車(普通乗用車): 耐用年数6年、定率法償却率0.333
  • 3年落ち中古車: 耐用年数3年、定率法償却率0.667
  • 3年10ヶ月以上落ち中古車: 耐用年数1年(全額即時経費化可能)
  • 30万円未満の固定資産: 全額即時経費化の特例あり

💬 実務メモ: 毎年1,000万円の利益がある会社が中古車で利益を400万円に下げると、税率差(34%→23%)により6年間で約42万円税金が増える計算になる。中古車購入は「今期だけ特別に利益が大きく、来期以降は安定」という場合に有効。


役員報酬の設定と経費化要件

DO:

  • 定期同額で支払う(毎月同じ金額)
  • 事業年度開始から3か月以内に報酬改定を行う
  • 株主総会議事録を整備し保管する

DON'T:

  • 正当理由なく期中で報酬金額を変更する
  • 世間相場から著しく乖離した高額報酬を設定する
  • 報酬未払いの状態を長期間続ける

💡 WHY: 法人税法上、役員報酬を経費化するには「定期同額」「不相当に高額でない」の要件が必要。違反すると損金不算入となる。

📊 数値基準:

  • 役員報酬改定可能時期: 事業年度開始から3か月以内
  • 給与所得控除上限: 年収850万円超で195万円

役員報酬の最適額シミュレーション

DO:

  • 法人税と個人税(所得税・住民税・社会保険料)のトータルで最小化するようシミュレーションする
  • 生活費・貯蓄に足りる金額を最低ラインとして設定する
  • 法人と個人で利益を分散させる
  • 配当を活用して社会保険料を削減する(配当には社会保険料がかからない)
  • 株式は社長と家族(配偶者・後継者)で100%保有する

DON'T:

  • 役員報酬を高く設定して赤字決算にし税務調査回避を狙う
  • 法人のキャッシュを枯渇させるほど高額な報酬を取る
  • 会社のお金を生活費に流用する(貸付金として役員賞与認定リスク)
  • 役員報酬をゼロにして社会保険を脱退する(国民健康保険は配当も含めた所得で保険料が決まる)
  • 兄弟など家族以外の第三者に株式を分散させる

💡 WHY: 法人の税負担を小さくしても、個人の税負担が大きくなれば意味がない。特に社会保険料は税金より高い。年収1,500万円以下の場合、所得税・住民税の合計より社会保険料の方が高くなる。配当には社会保険料がかからないため、役員報酬と配当のバランスを最適化することで手取りを最大化できる。

📊 数値基準:

  • 法人税等負担率(所得800万円超): 約35%
  • 個人税負担率(年収2,000万円): 約35.3%
  • 役員報酬上限目安: 年収1,800〜2,000万円
  • 社会保険料率(40歳以上): 本人15.05% + 会社15.41% = 合計30.46%
  • 月給60万円の場合: 社会保険料216万円/年 vs 所得税等73万円/年

実質利益別の役員報酬設定ガイド

会社の「実質利益」(税引前利益 + 役員報酬 + 社会保険料の会社負担分)に応じた最適な役員報酬設定:

実質利益推奨役員報酬配当・内部留保
1,000万円以下年間111万円(月額9.25万円)税引後利益を配当
1,000万円〜2,000万円税引前利益848万円になるよう調整余剰は内部留保
2,000万円超個別最適化(社会保険料上限も考慮)内部留保を優先

月額9.25万円の根拠: 社会保険料には下限があり、月給が1円でも最低保険料を支払う必要がある。健康保険の下限は月給5.8万円、厚生年金の下限は月給8.8万円。この下限付近で設定し、残りは配当で受け取ることで社会保険料を最小化できる。

💬 実務メモ: 配当を活用しない場合でも、年収400万円くらいまでは手取りがあまり変わらない。社会保険料が段階的に増加するため、1円増やすだけで保険料が大幅に上がる境目がある。


税理士の厳選手法11

税理士が実務で活用する厳選手法を詳細に解説。

赤字の繰越(欠損金の繰越控除)

DO:

  • 青色申告を継続して赤字の繰越控除を活用する
  • 設立初期など大規模赤字が見込まれる場合は法人化を検討する

DON'T:

  • 青色申告の承認を失効させる

💡 WHY: 法人の繰越期限は10年と個人(3年)の3倍以上。

📊 数値基準:

  • 個人事業主: 繰越期間3年
  • 法人(中小企業): 繰越期間10年

確定債務による経費計上

DO:

  • 決算日までに債務が確定している費用は未払いでも経費計上する
  • クレジットカード決済の経費を計上漏れなく集計する
  • 固定資産税は納税通知書到達時に全額経費計上できる

DON'T:

  • 債務の3要件(成立・役務提供・金額算定可能)を満たさない費用を計上する

💡 WHY: 債務確定の3要件を満たせば、実際の支払いがなくても経費計上可能。


家族への所得分散

DO:

  • 家族を役員にして所得を分散させる
  • 社会保険料負担を考慮して最適な配分をシミュレーションする
  • 非常勤役員として社会保険加入義務を回避する(年収130万円未満等)

DON'T:

  • 役員としての実態がないのに報酬を支給する
  • 「みなし役員」リスクを認識せずに家族を従業員として雇用する

💡 WHY: 所得税の超過累進税率により、一人に集中するより複数人に分散した方が税負担は軽くなる。

📊 数値基準:

  • 一人年収1,000万円: 税負担等266万円、手取り734万円
  • 500万円×2人分散: 税負担等226万円、手取り774万円(40万円節税)
  • 社会保険扶養条件: 年収130万円未満

家族の雇用形態を選ぶフローチャート

家族に給与を支払う場合、3つの形態がある。それぞれメリット・デメリットが異なるため、状況に応じて最適な形態を選択する。

パート/アルバイト vs 非常勤役員の比較

項目パート/アルバイト非常勤役員
役員登記不要必要(登記費用あり)
給与の柔軟性働いた分だけ払える定期同額(毎月固定)
賞与自由に出せる事前届出が必要
タイムカード必要(Excelで可)不要
経営への関与❌ 避けるべき✅ OK
みなし役員リスク経営関与で発生なし
社会保険扶養年収130万円未満でOK年収130万円未満でOK

パート/アルバイトが向いているケース:

  • 経営に一切関与させない(経理事務、発送、清掃など定型業務のみ)
  • 毎月の勤務時間が変動する
  • 年末に賞与を出したい
  • 役員登記の手間を避けたい

非常勤役員が向いているケース:

  • 経営に少しでも関与する可能性がある
  • タイムカード管理が面倒
  • 毎月定額払いで問題ない

みなし役員のリスク

「従業員」として家族を雇用しても、経営に関与していれば税務上「役員」とみなされる(みなし役員)。これは税法独特の概念で、役員登記をしていなくても役員扱いの税額計算がされる。

項目家族従業員みなし役員
賞与の経費計上✅ 可能❌ 経費否認
賞与の源泉徴収通常どおり追加で源泉徴収される
事前届出不要届出すれば経費化可能だが手続き煩雑

結論: 経営に関与させないならパート/アルバイトでも問題ない(タイムカードはExcelで管理可能)。経営に口を出す可能性があるなら、最初から非常勤役員にしておく方が安全。


生命保険の活用

DO:

  • 保障機能を第一に考え、節税は副次的メリットとして活用する
  • 保険は会社名義で契約し、受取人は会社に設定する
  • 死亡退職金・弔慰金の規程を事前に作成する
  • 解約返戻金と退職金のタイミングを合わせる

DON'T:

  • 「保険に入れば税金が安くなって得をする」と考える
  • 保険料の経費算入額だけを見て判断する
  • 解約時の利益増加を考慮せずに契約する
  • 受取人を家族に設定する(保険料が給与扱いで課税される)
  • 一部役員だけを対象とした養老保険に加入する(税務否認リスク)

💡 WHY: 法人契約は「節税」ではなく「負担軽減」。個人が1万円の保険料を払うには、会社は実質的に約2万円を負担している(社会保険料・税金の中間コスト)。法人契約にすればこのコストを削減できる。ただし、経費算入は「税の繰り延べ」であり、解約時・保険金受取時に収益計上されるため、トータルの納税額は変わらない。

📊 数値基準(経費算入割合):

最高解約返戻率経費算入制限期間経費算入割合
50%以下なし100%
50%超〜70%以下保険期間の40%60%
70%超〜85%以下保険期間の40%40%
85%超最高返戻率到達年度まで複雑な計算式
  • 例外: 被保険者一人当たり年30万円以下は全額経費計上可

📊 非課税枠:

項目非課税枠
死亡退職金(相続税)500万円 × 法定相続人数
弔慰金(相続税)半年分の給与(業務上死亡は3年分)
死亡保険金(相続税)500万円 × 法定相続人数

💬 実務メモ: 掛け捨て保険だけで十分。積立型の保険は手数料が高く、運用効率が悪い。貯蓄・資産形成は自分でリスクを取って個人口座で投資する方がよい。保険は「保障」に特化し、投資は「投資」で分けて考えること。

※個人のリスク許容度に応じた判断が必要。ただし、独立して事業を営むような人はリスク許容度が高いはずなので、それを前提にコメントしている。

医療保険の活用

医療保険も会社名義で契約することで負担を軽減できる。

DO:

  • 医療保険も会社名義で契約する
  • 給付金の受取人は会社にし、見舞金として本人に支給する
  • 社長は短期払いで終身医療保険を契約し、払込完了後に個人名義に変更する
  • 年間保険料30万円以下に抑える

DON'T:

  • 給付金の受取人を本人にする(保険料が給与扱いで課税される)
  • 見舞金の規程額を超えて支給する(超過分は給与扱いで課税される)

📊 医療保険の数値基準:

項目基準値
見舞金の非課税目安約5万円
短期払いの経費算入条件年間保険料30万円以下
名義変更時の買取価格入院給付金日額の10倍(例:日額1万円なら10万円)

名義変更のメリット: 個人名義に変更すれば、給付金全額が本人に非課税で入る。会社名義のままだと見舞金上限までしか受け取れない。


小規模企業共済

DO:

  • 個人事業主・中小企業経営者の退職金積立として最優先で加入する
  • 役員報酬と組み合わせてダブル節税を実現する
  • 来年分の前納一括払いで節税効果を大きくする

DON'T:

  • 20年未満で任意解約する(元本割れ)
  • 資金繰りを無視して掛金を設定する

💡 WHY: 掛金全額が所得控除となり、運用益は非課税、受取時も税制優遇がある。

📊 数値基準:

  • 掛金: 月額1,000円〜7万円(千円単位で変更可)
  • 予定利回り: 約1%
  • 20年以上納付で元本保証

💬 実務メモ: 小規模企業共済は手続きが簡単で効果も大きい。一度設定すれば放置できるのは事実。ただし、同じ資金を投資に回す選択肢も検討すべき

  • S&P500等のインデックス投資ならいつでも引き出し可能(小規模企業共済は20年未満解約で元本割れ)
  • 個別株投資なら、身銭を切ってリスクを取る意味が出てくる。企業分析を通じてビジネス感覚が磨かれ、社会・経済の勉強にもなる

節税のためだけに資金を20年以上ロックするより、投資で資産を増やしながら経営者としての視野を広げる方が有意義。個人的には個別株投資を強くおすすめする

※個人のリスク許容度に応じた判断が必要。ただし、独立して事業を営むような人はリスク許容度が高いはずなので、それを前提にコメントしている。


出張旅費日当

DO:

  • 旅費規程を事前に作成しておく
  • 宿泊費・出張手当は規程に定めた金額を一律支給する(実費精算ではなく定額支給)
  • 出張の実態記録を残す(片道50km以上が目安)
  • 世間相場に基づいた日当金額を設定する

DON'T:

  • 出張旅費規程なしで日当を支給する
  • 世間相場から著しく高額な日当を設定する(税務署に否認されるリスク)

💡 WHY: 日当は法人の経費となり法人税の節税になるが、個人の所得税・住民税・社会保険料の課税対象とならない。さらに消費税相当額(約9%)が会社に還付される。真の節税策

📊 数値基準:

項目社長役員従業員
宿泊費(1泊)20,000円16,000円12,000円
出張手当(1日)5,000円4,000円3,000円
  • 海外日当: 20,000〜30,000円程度も可能な場合あり
  • 出張手当の支給基準: 片道50km以上

💬 実務メモ: 出張旅費規程の整備、日当金額の設定、出張の証拠書類保管…こんな些末なことをやるために独立したわけではない。国内日当5,000円×出張10回=年5万円の節税のために、規程作成や証拠管理に何時間も費やすのは時間単価に見合わない。頻繁に出張する業種でなければ、この節税策は無視してよい。


社宅家賃の活用

DO:

  • 会社名義で賃貸借契約を締結または物件を購入する
  • 役員報酬から家賃の50%以上を徴収する(実務メモ参照、所得税・社会保険料ともに安全圏)
  • 固定資産課税台帳を閲覧して正確な賃貸料相当額を計算する

DON'T:

  • 社長個人名義で賃貸契約を締結する(節税不可)
  • 家賃相当額を徴収せずに全額会社負担にする(給与課税)
  • 水道光熱費等の家計費を経費にする(給与課税)

💡 WHY: 会社が負担した家賃は経費となり、社長個人は賃貸料相当額(世間相場より低い)のみ負担。

📊 数値基準:

  • 小規模住宅: 床面積132m2以下(耐用年数30年以下)または99m2以下(30年超)
  • 豪華社宅: 床面積240m2超(世間相場の家賃を徴収必要)
  • 賃貸料相当額: 時価の10〜20%程度

💬 実務メモ: 社宅は節税効果が大きいため、検討する価値がある。ただし、所得税と社会保険料で基準が異なる点に注意。

項目基準本人負担の要件
所得税賃貸料相当額(固定資産税課税標準額から計算)50%以上負担で給与課税されない
社会保険料厚生労働大臣が定める現物給与の価額(都道府県別・1畳あたり単価)価額を上回る負担で報酬算入されない

【計算例】東京都・50㎡・家賃15万円の場合

■ 畳数換算(1畳 = 1.65㎡)
社保は居住スペースのみ対象(浴室・トイレ・玄関・廊下除く)
50㎡ → 居住スペース約40㎡ → 40 ÷ 1.65 = 約24畳

■ 所得税
賃貸料相当額(固定資産税から計算)= 時価の10〜20%程度 = 仮に月2.5万円
本人負担 7.5万円 ≧ 2.5万円 × 50% = 1.25万円 → ✅ 非課税

■ 社会保険料(東京都: 2,830円/畳)
現物給与価額 = 2,830円 × 24畳 = 67,920円
本人負担 7.5万円 ≧ 67,920円 → ✅ 報酬算入なし

本人負担率による比較:

本人負担金額所得税社会保険料
50%75,000円✅ 非課税✅ 報酬算入なし
25%37,500円✅ 非課税⚠️ 約3万円/月が報酬算入

25%負担の場合、所得税は賃貸料相当額(約2.5万円)の50%(1.25万円)を上回るためクリアできる。しかし社会保険料は現物給与価額(67,920円)との差額30,420円が報酬に算入され、年間約11万円の社会保険料増加となる(本人負担約5.5万円+会社負担約5.5万円)。ひとり社長の場合、会社負担分も実質自己負担のため、両方の増加を考慮すること。

結論: 所得税の基準は緩く、社会保険料の基準は厳しい。両方クリアするなら本人負担を現物給与価額(この例では約6.8万円)以上に設定すること。家賃の50%負担なら安全圏。

詳細は日本年金機構の現物給与価額一覧、所得税は国税庁No.2597を参照。


企業型401K(確定拠出年金)

DO:

  • iDeCoの上限(月額23,000円)を超えて積立したい場合に導入する
  • 役員報酬を減額し、その分を福利厚生費として401Kに拠出する

DON'T:

  • 加入後に中止できないことを認識せずに導入する
  • 60歳まで引き出せないことを忘れる

💡 WHY: 拠出時に所得税・住民税・社会保険料が非課税、運用益も非課税、受取時も税制優遇。

📊 数値基準:

  • iDeCo上限(ひとり社長): 月額23,000円
  • 企業型401K上限: 月額55,000円(年間660,000円)
  • 節税効果例: 年間約28万円(年収1,266万円→1,200万円の場合)

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

DO:

  • 税率34%の年(所得800万円超)に掛金を支払う
  • 税率が低い年(赤字または所得800万円以下)に解約する
  • 解約まで3年4ヶ月以上掛け続けて全額返金を受ける
  • 業績悪化時の「いざというときの貯金」として積み立てておく
  • 資金繰りが厳しい場合は解約せず、解約金の95%を担保に借入れを検討する

DON'T:

  • 税率が低い年(所得800万円以下)に掛金を支払う
  • 40か月未満で解約する(元本割れ)
  • 設立初年度に加入しようとする(加入不可)
  • 解約時に税引前利益が848万円を超える状態で解約する
  • 800万円の上限まで貯めすぎる(解約時に大幅に税率が上がる)
  • 法人税申告書の別表10(6)の添付を忘れる(経費否認リスク)

💡 WHY: 倒産防止共済は「税の繰り延べ」。税率が高い時期に経費を計上し、低い時期に解約して利益を計上すれば、税率差の分だけ節税になる。税率が変わらなければ、繰り延べの効果はあっても節税効果はない。

📊 数値基準:

  • 掛金: 月額5,000円〜200,000円(5,000円単位)
  • 掛金上限: 累計800万円
  • 全額返金に必要な期間: 40ヶ月(3年4ヶ月)以上
  • 借入可能額: 解約金の95%まで(無担保)
  • 前納可能期間: 1年分
  • 融資上限: 掛金総額の10倍(最大8,000万円)

📊 返戻率:

期間返戻率
12ヶ月以上80%
24ヶ月以上85%
30ヶ月以上90%
36ヶ月以上95%
40ヶ月以上100%

💬 実務メモ: 経費計上できて40か月後に100%戻るのは魅力的だが、同じ資金を投資に回す選択肢も検討すべき。800万円を上限まで積み立てるより、その資金でS&P500や個別株に投資した方がリターンは大きい可能性がある。節税のために資金をロックするのが本当に最適かは再考の余地あり。

※個人のリスク許容度に応じた判断が必要。ただし、独立して事業を営むような人はリスク許容度が高いはずなので、それを前提にコメントしている。


飲食費の経費計上

DO:

  • 取引先との接待・会議費用は領収書に相手先と内容を記載して保管する
  • 1人当たり5,000円以下の飲食費は交際費枠から除外できる
  • 社内打ち合わせでの飲食は会議録を作成する

DON'T:

  • 社長一人の飲食代を経費計上する(役員賞与認定リスク)
  • 友人との完全プライベートな飲み代を経費にする
  • 飲食相手の記録なしで経費計上する

💡 WHY: 飲食費は用途によって税務上の取扱いが異なる。証拠書類を整備し、事実に基づいた経費処理を行うことが重要。

📊 数値基準:

  • 中小企業の接待交際費枠: 年間800万円まで経費計上可
  • 飲食費の交際費除外基準: 1人当たり5,000円以下

飲食費の勘定科目

目的勘定科目
全社的な忘年会・新年会・歓送迎会福利厚生費
社内打ち合わせでの飲食会議費
取引先との接待・情報交換接待交際費

昼食補助(福利厚生費)

従業員の昼食代を会社が補助する場合、一定条件を満たせば福利厚生費として経費計上できる。

DO:

  • 会社が食事代を全額支払い、本人負担分を徴収する
  • 全社員が平等に利用できる制度として整備する

DON'T:

  • 会社負担分を現金で本人に渡す(給料扱いになる)
  • 月額上限を超える補助をする

📊 昼食補助の数値基準:

項目数値
会社負担の上限月額税抜3,500円(税込3,780円)
本人負担食事代の50%以上
社会保険料非課税条件所定価額の2/3以上を本人負担

計算例(400円の弁当 × 月20回):

  • 食事代合計: 8,000円
  • 会社負担上限: 3,780円
  • 本人最低負担: 4,220円(1食211円以上)

💬 実務メモ: ひとり社長の場合、「全員平等」の要件を満たしにくいため、昼食補助の活用は難しい。従業員がいる場合に検討する制度。

残業食(福利厚生費)

DO:

  • 残業時の食事は会社が直接支払う、または立替後に速やかに精算する

DON'T:

  • 残業食代を後日給料と一緒に振り込む(給料扱いになる)

📊 残業食の数値基準:

  • 目安: 1,500円/回まで福利厚生費として認められやすい

設備投資時の特例制度活用

DO:

  • 大規模な設備投資時は「特別償却」または「税額控除」を検討する
  • キャッシュに余裕があれば税額控除を選択する(永久免税効果)
  • 経営力向上計画の認定を設備取得前に受ける

DON'T:

  • 特別償却と税額控除を併用する(どちらか選択)
  • 中古資産に適用する(新品のみ対象)

💡 WHY: 税額控除は減価償却とは別に税額から控除されるため、永久的な節税効果がある。特別償却は課税の繰延に過ぎない。

📊 数値基準:

  • 中小企業投資促進税制: 特別償却30% or 税額控除7%(資本金3,000万円以下)
  • 中小企業経営強化税制: 即時償却100% or 税額控除7〜10%
  • 対象資産: 機械装置160万円以上、ソフトウェア70万円以上等

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