VRTに前年同期比、SKハイニックスに営業利益予想を足し、メリッツ証券のレポートとMicrosoftのリース分類を記事にした日
VRTに前年同期比、SKハイニックスに営業利益予想を足し、メリッツ証券とMicrosoftを記事にした
朝の日記生成を回し終えると、決算ビート記事に VRT が載っていた。 今回は大きくビートし、株価も上がっている。 それなのに、ガイダンスは意外と引き上げられていない。 数字がこれだけ強いのに、会社の見通しはなぜ控えめなのか。 この日はそこから、同じ数字を並べ直すたびに見え方が変わる場面に何度か出くわした。
VRT の売上推移を前年同期比で並べ直す
まず、VRT がビートモニタリングの対象になっているかを Claude Code に確かめた。 2026-06-02 から登録してあり、金融データサービスAの毎朝取得(81銘柄)にも入っているので、今回の決算も自動で拾えていた。
今回の強さは、AI 向けデータセンターの建設需要がそのまま売上に乗ったものだという。 ガイダンスの上げ幅が小さく見えるのは、通年の引き上げ分がほぼ Q3 の上振れ分と同じ大きさだから、という読みも返ってきた。 ただしこれは決算の数字を引き算した推測で、会社がそう説明したわけではない。
続けて、ページに売上の推移が出ているかを聞き、VRT のビートモニタリングページを Chrome で開いてもらった。 「売上・EPS 推移:実績 vs アナリスト予想」のグラフに、四半期ごとの実績と予想が並んでいる。 眺めていると変動が大きく、アナリスト予想が急に下がる四半期もある。 季節性なのだろうと思いつつ、こうやって見ると微妙だな、とも感じた。
Claude Code の見立ても、Q1 で予想がガクッと下がるのは季節性と見てよさそう、というものだった。 ただ、実績で確かめられているのは Q1 2026 の −8% の1回だけで、まだ「傾向がありそう」の段階にとどまる。 そのうえで、前年同期比で並べ直すと「微妙」という見え方はかなり変わる、と返ってきた。
そこで「前年同期比の行も足しといて」と頼んだ。 前年同期比の計算は純粋関数に切り出してもらい、そのうえでコンポーネントを差し替えさせた。 売上と EPS のそれぞれで、前四半期比の行のすぐ下に「前年同期比増減率」の行が入った。 Q3 2026 の前年同期比は +61% と出て、会社発表の +61% と一致した。
SKハイニックスは純利益より営業利益で見る
続けて SKハイニックスの話に移った。 SKハイニックスはキオクシア株を持っているので、純利益がむちゃくちゃ動く。 これには今回の決算で気づいた。 それなら営業利益を見たほうがいい。 そう考えて、営業利益の実績とアナリスト予想(NTM コンセンサス)もビートモニタリングに足すよう頼んだ。
まず、過去11四半期分の営業利益の実績とコンセンサスが、既存 JSON のイベント文と出典にそろっていることを確かめてもらった。 決算発表後の四半期予想は、金融データサービスCのコンセンサス画面から取らせた。 書き戻しで JSON の書式が崩れないかを先に確かめてから、データを入れさせた。 テスト97件が通ったあと、ページの描画とコンソールエラーも見てもらった。
SKハイニックスのページには、売上と EPS のあいだに営業利益のグラフ(実績 vs アナリスト予想、右側に予想)が入り、前四半期比と前年同期比の行も付いた。 なお、朝に起動した dev サーバーは、ポート 3000 が使用中だったため起動直後に終了していた。 表示確認は、最初から 3000 番で動いていた別セッションのサーバーで済んでいた。
メリッツ証券の 3Q26 レポートを原本で読む
X の投稿で、SKハイニックスの決算を受けてメリッツ証券がレポートを出したと知った。 原本が取れるなら読んでほしい、取れなければ X を検索してファクトチェックしながら記事にまとめてほしい、と頼んだ。
投稿内の短縮リンクは、メリッツ証券のサイトで公開されている8ページの PDF にそのままつながっていた。 テキスト抽出では表の列が崩れたので、表のページは画像で読ませた。 会社の決算発表と決算説明会に照らすと、X の要約にある「4Q27E 営業利益104兆ウォン」は誤記とみられる。 新しい記事のページは最初 404 になった。 昨日の記事は表示されていたので原因を調べさせ、そのあとで記事の URL が上がってきた。
→ メリッツ証券の SK Hynix 3Q26 レビューを原本で読む
過去3年分のメモリー予想を答え合わせする
メリッツが予想を更新したなら、これまでどう言ってきたのかも見たくなった。 前日の決算サマリー記事にメリッツの更新を追記させたうえで、メリッツの過去3年のメモリーに対する評価を1本のレポートにまとめるよう頼んだ。 見たかったのは、予想が妥当だったかと、分析に一貫性があるかの2点である。 対象は SKハイニックス、サムスン電子、メモリ業種のレポート、期間は2023年10月〜2026年10月という Claude Code 側の解釈で進めてもらった。
素材集めは一直線には進まなかった。
- アナリスト本人がレポート公開の直後に要約とリンクを流している、Telegram の公開チャンネルを見つけた。全投稿を順に取りにいかせると、3年分で80分を超える見込みだった。投稿 ID の区間を分け、並列で取り直させた
- 取得スクリプトの不具合を直す途中で、出力の削除がガードに止められた。別のディレクトリに出力し直して進めた
- リンク付きの投稿は296件あった。リンクを解決してメリッツの PDF だけを3並列で落とさせ、途中の時点で106本がそろった
- 年次の予想表と目標株価の履歴は、
pdftotext -rawで抜くときれいに取れると分かり、全レポートから一括で抽出させた
図はまず3枚を作らせた。 最初は凡例の属性重複エラーが出て、「23万」のラベルが株価の線と、「320万」のラベルが凡例と重なっていたので、配置を直させた。 目標株価の判定は「設定日のちょうど1年後の終値」の基準にそろえ直し、図の点の色を変えた(達成=マゼンタ、未達=黒、判定前=白抜き)。 最後に、ロジックツリーを第2章の冒頭へ図1として入れ、既存の図番号を1つずつ繰り下げた。 図は4枚になり、どれも dev での表示を確認させた。
ツリーの右側を章の中で説明させる
読んでいて引っかかったのは、ロジックツリーの右側にぶら下がっている主張だった。 「逆の価格弾力性」や「5重の重複発注」のような論点こそ、メリッツのメインの主張のはずだ。 朝の記事の「逆の価格弾力性」の一文が分かりにくいとも伝えていた。 そこで、右側の論点をそれぞれ章の中で説明するよう頼んだ。
7つの論点の元の投稿本文を読み直させ、第2章「3年間変わらない主張の骨格」の中に論点ごとの見出しを立てさせた。 各論点を「何を言っているか」「理屈」「レポートが挙げた根拠」「その後どうなったか」の順で書かせている。
PBR 2倍から4倍の再評価は何を評価しているのか
もう一つ分からなかったのが、PBR を2倍から4倍へ引き上げた再評価である。 倍率を上げるというのは、結局何を評価していることになるのか。
返ってきた答えは「今の高い利益率が何年続くか」だった。 2倍から4倍への引き上げは、メモリの稼ぐ力を「好況の一時的な山」ではなく「長く続くもの」と見直した、という意味になる。 この説明を記事の「株価2」の節に足してもらった。
Microsoft の耐用年数変更はリースの分類をどう変えるのか
10時台からは Microsoft の決算に移った。 画像を貼り、想定耐用年数を15年から25年に変えるとファイナンスリースがオペレーティングリースになるのか、と聞いた。 日本の基準とも比べてほしいと添えた。
自分の前提は、ファイナンスリースは投資キャッシュフローの capex に入り、オペレーティングリースはリース料として営業キャッシュフローに入っている、というものだった。 それなら両者を合算できないと比較可能性が損なわれる。 会計基準としてどうなのか、とまで思っていた。
返ってきた答えで、前提の一部が崩れた。 米国基準で耐用年数を延ばすと、オペレーティングリースに変わることはあり得る。 ところが、キャッシュフロー計算書ではファイナンスリースも投資キャッシュフローには出てこない。 Microsoft の言う「capex(ファイナンスリース込み)」は、会社が自分で定義している指標だった。
ここで公開記事にまとめ、図を入れて分かりやすくするよう頼んだ。 図3枚入りの記事が上がった。 図1の2段目では75%の線と判定の文字が重なっていたので、ブラウザで確認したあと文字を線の右へ移している。
15年と25年は別のものの年数
記事を読みながら、自分の理解を言葉にしてみた。 ファイナンスリースは実質的に購入と同じなので、資産と負債を両方計上する。 オペレーティングリースは単に借りているだけで、所有しているとはみなせない。 そのうえで、経済的耐用年数を15年と見積もっているのに使用年数を25年に延ばすのは、卵と鶏のように堂々巡りしていないか、と聞いた。
堂々巡りではなかった。 15年は、記事の説明で仮に置いたリースの契約期間である(実際に開示されている契約期間は1年から20年)。 この年数は契約で決まっており、今回の変更では動いていない。 25年に変わったのは、建物そのものが何年もつかの見積りである。 判定は「契約期間 ÷ 建物の寿命」で、今回動いたのは分母だった。 この説明を2つの節として記事に追記してもらった。
建物の話なら金額は小さいのでは
ここで、これが建物の話だと気づいた。 GPU やサーバーのような機械は入っていない。 Microsoft の capex 全体からすれば、そんなに重要な話なのか。
答えは、GPU やサーバーの購入に比べれば小さいが、無視できる大きさではない、というものだった。 capex の15%前後を占め、7〜9月期は四半期の capex が1割強動く規模になる。 しかも、これから始まるリース契約が年間 capex の2.5年分も積み上がっているので、今後の影響はもっと大きくなる。 これも「影響はどれくらいの大きさか」の節として追記してもらった。
注記から分類に左右されない数字を組み立てる
記事には、オペレーティングリースの費用、支払い、新たに取得した資産は注記から拾えるので、リースの分類に左右されない数字を自分で組み立てられる、と書いてある。 それなら実際にやってみようと思った。 記事のコミットは構わないと伝え、今回の IR を含めた10四半期分の数字を時系列で集め、本当に比較できるのかを確かめるよう頼んだ。 投資が減ったという報道はみんなの勘違いで、実際は予定どおりか、むしろ増えているのではないか。 これが自分の見立てだった。
コミット時の Codex レビューでは、図2の FCF の行が、同じ図にある capex 1,074 を引いているように読める、という指摘が出た。 Claude Code の判定でも誤読を招くとして、直させた。
見立ては片方だけ当たった。 リースの分類に左右されない形にそろえると、2026年7〜9月期の投資額は前期比で2割強、前年同期比で4割超増えていた。 「増えている」は数字で裏付けられた。 一方の「予定どおり」は外れだった。 会社自身の見通しを下回っており、その理由はリースではなく、外部から受け取る計算能力の納入遅れだった。
チャートが無かった
数字の表を読んだあと、記事がどれだったかを聞き、続けてチャートはどこにあるのかと聞いた。 推移のチャートは、まだ作られていなかった。 Claude Code が前の返信で「作りますか」と聞いたまま、話が止まっていたのである。 その場で作らせ、図4として「リースの分類に左右されない投資額を10四半期で並べる」の節に入れた。 10四半期の表、比較がどこまで信用できるかの注意点、「投資が減った」という報道の読み方も同じ節にある。
→ Microsoftがデータセンターの耐用年数を15年から25年に延ばすと、なぜ設備投資が減るのか
振り返り
- VRT の売上推移は、グラフで眺めると「微妙」に見えた。前年同期比の行を足すと、Q3 2026 は +61% と出る。同じ売上でも、何と比べるかで見え方が変わる
- SKハイニックスは持っているキオクシア株で純利益が大きく動く。だから比べるなら営業利益のほうだと考え、グラフを足した
- X の要約は原本と食い違うことがある。今回は短縮リンクから原本 PDF にたどり着けたので、要約の誤記に気づけた
- Microsoft の「投資が減った」は、リースの分類に左右されない形で並べ直すと、逆に前期比で2割強増えていた。ただし会社の見通しを下回った理由はリースではなかった
- VRT の Q1 で予想が下がる季節性は、実績ではまだ1回しか確かめられていない。次の Q1 決算までは傾向の候補のままである