Intelの2026年7〜9月期決算|売上は21%増なのに株価が時間外で2割下がった理由と、PC・データセンターのセグメント別11四半期推移
Intelの2026年7〜9月期決算|売上は21%増なのに株価が時間外で2割下がった理由と、セグメント別11四半期推移
Intelは2026年10月29日(米国時間)の引け後に、2026年7〜9月期(第3四半期)の決算を発表した。 株価は時間外取引で2割前後下がったが、7〜9月期の数字そのものは悪くない。 市場が嫌ったのは、10〜12月期の見通しのほうである。
この記事では、まず決算の数字と株価の反応を整理する。 次に、決算リリースのセグメント表を11四半期分並べ、PC とデータセンターの売上高・営業利益・営業利益率がどう動いてきたかを見る。
- 7〜9月期は会社の見通しを上回り、利益は市場予想も上回った。売上高は前年同期比21%増の165億ドルで市場予想並み、非GAAPの1株利益(EPS)は0.52ドルで市場予想の0.41ドル前後を上回った
- 株価を下げたのは10〜12月期の見通し。売上高の見通しは150億〜160億ドルで、市場予想の約170億ドルに届かない。非GAAPのEPSの見通しも0.25ドルで、予想の0.43ドルを大きく下回った
- データセンター&AI(DCAI)の売上は前年同期比78%増の73億ドルで、PC(CCPG)の81億ドルの9割に達した
- DCAI の売上は、予想値が分かる四半期ではいずれもアナリスト予想を上回った。7〜9月期は予想の64.9億ドルに対して73.2億ドルだった
- 営業利益は2026年4〜6月期からDCAIがPCを上回った。DCAIの営業利益率は2024年の6〜11%から、2026年7〜9月期は41.5%に上がっている。2025年は人員削減による費用減、2026年はサーバー向け CPU の売価の上昇(主に高価格帯の比率の増加)が効いた
- Foundry の売上の約95%は自社製品向けの社内取引で、外部の顧客向けは4〜6月期で2億9,300万ドルにとどまる
- PC の売上は11四半期のあいだ76億〜89億ドルで横ばいが続き、7〜9月期は前年同期比5%減だった
7〜9月期の決算の数字
決算リリース(8-K の Exhibit 99.1)から主な数字を抜き出すと次のとおりである。
| 項目 | 2026年7〜9月期 | 2025年7〜9月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 165億ドル | 137億ドル | 21%増 |
| 売上総利益率(GAAP) | 43.0% | 38.2% | 4.8ポイント上昇 |
| 売上総利益率(非GAAP) | 44.1% | 40.0% | 4.1ポイント上昇 |
| 営業利益率(GAAP) | 15.3% | 5.0% | 10.3ポイント上昇 |
| 営業利益率(非GAAP) | 19.6% | 11.2% | 8.4ポイント上昇 |
| 1株利益(GAAP) | 0.60ドル | 0.90ドル | 33%減 |
| 1株利益(非GAAP) | 0.52ドル | 0.23ドル | 126%増 |
GAAP の1株利益が減ったのは、前年同期に Altera の株式売却益54億ドルが営業外で計上されていたためである。 営業利益は6億8,300万ドルから25億2,200万ドルに増えている。 営業キャッシュフローは51億ドルだった。
CFO の David Zinsner 氏は、売上高、売上総利益率、1株利益のいずれも会社の見通しを上回り、データセンターの売上の伸びは過去15年で最も大きかったと述べた。
株価を下げたのは10〜12月期の見通し
会社が示した2026年10〜12月期の見通しは次のとおりである。 市場予想は報道の数字で、媒体によって多少ずれる。
| 項目 | 会社の見通し | 市場予想(報道) |
|---|---|---|
| 売上高 | 150億〜160億ドル | 約170億ドル |
| 売上総利益率(非GAAP) | 38.0% | ― |
| 1株利益(非GAAP) | 0.25ドル | 0.43ドル |
売上高の見通しの中央値は155億ドルで、7〜9月期の165億ドルから6%ほど減る。 非GAAPの売上総利益率も、7〜9月期の44.1%から38.0%に下がる見通しである。
株価は10月29日の通常取引を92.07ドルで終え、時間外取引では72ドル台まで下がった。 下落率は報じた時刻によって17〜21%と幅がある。 この記事を書いた時点(日本時間10月30日昼)では、10月30日の通常取引はまだ始まっていない。
見通しが弱い理由について、Zinsner 氏は、PC の減速が少なくとも2027年前半まで続くとの見方を示した。 CEO の Lip-Bu Tan 氏は、Xeon(サーバー向け CPU)の需要に供給が追いついておらず、供給を増やすことが当面の最優先だと述べた。 PC は需要が落ちており、データセンターは需要に供給が追いつかない状態にある。
市場予想と株価の動きは次の報道から取った。
同じ日に決算を発表したほかの銘柄は、2026年10月29日の決算ビート銘柄にまとめてある。
セグメントの区分
Intel は決算リリースの末尾に「Supplemental Operating Segment Results」という表を載せており、セグメントごとの売上高と営業利益が四半期単位で取れる。 現在の区分は次の4つである。
| セグメント | 中身 |
|---|---|
| CCPG(Client Computing and Physical AI Group) | PC 向けの CPU。2026年1〜3月期までは CCG(Client Computing Group)という名前だった |
| DCAI(Data Center and AI) | サーバー向けの Xeon と AI 向けの製品 |
| Intel Foundry | 製造部門。自社製品の製造が中心で、外部の顧客からの受託もここに入る |
| All Other | Mobileye、IMS など。Altera は2025年9月に過半を売却して連結から外れた |
CCPG と DCAI を合わせたものが「Intel Products」で、製品を売る側にあたる。
売上高:DCAIがPCの9割まで迫った
PC の売上高は、2024年1〜3月期から11四半期のあいだ76億〜89億ドルの幅に収まっている。 2026年4〜6月期に89億ドルまで増えたが、7〜9月期は81億ドルに戻り、前年同期比では5%減だった。
DCAI は2025年までは38億〜47億ドルで推移していた。 2026年に入ってから伸びが速まり、1〜3月期は前年同期比22%増、4〜6月期は59%増、7〜9月期は78%増となった。 7〜9月期の73億ドルは、2024年1〜3月期の38億ドルのほぼ2倍である。
セグメント別のアナリスト予想
セグメント別の売上高の予想は、全社の売上高や1株利益の予想と違って、無料で見られる媒体にはまとまって載っていない。 決算直後に X に投稿された速報のうち、セグメントの予想値が書かれていたものを集めると次のようになる。 図の黒線はこの表の値で、予想が見つからない四半期には線を引いていない。
単位は億ドル。実績は投稿の値(四捨五入の桁は投稿による)。
| 四半期 | 部門 | 実績 | 予想 | 差 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 25年7〜9月 | PC | 85 | 81.5 | +4% | @wallstengine |
| 25年7〜9月 | DCAI | 41 | 39.7 | +4% | @wallstengine |
| 25年7〜9月 | Foundry | 42 | 45.1 | −6% | @wallstengine |
| 25年10〜12月 | DCAI | 約47 | ※ | ― | @jukan05 |
| 26年1〜3月 | Foundry | 54.2 | 48.1 | +13% | @wallstengine |
| 26年4〜6月 | DCAI | 63 | 55 | +15% | @StockSavvyShay |
| 26年7〜9月 | DCAI | 73.2 | 64.9 | +13% | @StelliumTape |
※ 2025年10〜12月期は、Bernstein のレポートを要約した投稿に「予想を4億ドル超上回った」とあるだけで、予想値そのものは書かれていない。そのため図には線を引いていない。2026年4〜6月期の投稿は DCAI を「AI Revenue」と表記しているが、実績63億ドルが DCAI の売上高と一致するので DCAI の予想として扱った。
DCAI は、予想が分かる四半期ではいずれも予想を上回っており、2026年に入ってからは上回る幅が13〜15%に広がった。 アナリストの予想が、DCAI の伸びに追いついていないことになる。 PC と Foundry は予想値が見つかる四半期が少なく、2026年に入ってからの PC の予想値は見つからなかった。
これらの予想値は投稿に「Est.」とだけ書かれており、FactSet や Visible Alpha といった集計元は明記されていない。 集計元によって予想値は変わるので、目安として見てほしい。 10〜12月期以降のセグメント別の予想も、無料の範囲では見つからなかった。
→ @wallstengine(2025年7〜9月期) / → @jukan05(2025年10〜12月期) / → @wallstengine(2026年1〜3月期) / → @StockSavvyShay(2026年4〜6月期) / → @StelliumTape(2026年7〜9月期)
営業利益:2026年4〜6月期からDCAIがPCを上回った
2024年の DCAI の営業利益は1四半期あたり2億〜4億ドルで、PC の1割前後しかなかった。 2025年後半から増え始め、2026年4〜6月期に25億ドルとなって PC の23億ドルを初めて上回った。 7〜9月期は30億ドルで、PC の23億ドルとの差は広がっている。
PC の営業利益は、2024年の26億〜32億ドルから、2025年以降は21億〜27億ドルに下がった。 売上が横ばいのなかで、利益は少しずつ削られている。
営業利益率:DCAIは2年で1割前後から40%台へ
営業利益率は、営業利益をセグメントの売上高で割って求めた。
DCAI の営業利益率は、2024年は6.4〜10.9%だった。 2025年に13.9%、16.1%、23.4%、26.4%と上がり、2026年は30.5%、39.5%、41.5%と40%台に乗った。 7〜9月期の DCAI の売上高は前年同期比78%増えたが、売上原価と営業費用の合計は31億5,300万ドルから42億7,900万ドルへの36%増にとどまった。 費用の伸びが売上の伸びの半分ほどに収まったぶん、利益率が上がっている。
なぜ DCAI の利益率が上がったのか
Intel は10-K と10-Q の MD&A(経営者による財政状態と経営成績の分析)で、DCAI の営業利益が増減した理由を金額つきで説明している。 読むと、上がった理由は2025年と2026年で違う。
2025年は値上げではなく、費用の削減で上がった。 2025年通期の DCAI の営業利益は前年から20億ドル増えたが、そのうち15億ドルは営業費用の減少による。 2024年と2025年のリストラで人員を減らした効果である。 2024年に9億2,200万ドル計上した AI アクセラレーター Gaudi の在庫関連の損失が減ったことも効いた。 一方、2025年のサーバー向け CPU の平均販売価格(ASP)は前年から4%下がっている。 競争に押されて上期に値下げをしたためで、売価はむしろ下がっていた。
2026年は売価が上がった。 サーバー向け CPU の ASP は、1〜3月期に前年同期比27%、4〜6月期に48%上がった。 会社の説明では、上がった分の大半は高価格帯の製品(上位の Xeon)の比率が増えたことによるもので、需要に応じた値上げは「それより小さい」寄与にとどまる。 値上げには、部材価格の上昇を価格に転嫁する意味もあったと書かれている。 供給が需要に追いつかない状態が続いているため、高価格帯から優先して出荷できている面もある。
なお、Intel は DRAM を作っていない。 DRAM 事業からは1985年に撤退しており、メモリ価格の上昇は Intel にとって売価ではなく部材費の上昇として効く。 PC の需要が落ちている理由の一つにも、メモリ価格の上昇で PC の価格が上がったことが挙げられている。 2026年7〜9月期の要因分解が載る10-Q は、この記事を書いた時点ではまだ提出されていない。
PC の営業利益率は、2024年の32〜36%から、2025年以降は26〜33%に下がった。 2026年4〜6月期に DCAI と PC の利益率が逆転し、7〜9月期は DCAI 41.5%、PC 28.2%と13ポイントの差がついた。
11四半期の数表(PCとDCAI)
単位は百万ドル。営業利益率は営業利益 ÷ 売上高で、筆者が計算した。
| 四半期 | PC 売上高 | PC 営業利益 | PC 利益率 | DCAI 売上高 | DCAI 営業利益 | DCAI 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1〜3月期 | 8,273 | 2,822 | 34.1% | 3,828 | 417 | 10.9% |
| 2024年4〜6月期 | 8,143 | 2,641 | 32.4% | 3,805 | 242 | 6.4% |
| 2024年7〜9月期 | 8,161 | 2,937 | 36.0% | 4,141 | 381 | 9.2% |
| 2024年10〜12月期 | 8,769 | 3,194 | 36.4% | 4,351 | 374 | 8.6% |
| 2025年1〜3月期 | 7,629 | 2,361 | 30.9% | 4,126 | 575 | 13.9% |
| 2025年4〜6月期 | 7,871 | 2,053 | 26.1% | 3,939 | 633 | 16.1% |
| 2025年7〜9月期 | 8,535 | 2,694 | 31.6% | 4,117 | 964 | 23.4% |
| 2025年10〜12月期 | 8,193 | 2,209 | 27.0% | 4,737 | 1,250 | 26.4% |
| 2026年1〜3月期 | 7,727 | 2,516 | 32.6% | 5,052 | 1,542 | 30.5% |
| 2026年4〜6月期 | 8,877 | 2,343 | 26.4% | 6,262 | 2,474 | 39.5% |
| 2026年7〜9月期 | 8,097 | 2,285 | 28.2% | 7,318 | 3,039 | 41.5% |
ファウンドリ:赤字は縮んでいるが、売上の大半は社内取引
| 四半期 | Foundry 売上高 | Foundry 営業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 2024年1〜3月期 | 4,356 | −2,441 | −56.0% |
| 2024年4〜6月期 | 4,282 | −2,802 | −65.4% |
| 2024年7〜9月期 | 4,339 | −5,799 | −133.6% |
| 2024年10〜12月期 | 4,340 | −2,249 | −51.8% |
| 2025年1〜3月期 | 4,667 | −2,320 | −49.7% |
| 2025年4〜6月期 | 4,417 | −3,168 | −71.7% |
| 2025年7〜9月期 | 4,235 | −2,321 | −54.8% |
| 2025年10〜12月期 | 4,507 | −2,509 | −55.7% |
| 2026年1〜3月期 | 5,421 | −2,437 | −45.0% |
| 2026年4〜6月期 | 5,765 | −2,089 | −36.2% |
| 2026年7〜9月期 | 6,697 | −1,853 | −27.7% |
Foundry の売上高は7〜9月期に前年同期比58%増の67億ドルとなり、営業赤字は19億ドルまで縮んだ。 ただし、この売上高の大半は Intel Products 向けの社内取引である。
Intel は社内を「工場を持たない半導体メーカー(Intel Products)」と「受託製造会社(Intel Foundry)」の2つに見立てて管理している。 Intel Products が自社の CPU の製造を Intel Foundry に発注し、Intel Foundry はそのウエハーを Intel Products に「売る」。 この社内の売買が Intel Foundry の売上高として計上され、連結決算では社内取引として消去される。 7〜9月期のセグメント間消去は63億ドルあり、セグメントの売上高を足した合計から差し引かれている。
4〜6月期の10-Q には内訳が載っている。 Foundry の売上高58億ドルのうち、社内向けが55億ドル、外部の顧客向けは2億9,300万ドルで、外部は5%ほどしかない。 外部向けが前年同期から2億7,100万ドル増えたのも、主に2025年9月に連結から外れた Altera が外部の顧客になったためである。 社内向けの売上が増えたのは、Intel 18A、Intel 3、Intel 4 といった新しい製造プロセスのウエハーが増え、それらの社内での販売単価が古いプロセスより高いためと説明されている。 Foundry の売上の伸びは、外部の顧客が増えたことではなく、DCAI を中心に自社製品の生産が増えたことを映している。
2024年7〜9月期の赤字58億ドルは、Intel 7 を中心とする製造設備の減損と加速償却(31億ドル)を計上した期にあたる。 この期は全社でも、リストラ費用28億ドルとのれんなどの減損を計上している。
データの取り方と注意点
数値はすべて、SEC に提出された各四半期の決算リリース(8-K の Exhibit 99.1)の「Supplemental Operating Segment Results」から取った。
- 2024年の各四半期と2025年1〜9月期の数値は、翌年同期のリリースに載った前年同期の欄(組替後)を使った。2025年10〜12月期以降は、その期のリリースの数値である。Intel は2025年1〜3月期に NEX(Network and Edge)セグメントを廃止し、CCG と DCAI に振り分けた。2024年の当時のリリースの数値は旧区分なので、そのままでは2025年以降とつながらない。たとえば2024年7〜9月期の CCG の売上高は、当時のリリースでは73億3,000万ドル、組替後は81億6,100万ドルである
- CCG から CCPG への名称変更(2026年4〜6月期)は名前だけで、2025年4〜6月期の数値は組み替えの前後で変わっていない
- 売上高はセグメント間の取引を含む。PC、DCAI、Foundry、All Other を足しても連結の売上高にはならない
- セグメントの営業利益には、全社費用(Corporate Unallocated)が配賦されていない。リストラ費用や減損の多くはここに入るため、連結の営業利益は2024年7〜9月期(−91億ドル)や2026年1〜3月期(−31億ドル。Mobileye ののれん減損を含むリストラ等の費用41億ドル)に大きく振れているが、セグメントの数値にはその振れが出にくい
- 各四半期の期末日は Intel の会計カレンダーによるため、暦の月末とは数日ずれる(2026年7〜9月期は9月26日まで)
使った決算リリースの提出番号(Accession Number)は次のとおり。
| 決算期 | 提出日 | 提出番号 |
|---|---|---|
| 2026年7〜9月期 | 2026-10-29 | 0000050863-26-000188 |
| 2026年4〜6月期 | 2026-07-23 | 0000050863-26-000155 |
| 2026年1〜3月期 | 2026-04-23 | 0000050863-26-000077 |
| 2025年10〜12月期 | 2026-01-22 | 0000050863-26-000009 |
| 2025年7〜9月期 | 2025-10-23 | 0000050863-25-000169 |
| 2025年4〜6月期 | 2025-07-24 | 0000050863-25-000107 |
| 2025年1〜3月期 | 2025-04-24 | 0000050863-25-000070 |
| 2024年7〜9月期(旧区分の参照用) | 2024-10-31 | 0000050863-24-000147 |