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何をやったか

/memory-makers の一覧に Macronix(旺宏電子)を入れたい、というところから始まった。台湾の車載・産業用 NOR/NAND で長年地位を守っているメーカーで、月次売上のデータ自体は前に整備した apps/web/app/data/memory-makers/macronixMonthlyRevenue.ts が既にディスクに落ちていた。表示の入口だけ用意されていなかったので、そこを塞ぐ作業から入った。

ところが一覧に並べてみると、Samsung・SK Hynix・Micron・Kioxia・Macronix が同じ階層でただ縦に並ぶだけで、何を見せたい一覧なのかが視覚的に伝わらない。HBM の話を追いたい人と、車載 NAND の話を追いたい人が、同じカードを上から舐めるのは無駄だと感じた。そこで「メーカーをひと括りにせず、NAND と DRAM のサブカテゴリに割り直す」という方向に舵を切った。

サブカテゴリ分けの設計

Claude Code に投げた指示は短く、「メモリーメーカーをサブカテゴリ分けしてほしい。NAND と DRAM でいい」だった。設計の中身は以下のように固めた。

  • apps/web/app/data/memory-makers/types.tssubcategory フィールドを追加する
  • makers.ts の各社レコードに subcategory: 'nand' | 'dram' | 'both' を持たせる
  • /memory-makers のページで、サブカテゴリ単位の見出しと小さい区切りを描き、カードをグルーピングする

both を入れた理由は、Samsung と SK Hynix と Micron の 3 社が NAND/DRAM 両方をやっているからで、無理に片方に押し込めると後で説明が破綻する。Macronix は NAND(厳密には NOR と SLC NAND が中心だが、/memory-makers の粒度では NAND 側に置けば事足りる)、Kioxia も NAND、というふうに割っていった。

実装自体は Claude Code に順次任せて、自分はブラウザを reload して見出しの並びと「DRAM 群」「NAND 群」「両方やる大手 3 社」の3パートで読めるかを目で確認した。localhost:3000/memory-makers を開いて、サブカテゴリの見出しが入っただけで一覧の読みやすさが一段変わったのを確認できたので、その方向で確定した。

Macronix を入れた

データは前から macronixMonthlyRevenue.ts に揃っていたので、追加作業は以下に絞られた。

  • app/data/memory-makers/index.ts に Macronix を export として並べる
  • makers.ts の Macronix レコードに subcategory: 'nand' を付ける
  • /memory-makers/index.vue のカード一覧で、NAND サブカテゴリの中に Macronix カードが出るのを目視確認する

ブラウザで開き直して、NAND の塊の中に Samsung・SK Hynix・Micron(両方タグ)に並んで Kioxia と Macronix のカードが出てきた時点で、最低限の「入った」状態は満たした。

公開記事も書いた(他社が出てこない理由まで)

これとは別に「Macronix の自動車・産業用に強みを持つニッチ NAND の雄」というテーマで、ユーザー向けの公開記事を apps/web/content/2026-06/2026-06-15/ 配下に1本書いた。本文と図解 SVG(fig1〜fig4)の構成にしている。

書く時に強く意識したのは、「なぜ他社(Samsung / SK Hynix / Micron)がこのニッチに出てこないのかも、ちゃんと書く」という指示だ。Macronix が車載・産業で強い、という事実だけを並べると、読み手は「じゃあなぜ大手が押し寄せないのか」が気になって止まる。そこを置き去りにすると、記事は片肺になる。

自分の中で整理した「大手が出てこない理由」は以下のようになった。記事ではこれをもう少し丁寧に展開した。

  • 単価は高いが、ロットが小さい: 車載・産業用は単品あたりの粗利は厚いが、数量が薄い。最先端ファブの稼働率を埋める力にならない
  • HBM/エンタープライズ SSD のほうが量で勝てる: ハイパースケーラーが買い続けるかぎり、Samsung・Hynix・Micron は HBM と eSSD に最先端ラインを充てたほうが投資効率が高い
  • 長期供給保証と認証コストが重い: 車載は 10〜15 年の供給を約束させられる。先端プロセスをそのスパンで維持できるメーカーは限られるし、認証取り直しのコストも乗る
  • 温度・信頼性スペックが特殊: -40〜+125°C の動作保証、データリテンションの長さ、リフレッシュ動作の安定性など、コンシューマ NAND と要件が違う
  • 結果として、ニッチ専業が居座る構造になっている: Macronix のように 55nm / 36nm / 19nm 世代の枯れたプロセスを長く使い回せるプレイヤーのほうが、このニッチでは勝ち筋がある

「ハイパースケーラー優先の大手にとっては、車載・産業ニッチはあえて触らない領域」という構造の話に着地させた。Macronix を持ち上げる記事ではなく、「メモリーメーカーの中で誰がどの市場を取りに行くか」の地図を描き直す記事のつもりで書いた。

サブカテゴリ分けで得た副作用

NAND/DRAM のサブカテゴリを切ったあと、/memory-makers を見直して気づいたのは、読み手の質問が分かれるということだった。

  • 「HBM の供給はどうなっている?」と聞きに来た人は DRAM 群に直行する
  • 「車載 NAND の単価はどう推移している?」と聞きに来た人は NAND 群、特に Macronix と Kioxia を見にいく
  • 「Samsung は HBM と NAND のどっちに賭けているか?」と聞きに来た人は「両方やる大手 3 社」のセクションでまとめて確認できる

ひとつのページで 3 種類の読者ニーズを別々の入口で受けられる構造になった。サブカテゴリは UI の装飾ではなく、読み手の質問を分岐させるためのレイアウトだった、と書いている途中で気づいた。

残った宿題

  • 「両方やる大手 3 社」をさらに、HBM 注力度合いで並べ替えるかどうか。今は時価総額とアルファベット順の中間で並んでいて、メッセージ性が弱い
  • Macronix の月次データに、自動車向けと汎用 NOR の比率の内訳を加えるか。これは IR 開示の粒度次第なので、次に決算が出たタイミングで開示資料を読みに行く
  • NAND サブカテゴリにさらに「車載/産業特化」「コンシューマ汎用」を切るか。今のページ規模だと過剰分割になりそうなので、当面は保留する

Macronix を入れたかっただけのつもりが、メーカー一覧の階層を切り直す話になり、最終的には「なぜ大手が来ないかを書く記事」までセットになった。最初の依頼が短いほど、最終成果物の輪郭はその後の判断で決まる、という当たり前のことを改めて感じた一日になった。