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背景: 文章だけでは伝わらないので図を多用したい

最近、半導体・データセンター・AI周辺の市況解説を長文で書く機会が増えた。 1本あたり数千字のロングフォームになると、数字の連なりだけでは読み手の頭の中に構図が立ち上がらない。 「ハイパースケーラー上位4社のCapExが前年比+78%」とテキストで書いても、読者はその規模感を像として持てない。

この日は同じパターンの長文記事を2本書いた。

  • 記事1: データセンターのコスト構造 ── 部材インフレとハイパースケーラーの限界線
  • 記事2: AI時代の「価値ある人材」を見極める5ステップ ── マッキンゼーの人材論を読んで

どちらも本文だけだと頭に入らない構造の話だったので、SVG図解を Claude Code に書かせながら進めた。 書き手側のレイヤーで「何をどの図で見せるか」だけ決めて、SVGの描画は Claude Code に任せる、という分業が今回かなりハマった。

記事1: データセンターのコスト構造

文章のドラフトを先に投げる

最初に書きたい内容のドラフトを Claude Code に投げた。 中身はだいたいこんな数字が並ぶ。

  • Dell'Oroが世界のデータセンターCapEx見通しを1兆ドル超に引き上げ
  • ハイパースケーラー上位4社(Amazon、Google、Meta、Microsoft)のCapExが前年比+78%
  • Moody'sの5月改訂では、ハイパースケーラーCapExが2026年に7,850億ドル、2027年には1兆ドルに接近
  • 対象はMicrosoft、AWS、Meta、Alphabet、Oracle、CoreWeaveの6社

まず Claude Code にファクトチェックを並列で走らせた。 結果、ドラフトの中に2つの事実誤認が混じっていることが判明した。 「日東紡がT-glassを値上げ」は誤り(AI向けは価格維持で増産対応)、「Maine州データセンター・モラトリアム成立」も誤り(知事拒否権で否決)。 このあたりは長文を書くときに自分の記憶頼りで書き出すと必ず混入するノイズで、ファクトチェックを別タスクとして走らせる工程は今後も外せない。

SVG図を後追いで入れる

文章だけで一度仕上げた後、自分が「これ図がないと読めないな」と感じた箇所に対して「ここSVG入れて」と指示した。 Claude Code は svg-diagram スキルの追加リファレンス(常にRead)を毎回読みに行ってから描く運用にしてあるので、デザインの一貫性は勝手に揃う。

このとき作らせたSVGは6枚。

中身
1メモリ価格の推移
2OPCF対比のCapEx拡張
3ストレステスト的な感応度
4電力ミスマッチ
5設備のリカバリ遅延
64社の財務手段一覧

ここまでは一発で形になった。 問題が起きたのはこの後、Moody'sの数字を時系列の積み上げ棒チャートにしてくれと追加で指示したときだった。

積み上げ棒は数値が読めないとやり直しになる

Moody'sの6社別CapEx見通しを2025〜2027年の3本の棒で見せたい、と頼んで diagram-7-moodys-trajectory.svg が出てきた。 全体のシェイプとしては申し分なかったのだが、肝心の個社別の数字が棒の中に書かれていなかった。 棒の高さで雰囲気は分かるが、AmazonとMicrosoftの差がどれくらいかが目で読めない。

「2025年は実績なので数字を入れといて、潰れてもいいから」と返した。 書き直された版では、2025年バーの内側に「Amazon 83 / Microsoft 80 / Alphabet 75 / Meta 72」が白文字で(Metaだけ背景が明るいので黒文字で)入った。 ここで気づいたのが、**「2026年と2027年のバーにもOracle と CoreWeave の数字が入ってない」**という抜けだった。 2025年だけ実績で他は予測だったので、Claude Code が予測値の表示はためらった、ように見えた。

「26年も27年も入れといて」とさらに追加で指示。 このとき副作用的に「785B」のラベル位置がずれてしまい、上の注釈と重なりかけたので、元に戻す微修正がもう一度入った。 最終的に3本の棒すべてに6社の数字が読める形になって完成した。

学びとして残ったのは、積み上げ棒チャートは「数値が目で読めるか」をプレビューしてから合否を判定すべきということ。 一発で出てくるSVGは少なく、出来上がりを見て「ここの数字が見えない」と差し戻すのが3〜4回は当たり前、と腹を括ったほうが速い。

記事2: マッキンゼーのAI人材論

doc-communication スキルで骨格から組む

午前中はもう1本、毛色の違うロングフォーム記事を書いた。 マッキンゼーの「Rewiring Talent to Value in the age of AI」を読んで、その内容を自分の言葉で再構成する記事だ。 「AIがいる前提で、どの人を、どの仕事に、どう配置すれば価値が最大化するのか」を5ステップで整理しているフレームで、自分が普段 Claude Code 一人で増幅できる範囲を試している実感とちょうど重なった。

この記事は最初から構成検討が必要なタイプだったので、Claude Code に doc-communication スキルと svg-diagram スキルを両方ロードさせた上で書かせた。 doc-communication 側で「空・雨・傘」(状況・解釈・行動)の骨格を先に作ってから本文に落とす流れで、いきなり書き出さずに済む。

骨格が固まった段階で、図解2点を入れた要約版を memo/2026-06-22/mckinsey-talent-to-value-ai-summary.md に書き出した。

  • パラダイムシフト図: 「人を仕事に当てはめる」旧モデルと「価値の塊にAI+人を編成する」新モデルの対比
  • AI増幅器の図: 同じ人がAIを介して何倍の価値を出すかの構造

SVG図解の役割を絞る

この記事のSVGは2枚だけにした。 ロングフォーム自体が抽象論寄りだったので、図を増やしすぎると本文が薄まる。 「この記事で読者の頭の中に残ってほしい構図はどれか」を先に決めて、その構図のためだけにSVGを1枚ずつ充てた、というほうが近い。

このあたりは doc-communication スキルが「1ページ=1メッセージ」「メッセージに対応しない図表は捨てる」と繰り返し言ってくる効果が出ている。 図を作る前に Claude Code 自身が「これは入れるか?」と一度フィルタを掛けてくるので、余計な装飾図が混入しにくい。

SVGを多用する運用で見えた知見

svg-diagram スキルの追加リファレンスを毎回読ませる

svg-diagram スキル本体だけでは足りなくて、「追加リファレンスを原則として常に Read」と指定されたファイルが効いている。 これを Claude Code に毎回読み直させると、フォント・余白・凡例・タイトルラインなどのデザインが過去のSVGと揃う。 記事間で図のテイストがバラバラだと長文サイト全体が散らかって見えるので、ここは省略させずに毎回踏ませた方がいい。

既存SVGを1枚見せると速い

新しい記事で初回のSVGを作らせるときは、過去に作った diagram-*.svg を1枚だけRead させてから「これと同じトーンで」と頼むのが速い。 スキルのテキストだけだとデザインの再現度が揺れるが、実例を1枚見せると線の太さ・色のトーン・凡例の置き方まで揃ってくる。

一発で出るSVGは少ない、と腹を括る

今回6枚+追加1枚+2枚=合計9枚のSVGを生成したが、一発でOKだったのはおそらく半分以下だった。 特に積み上げ棒・複数系列・予測と実績の混在は、初回では「何かが見えない」状態で出てくる。

ありがちな差し戻し:

  • 棒の中の数字が見えない → 棒の内側に白文字で入れる
  • 数字の有効桁数がバラバラ → 単位込みで揃える(83 / 80 / 75 のように整数Bで統一)
  • 予測値が抜けている → 実績と予測の判定が曖昧なときは「予測も全部入れて」と明示する
  • ラベル位置の重なり → 微修正を1ターン挟む

これらは Claude Code 側のミスというより、自分の指示が「数字が読めるように」と最初に言っていないことに起因する。 3回目以降のセッションでは「数字は棒の内側に白文字で全部入れて」と最初から伝えるようにしたら、差し戻し回数が減った。

書き手側のレイヤーで判断するのは「何をどの図で見せるか」だけ

今回いちばん腹落ちしたのはここで、SVGの実装は Claude Code に完全に任せられる。 自分がやっているのは、

  • 本文ドラフトを書く
  • 「ここは図がないと読者の頭に入らない」という箇所を指差す
  • 出てきたSVGを見て「数字が読めない」「ラベルが重なってる」と差し戻す

の3つだけになった。 ロングフォームの市況解説 + SVG図解の組み合わせは、書き手側の認知負荷を増やさずに記事の情報密度を上げられる、という意味で相性が良い。

振り返り

同じ日に毛色の違う2本のロングフォームを書いて、図を合計9枚入れた。 書く前は「両方やると半日溶ける」と覚悟していたが、実際は午前中にマッキンゼー記事の骨格と図2枚、午後にデータセンター記事の文章とSVG6枚+追加積み上げ棒1枚、で収まった。

スキルとして doc-communication(骨格) / svg-diagram(図) / honda-sakubun(文章)の3つを揃えて、用途別に Claude Code に読み込ませる運用が回り始めている。 記事の品質を一段引き上げているのはこの3点セットで、特に図のテイストを揃えてくれる svg-diagram の追加リファレンスは外せない。

明日以降ロングフォームを書くときの自分用メモ:

  • 図にする箇所を本文ドラフトの段階で印を付けておく(後で「ここ」と指差しやすい)
  • 積み上げ棒を頼むときは「数字は棒の内側に全部入れて」と最初から伝える
  • 既存SVGを1枚 Read させてから新規SVGを頼む
  • ファクトチェックは別タスクで並列に走らせて、本文ドラフトと突き合わせる