AIトークン工場の解説記事ができるまで: 1時間超のディープリサーチと並走してウォーターフォール図を3枚に育てた
AIトークン工場の解説記事ができるまで: 1時間超のディープリサーチと並走してウォーターフォール図を3枚に育てた
読んでいる有料メルマガの最新号が、AIビジネスを「トークン製造工場」の一言で説き切っていた。データセンターという工場を建て、NVIDIA製の製造機械に電気を入れ、できたトークンを世界中に売る。Tシャツを作って世界に売る工場と構造は同じだ、という論である。
この見方は手元に置いておきたい。図解付きの解説記事に仕立てることにした。
朝8時に号の本文を貼り付けて指示を出した直後、セッション上限に当たった。再開は昼近く。それでも段取りは単純なはずだった。本文をまとめ、図を作り、数字の裏を取る。その3手で済むはずの作業が、終わってみれば本文の全面書き直しと図の増築を何往復も挟むことになった。
1時間超のディープリサーチと並走する
先に済ませたいのは数字の裏取りだった。メルマガの事実主張をChatGPT Proのディープリサーチに投げて検証させる。chatgpt-proスキルでブリッジを注入し、あとは進行を定期的にポーリングする構えにした。
投げてから答えが返るまでが長い。17分、40分、1時間。ポーリングのたびに返ってくるのは、検索ステップの数字だけが増えていく途中経過だった。
待っている時間は空けない。svg-diagramスキルで図解を作らせ、テキストレイアウトのlintを通し、ドラフト記事をmemoに書かせた。
リサーチの結果が返ってきたところで検証結果を本文に流し込み、記事を全面的に書き直させた。図も検証結果に合わせて修正し、描画が崩れていないことまで確かめさせた。それで終わりではなく、細部の疑問は追い質問として投げ直し、ポーリングを続けた。確認に使ったQAタブは、見終わるたびに閉じさせた。開きっぱなしのタブは次の確認で別の画面を見る事故のもとになる。
公開しない、と決める
記事の置き場を探しに行って、気づいた。ドラフトはmemo側にあるのに、記事本体は公開記事の扱いになっている。中身は有料コンテンツの要約で、手元で読み返せれば足りるものだ。非公開でいくと決めた。
frontmatterに unpublished: true を付けさせ、/blog/unpublished の判定ロジックを確認させた。
一覧側の検証はひと手間あった。カレンダー表示では7月19日が画面の外に出ていたので、スクリーンショットの目視だけで済ませず、DOMでリンクの存在を確かめさせた。🔒付きで一覧に並んでいた。
「反映待ち」の残骸を掃く
これで記事は最終版になった、と思っていた。
ところがマークダウンを開くと、ドラフト段階の表記や「ファクトチェック反映待ち」のままの数値がまだ残っていた。描画は確認していたのに、ソース側の残骸が視界に入っていなかった。画面で見えるものと、ディスクに書かれているものは別物だった。
ディスク上の現状を確認させてから最終版に置き換えさせ、描画側でも「ドラフト」「反映待ち」の文字が消えたことを確かめさせた。全面書き直しをした日ほど、旧版のマーカーが残りやすい。
原価をウォーターフォールにする
数字が固まると、今度は見せ方が気になってくる。原価の内訳は表で正確に並んでいるが、どこが重いのかが一目で入ってこない。
図の注文を2本に整理した。ひとつはラック部材費の内訳のウォーターフォール化。テーブルは消さずに残したまま、図を足す。もうひとつはP/Lの構造で、売上から原価を引いて粗利に至る流れをウォーターフォールで見せる。P/Lの方は先の書き直しで形になっていたので、新規に起こすのは原価の内訳だけだった。
2本構成が組み上がったところで、記事に登場する順に図番号を振り直させ、lintとブラウザの目視確認まで通した。
「作らなかった理由」を問い直したら図が1枚増えた
バーンスタイン系の約910万ドル推計で作った原価の図を眺めていて、引っかかった。モルガン・スタンレーの推計でも同じ図を作らなかったのは、なぜだったか。GPU項目にHBM4が含まれて二重計上になるから、と覚えていた。
聞き直すと、記憶は半分だけ正しかった。二重計上が問題になるのは「両推計をひとつの図に混ぜて足す」場合であって、モルガン・スタンレー系単独のウォーターフォールが作れない理由ではない。作らなかった本当の理由は、この推計ではHBM4がGPU項目に呑み込まれていてメモリの内訳が見えず、図としての主張が弱いという選択だった。
制約ではなく選択なら、話は変わる。単独図として並べれば、推計の系統ごとに内訳の切り方がどう違うかまで見える。
モルガン・スタンレー系のウォーターフォールを図1として新規に作らせ、バーンスタイン系を図2、P/Lを図3に振り直した。SVGをBashのコピーで量産した副作用で、編集の前にReadを挟む一手間も発生した。
最後の描画確認ではエラーページに出くわしたが、記事固有の問題かサイト全体かを切り分けると、devサーバーが起動しきっていないだけだった。200が返るのを待ち、3枚の図が崩れずに並ぶのを見て作業を締めた。
朝の時点で図は1枚だった。それが最後には、推計2系統の原価とP/Lの3枚になっていた。トークンを作って売るだけの簡単なビジネス、という論の解説は、簡単には仕上がらなかった。数字の裏を取り、残骸を掃き、図を育てて、記事は非公開のまま手元に残った。次にメルマガの号をまとめたくなったとき、この往復をどこまで短くできるだろうか。
学びメモ
- ディープリサーチは1時間を超えることがある。待ち時間に図解の作成とドラフト執筆を進める並走で、体感の待ちはほぼ消えた
- 全面書き直しの後は、描画だけでなくソースのマークダウンも見る。「反映待ち」マーカーの残骸は、描画確認だけではすり抜ける
- 「作らなかった理由」は制約と選択を分けて覚える。二重計上は「混ぜて足す」ことへの制約であって、単独図を並べることは妨げない。問い直したら図が1枚増えた
- アナリスト推計が複数系統あるときは、1枚の図に混ぜず、系統ごとに1枚ずつ作って並べる
- 描画確認でエラーページが出たら、まず記事固有かサイト全体かを切り分ける。今回はdevサーバーの起動待ちだった