Illustratorの.aiファイルはSVGに移すべきか。1,528本を棚卸しして移行計画を立てた
手元に残る Illustrator のファイルをどうするか、Adobe を解約したときに計画を立てた覚えがあった。
リポジトリの memo にあるはずだと思って探させたら、無い。 記事にも issue にも、セッションログにも無い。 Google タスクにも無い。
残っていたのは Google カレンダーの先日付の予定3件だけだった。 「Adobe移行①②③」。 作ったのは先月で、この Windows 機のログには痕跡が無いので Mac 側で書いたものだ。 中身は InDesign の話だけ。 拡張子 .ai の行き先は、どこにも決まっていなかった。
Illustrator が起動できるのは 2027 年 4 月末までである。
「SVGに移す」は自分の思いつきだった
計画を探させている間、自分では「SVG ベースに移行する話だったはず」と口に出していた。 探し終えてから気づいたのだが、その方針はどこにも書いていない。 過去の自分が決めたことではなく、いま自分が想像で足した言葉だった。
だからここは決め直しになる。 無料のソフトで開けるのか、月額でも買い切りでもいいから開いて編集できる先があるのか。 そこから調べさせて、計画書に起こすことにした。
1,528本を数えたら、前提が入れ替わった
まず本数を数えさせた。 ユーザーフォルダ配下を深さ8まで走査して、AppData と node_modules と .git は除外する。
| 場所 | 本数 |
|---|---|
| Dropbox のコンテンツ制作フォルダ | 1,183 |
| OneDrive(オンライン限定で未取得) | 324 |
| 事務所まわりのフォルダ | 9 |
| リポジトリ配下 | 12 |
| 合計 | 1,528 |
論理サイズで 5.4GB。 本数より、中身のほうが判断を変えた。
先頭バイトまで読めた 1,201 本は、1本残らず PDF 互換形式で保存されていた。 Illustrator 9 以降の既定である「PDF 互換ファイルを作成」がずっとオンのままだった、ということになる。 この形式なら、Affinity でも Inkscape でも開ける。
つまり読めた分にかぎれば、Adobe が切れた瞬間に開けなくなるファイルは1本も無い。 「移行しないと読めなくなる」という緊急事態は、最初から存在していなかった。 OneDrive の 324 本はオンライン限定のままで、中身をまだ見ていない。
ハッシュも取らせた。 SHA-256 が完全一致するものが 253 グループ、557 本あり、うち 304 本は重複。 ユニークは 897 本で 4.1GB。 そのユニークの 91%(817 本)が 2017 年から 2021 年の更新で止まっている。
全部変換する案を捨てるまで
ここで迷った。 機械的に全部 SVG にしてしまえば、選ぶ手間がゼロになる。 一方で、ユニークだけでも 897 本ある。 それだけの SVG が出てきたところで、崩れていないかを1本ずつ確かめる気にはならない。 フォントが解決されないまま積み上がるだけになる。
失うものを数え直したら3つに絞れた。 Adobe Fonts が失効して見た目が置き換わること。 効果やシンボルやグラデーションメッシュのような Illustrator 固有の機能が、後継ソフトで落ちるか近似になること。 そして、再編集したいのに Illustrator が動かなくなってからでは書き出せないこと。
3つとも刺さるのは「これから手を入れるファイル」だけだった。 見るだけの資料は、PDF 互換のまま置いておけばいい。
そこで方針を、現役だけ Illustrator 本体から書き出す形に組み替えた。 現役の目安は 30 本から 50 本。 迷ったら資料側に倒す。 書き出しは1本につき一式を出す。
原本と同じフォルダの _export/
├ アートボード別 SVG(テキストを残す)
├ アウトライン化した SVG
├ PDF と PNG
└ 使用フォント一覧
重複 304 本の扱いでも判断が割れた。 消せば 1.2GB 空く。 ただし .ai の配置画像はパスで参照されるので、中身が同じでも別パスのファイルは代替にならない。 動かした瞬間にリンクが切れるし、どの文書がどれを参照しているかを網羅する手段が無い。 結局、消す根拠を作れないまま残すことにした。 一覧に「重複」の印を付けて、仕分けの対象から外すだけにする。
Adobe Fonts には、確認手順のほうにも落とし穴があった。 表示確認を Adobe Fonts が有効なままでやると、手元にフォントがあるせいで正しく見えてしまい、失効後の崩れを見逃す。 無効にしてから開く、と手順に書き足した。
判断はターミナルではなく計画書のボタンに置いた
計画書は Codex にレビューさせた。 要修正が3回続き、4回目が承認不可、5回目でようやく承認。 直したのは、埋め込み SVG フォントの禁止、OneDrive の同名判定の撤回、受け入れ条件の強化、そして重複ファイルを動かさないことだった。 指摘のほとんどが、自分では詰め切れていなかった箇所である。
決めきれない4点は、ターミナルの選択肢ではなく計画書の HTML に3択ボタンで埋め込んだ。
<div data-decision="1"></div>
4問の中身は、SVG に書き出す範囲、後継ソフト、書き出しの実行手段、そして重複と古いバックアップの扱いである。 どれも前提を読みながらでないと選べない種類の問いなので、本文の直後にボタンが出る形のほうがいい。
成果物は計画書の Markdown と HTML、図2枚、棚卸しの CSV、判断事項の JSON になった。 ローカルの 8899 番でフォームを立てて Chrome に出すところまでやった。
棚卸しの副作用でDropboxが5GB降ってきた
先頭バイトとハッシュを取るには、中身を読む必要がある。 その結果、Dropbox のオンライン限定だった .ai が、まとめて 5GB ほど手元に落ちてきた。
戻し方を調べさせたら、コマンド(attrib +U -P)では Dropbox が反応しないという。
エクスプローラーの右クリックから「オンラインのみにする」を選ぶのが確実だと言うので、自分でやった。
処理はすぐには終わらない。 ローカルに残る .ai の本数を数え続けてもらったら、13時20分に705本、13時48分に10本。 30分近く、数字が減っていくのを横目で見ていた。
見ているうちに欲が出た。 PDF も最近はほとんど開いていない。 本を読むときにビューアーから開くくらいで、実体をディスクに置いておく理由が無い。 全部オンラインのみにしたら、どれくらい空くのか。
測らせたら、まだディスクに残っている分のうち約 59GB が空く計算だった。 そのうち 51GB が PDF である。 読みが合っていたので、Dropbox はまるごとオンラインのみに切り替えた。 最終的に、Dropbox がこの PC に置いている実体は 1.5GB まで落ちた。
Affinityは入ったが、ログイン画面で止まった
後継ソフトの本命は Affinity に置いた。 Affinity 公式サイトによれば Windows、macOS、iPad で動く。 .ai も PDF も IDML も1本で扱えるので、InDesign 側の移行とも共通化できる。 SVG を直接編集する用途には、Inkscape の Illustrator ユーザー向けガイドを見つつ Inkscape を補助に置く案にした。
Illustrator が入っているのはこの Windows 機なので、まずこちらに 3.2.3 を入れてもらった。 winget で通った。
起動したところで Canva アカウントのログイン画面が出て、そこで止まった。 ここから先は自分でログインしないと進めない。 .ai を1本開いて編集の感触を見るところまでは届かなかった。
Creative Cloud を Illustrator と Acrobat だけにした
C ドライブの空き容量の内訳を出させたら、Dropbox の次に大きいのが Adobe だった。 インストール済みの一覧を見ると、Illustrator だけで 2021、2022、2024、2026、Beta が並んでいる。 After Effects も Premiere Pro も年度違いで積み上がっていた。
アンインストールは自分でやりたかったので、手順だけ出してもらった。 Program Files の Adobe フォルダを直接消すのはやめておけ、というのが最初の注意だった。 残骸フォルダを測ったら合計 0.3GB しかなく、専用ツールを持ち出す価値も無かった。
Creative Cloud から1本ずつ消していく途中で、「待機中」から動かないものが出た。 プロセスを見てもらったら、アンインストールが止まっていたのではなく、Creative Cloud の自動更新に順番を取られていた。 Media Encoder のベータ版の更新が裏で走っていたせいで、削除の列が進まなくなっていた。 自動更新をオフにして、管理者権限で更新プロセスを落としてもらったら、また1本ずつ流れ出した。
思い切って、Illustrator と Acrobat だけを残した。 Photoshop も消した。 もともと開いていなかったので惜しくはない。 ベータ版の2本は別のタブに入っていて、そこは手つかずのままである。
ただ1本、消してはいけないものを消した。 InDesign 2026 である。 14時04分に消えたあとで、12月の予定は InDesign から .indd をパッケージ、IDML、PDF に書き出す回だと指摘された。 再インストールが1手増えたので、カレンダーの説明文に書き足す必要がある。 これは明日に回した。
C ドライブの空きは 101GB から 233GB になった。 増えた分のほぼ全部が Dropbox と Adobe だった。
走りっぱなしのプロセスも止めた
朝のうちに /procs で開発プロセスの棚卸しもさせている。
dev サーバー1本と Playwright のテストサーバー、それに chrome-devtools の MCP を4つ止めた。
空き物理メモリが 8.9GB から 12.4GB に戻った。
明日へ回したもの
決裁フォームの4問には、まだ答えていない。 サーバーは終業時に落とした。 一日かけて前提は入れ替わったのに、肝心の選択はひとつも確定していない。
締めは /wrap-up で計画書に書き戻し、/add-task で明日のタスクに積んだ。
残っているのはこれだけある。
- 決裁フォームを立て直して、4問に答える
- Affinity に Canva アカウントでログインし、.ai を1本開いて編集の感触を見る
- カレンダーの12月の予定に「先に InDesign を再インストール」を書き足す
- 計画書と CSV と図をコミットする(いまは Windows 機の作業ツリーにしか無い)
数え終わってから決め直したほうが早い、というのが今日の収穫だった。 1,528 という数字を見る前は、全部を SVG に変換する話だと思い込んでいた。 数えたら、危ないのは 30 本から 50 本だけだった。 その 30 本から 50 本を選ぶ作業は、まだ誰にも渡せていない。