「Dropbox Backupが動作を停止しました」を調べたら一度も動いていなかった
デスクトップに「Dropbox Backup が動作を停止しました」というアラートが出ていた。
心当たりはあった。 7月末に、コマンドで再帰的にファイルを削除してしまう事故を起こしている。 そのとき巻き込まれたものの一つがこれのはずだった。 経緯を書いたドキュメントも残っている。 直さないまま後回しにしていた積み残しが、いま催促に来た。 そう説明して、何をどう復活させればいいかを調べてもらった。
最初の手がかりが思い込みを裏付けた
同期DB nucleus.sqlite3-wal の更新が 2026-07-29 07:25 で止まっていた。
削除を実行した時刻そのものだった。
事故で壊れているのは確定だと思った。 あとは、何が失われたのかを数えるだけだ。
テーブルの件数が1だった
WAL を反映して凍結した同期DBのテーブルを読んでもらった。
| テーブル | 件数 | 意味 |
|---|---|---|
local_tree | 1(ルート番兵のみ) | ローカルのファイルを1件も取り込んでいない |
synced_tree | 1(同上) | 1件も同期していない |
remote_tree | 3 | ルート、PC、Documents.dbx-computer-backup。クラウド側の入れ物だけ |
deleted_files | 0 | 削除された記録も無い |
失われたファイルの一覧が出てくると思っていたら、取り込んだ形跡のほうが無かった。
ここで見立てが変わった。
これは壊れたのではなく、そもそも一度も使っていないのではないか。
履歴を追えるかと聞いてみた。
「local_tree と synced_tree がルート1行だけである以上、一度もファイルを取り込んでいないことは確定します」。
そういう答えが返ってきた。
ローカルのDBだけでは決められない
DB そのものが事故で壊れて件数が飛んだ、という筋もありうる。 だからクラウド側も見てもらった。
PCフォルダは存在する。ただし 0バイト、0件、ステータスは「確認が必要」、前回のバックアップは「--」- プランの容量内訳でも、バックアップは 0バイト
- 「削除したファイル」も過去30日で0件
離れた二つの場所が同じことを言っていた。 決め手は「前回のバックアップ: --」と容量内訳の0バイトのほうで、削除済みの一覧は過去30日しか遡れない。事故は40日前なので、こちらは補強にしかならない。
途中の説明が訂正された
調査の途中では、30日の保持期間を過ぎて完全削除されたのだろうという説明が返ってきていた。 それを一度は受け取っていたが、誤りだったとあとから訂正が入った。
30日を過ぎて消えたのではない。 最初から何も入っていない。
事故が壊したのは、ローカルの状態フォルダだけだった。 アラートは「状態フォルダが壊れている」という警告であって、データ消失の通知ではなかった。
設定のほうは残っていた。 対象は「ドキュメント」1件で、設定マーカーの作成は 2020-08-19。 6年前に設定したまま、一度も動かなかった。 壊れたときになって、初めて自分の存在を主張したことになる。
再設定しても元には戻せない
では今から有効にすればいい、とはならなかった。
ドキュメント、デスクトップ、画像は、今では OneDrive にリダイレクトされている。 Windows の既定フォルダはリダイレクト先を1つしか持てないので、Dropbox Backup と OneDrive が同じフォルダを同時に抱えることはできない。 2020年に設定したときは、既定の Documents がまだ実体だった。 守りたいものの置き場所そのものが、すでに引っ越したあとだった。
載せるとしたら、どれだけ増えるのか
有効にすると支払いが増えるのではないかと気になったので、容量を実測してもらった。
- 使用量は 456.6 GB / 2 TB、空きは 1.6 TB
- ダウンロード 2.95 GB、779 ファイル
- デスクトップ 3.23 GB、951 ファイル
- ドキュメント 11.23 GB、94,676 ファイル
支払いは変わらない。 既存の容量枠を消費するだけで、3フォルダ全部を載せても約 17.4 GB、空きの1%に収まる。
ただし、対象に選べるのはデスクトップ、ドキュメント、ダウンロードの3つと外付けドライブだけだった。 任意のフォルダは指定できない。
決めたこと
- Dropbox Backup は再設定しない。ドキュメントは OneDrive が守っている。載せられるのは実質ダウンロードだけで、守る価値が薄い
- クラウドに残った空の
PCフォルダは消さない。削除操作は一切させなかった - アラートのダイアログは閉じた。Win32 ダイアログに WM_CLOSE を送っただけで、設定も削除も触っていない
恒久的に止める手段は見つからないまま終わった。 Dropbox が提示する解決は「ダウンロードする」か「Dropbox から削除する」の2択で、削除は禁止にしてある。 アプリの環境設定はトレイ経由でしか開けず、自動操作では届かなかった。 また出たら閉じる、という運用で当面しのぐ。
この機能では守れないもの
- 業務用の申告ソフトは、データの実体がどこにあるか未確認。インストーラ用のフォルダには実データが無く、DB側にある可能性が高い
- C ドライブ直下に置いた業務用の証明書フォルダ2つ(計 1.3MB)は、そもそも Dropbox Backup の対象外
どちらも小さいので、別手段で足りるはずだ。 ただ、どこに何があるかを確かめていない状態が残った。
同じ朝に出ていたもう一つの警告
起動時に、セッション履歴のバックアップが「最終成功から43時間」と警告を出していた。
こちらも壊れたのかと思ったが、同日の定期実行で3系統とも成功して解消していた。 クラウドドライブと外付け SSD が 07:00、設定リポジトリの同期が 07:05。 恒久的な不具合ではなく、実行間隔が空いていただけだった。
気づけなかった6年間
消えたものを数えるつもりで始めて、数えるものが無いと分かって終わった。
バックアップが動いていないことは、動かなくなるまで分からない。 6年間、その事実に触れる機会が一度も無かった。
守れていないもののほうは、まだ一覧に書き出しただけで手をつけていない。