IPから住所に届くまでの距離と、SNSアカウント50個の原価計算を同じ日に書いた

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IPから住所に届くまでの距離と、SNSアカウント50個の原価計算を同じ日に書いた

朝に調べたのは、隠れて書いた人がどこまで辿られるかだった。 昼に調べたのは、辿られない側が数を増やして商売になるかだった。 同じ匿名性を表と裏から一度ずつ触った一日になったが、そう組み立てて始めたわけではない。

掲示板の運営者は、なぜ書き込み元のIPを持っているのか

朝いちばんに引っかかったのは、匿名の投稿サイトの運営者が、書き込んだ人のIPアドレスを教えてくれるという話だった。 なぜ運営者がそれを持っているのか。

答えは特別でもなんでもなかった。 Webサーバーは接続元のIPを必ず受け取る。 受け取ったIPと時刻をログに残しているだけで、運営者が何かを仕込んでいるわけではない。 隠す余地はそもそもない、というのが正確な言い方になる。

ただし、IPだけでは住所は出ない。 住所に届くには段が要る。

① サイト運営者     → 書き込み時のIPとタイムスタンプ
② そのIPの割当先   → 回線を提供しているISPの特定
③ ISP             → 契約者の氏名と住所

この①から③を踏むには、2段階の法的手続きが要る。 正規に通すと通常3〜7か月、費用は30〜60万円かかると調べがついた。 一方、話題になっていた2000円という金額は①だけを指していた。 しかも裁判所を通さない任意の開示である。 桁が違って見えるのは、買っているものが違うからである。 ①で止まるのと③まで行くのとでは、届く先が別だった。

ここまでを公開記事にした。

書き上げたあと、Chromeで先頭から末尾までスクロールして描画を確認した。 崩れも強調崩れも横スクロールもなく、外部リンク4本はすべて別タブで開く設定になっていた。

そのままの流れで、前に英語で書いてあった記事2本を読み直させ、日本語版を作らせた。 元の英語ファイルは消さずに残し、同じディレクトリに日本語版を並べてある。

端末を50台並べたら、何が先に詰まるのか

昼に持ち込んだのは、まったく別方向の問いだった。 安いAndroid端末を50台並べて、SNSアカウントを回したらどうなるか。 端末は1万円で買える。 文章は生成AIに書かせればいい。 自分としては「技術的には動くだろう」と踏んで投げた。

そこは当たっていた。 技術としては実際に動く。 ただし律速は端末でもAIでもなく、電話番号とIPアドレスのほうだった。

初期のハード代は50〜110万円と見積もってもらった。 ただしそれより高くつくのは、BANされるたびにアカウントを取り直すループのほうだった。 50アカウントを自動で回すこと自体、主要SNSの規約では明確にアウトである。 この前提は最初に置いたうえで先に進めた。

「電話番号なんてSIMを作ればいいじゃないですか」と食い下がったら、そこがいちばん難しいと返ってきた。 壁を3つに分けて、効く順に並べてもらった。 最初に効くのは、名義あたりの契約回線数に上限があることだった。 つまり日本では、端末を買い集めるより前の回線調達の段階で止まる。

では仮に回っていたとして、何で稼ぐのか。 自分の見立ては「いいねを獲得するマーケティング会社」あたりで、グレーというかアウトだろうとは思っていた。 方向は当たっていた。 ただし、いいね販売は数を揃えて初めて成り立つ商売で、50アカウントでは桁が2つか3つ足りない。 50台の規模で成立しうるのは、アフィリエイトの送客とアカウントの売買くらいだと整理してもらった。

ここまでのコスト前提でP/Lを引いてもらって、答えが出た。

50という規模で成立する収益モデルが存在しない。

マネタイズの方法が見つからないのではなく、50という数字がどのモデルに対しても中途半端だった。 規模で勝つ商売には小さすぎる。

裏取りの途中で、記事の柱が入れ替わった

記事にすると決めて、執筆規約の読み込みと数値の裏取りを並行で走らせた。 そこで出てきたのが、Xの収益分配の話だった。

旧制度は2026年9月7日で終了し、9月8日から新しい制度に切り替わっていた。 返信がインプレッションの算定から外れている。

返信を大量に投げて表示回数を稼ぐ形は、その時点でもう前提が崩れていた。 記事の柱をそこで組み直した。 調べ始めたときに持っていた前提が、調べ終わる前に古くなっていたことになる。 気づかないまま書いていたら、公開した瞬間に間違いだった。

技術面の主張についても、書き出す前に一つずつ裏を取ってもらった。

書く前の台帳と、書いたあとの機械チェック

事実が固まった時点で、本文に入る前に意味固定台帳を作らせた。 数値、日付、誰が何を言ったか、断定と推量の別を一覧にしておく。 推敲で文をいじる工程に入っても、そこが勝手に動かないようにするための控えである。

本文は長くなったので、2回に分けて書き出した。 書き終えてから機械チェックを回した。 全て通った。 仕上げにhonda-sakubunの校閲パスを当て、HTML検証も通した。 最後にブラウザを開いて描画を確認した。 見出しの先頭に出る # は当サイトの意図した装飾で、バグではない。 表の部分まで見て、そこで終わりにした。

学び

  • 調べている最中に制度が変わっていることがある。裏取りは執筆の前工程ではなく、記事の骨組みを決め直す工程だった。9月7日と9月8日を挟んでいたと気づかなければ、古い前提のまま公開していた。
  • 「できるか」と「儲かるか」は別の問いだった。50台構想は技術では止まらず、回線の本人確認と収益モデルの規模で止まった。詰まる場所は、自分が面白いと思っている場所の外側にあった。

朝と昼で共通していたもの

朝に調べたのは、匿名で書いた人がどこまで辿られるかだった。 昼に調べたのは、辿られない側が数を増やせるかだった。 どちらも最後は、回線の契約者が誰かという一点に戻ってくる。

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