AIバブルの崩壊を先に検知する指標を探して - メルマガ2年分の検証からAIクレジット・モニター実装まで

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年初と直近で言っていることが違う気がする

長年購読している投資系メルマガがある。 著名個人投資家が書いていて、Gmail に配信されてくる。 年初に掲げていた戦略と昨日の号の話が、全く違う気がした。 記憶で議論しても仕方がないので、Claude Code に Gmail からメルマガを取得させ、今年の投資戦略の発言を時系列で突き合わせてもらうことにした。

取得は素直には進まなかった。 たまっていた配信メールは250通余りで、今年の戦略記事に絞ると35通ほどだった。 ところが、保存させたファイルはどれも500文字ほどで切れている。 メール読み取りコマンドが出力を切り詰めていただけで、生の API レスポンスを見ると HTML 本文は 24KB あった。 HTML からテキストを抽出し直して、今年分だけで約7万字になった。 これをチャート付きの HTML にまとめさせた。 意見が変わった箇所ごとに、変更をどのパラメーターの変化で説明しているか、それとも説明なしに変わっているかを見る作りだ。

記憶にあった空売り推奨のゆくえ

結果を眺めているうちに、記憶がひとつ引っかかった。 この人は、大手半導体銘柄の空売りを推奨していた時期がなかったか。 1年遡って昨年分も取得させ、検証を2年分の約100通に広げた。

空売り推奨は実在した。 昨年秋の号に、ほかの著名銘柄と並ぶ空売り指定として載っていた。 そして数日後の号では銘柄欄から無言で消え、以後、一度も総括されていない。

ここで購読をやめるかどうかを考えた。 昔活躍した人の意見くらいに感じ始めていたのは事実だ。 ただ、AI と議論しているうちに逆の結論に落ち着いた。 この人は数年来一貫して AI バブル論者で、その懐疑を降ろすとしたら、マジョリティの総楽観という相当な圧力がかかった後のはずだ。 だとすれば、著名投資家が AI の実需に気づいて転向した時点は、マジョリティの気分が反転した時点として観測できる。 多分そこがマジョリティの反応なのだ。 皮肉なことに本人も直近の号で、未熟な投資家が一斉に飛び乗った瞬間が天井になりうる、という趣旨を書いていた。 転向の日は、本人が警告しているその瞬間の観測点にもなる。 気分の測定器として購読を続ける。 そう自分なりに整理した。

実需はあるとして、では何を追うか

私はそもそもバブルだとは思っていない。 この会話ひとつとっても、使った分だけ計算資源が燃えている。 実需は普通にある。 そう言ったら、実需の実在とバブルは両立する、と返ってきた。 鉄道もインターネットも実需は本物だったが、ナスダックは8割落ちた。 問われるのは実需の有無ではなく、価格が実需の何年先まで前借りしているかだ、と。

それでも最後は NVIDIA で終わると思っている。 NVIDIA が作った相場だからだ。 ただ順序で言えば、決算が崩れるより先に、ハイパースケーラー側かソブリン AI 側の購入が止まるときが来る。 それを何で追えばいいのか。

2000年のドットコムバブルでは、崩れは金融、発注、生産、決算の順に伝わったという。 韓国輸出、台湾受注、TSMC 月次、機械受注、メモリー価格、決算ビート監視という自分の観測網は、後半の生産と決算に厚く、前半の金融と発注が空いていると指摘された。 2000年に最初に折れたのは、シスコでも受注でもなく、CLEC(新興通信キャリア)の社債市場だった。 今回の構図で CLEC に当たるのは、借金で GPU を買って貸すネオクラウドと、その貸し手のプライベートクレジットだ。 CRWV、NBIS、OWL あたりの株価と調達金利は、ハイパースケーラー本体よりはるかに限界的なので、購入が止まる何四半期も前に悲鳴を上げる、という類推になる。 7月末のシチュエーショナル・アウェアネス事件で売られたのが、まさにこの一角だったという指摘も添えられていた。 そうなんだ、と返した流れで、決算ビート監視のページと同じ流儀のモニタリングページを作ってもらうことに決めた。

買い手の財布を監視するページを作る

その場で、AI クレジット・モニター(買い手の財布)というページ(/ai-credit-monitor)の実装に入らせた。 追うのは FRED のハイイールドスプレッドと、ネオクラウド周辺の株価の日足だ。 FRED は API キー無しで取れた。 株価は、最初に試した stooq がボット検証でブロックしてきたので、Yahoo の API に切り替えた。

細かい罠をいくつか踏んだ。 curl の -w オプションに改行を含めると、Windows のプロセス起動が壊れるようで、改行を使わない区切りマーカー方式に直した。 FRED は User-Agent ヘッダを付けるとタイムアウトする。 取得スクリプトは、FRED はヘッダ無し、株価系はヘッダ有りに分岐させた。 テストも1件落ちた。 FRED は祝日にスプレッド 0 を入れてくることがあり、スプレッドが 0 はありえない値なので、欠損として除外した。 0値の8点を除いた787点で再生成した。 株価チャートは対数軸に切り替えて、銘柄同士の伸びを比べられるようにした。

途中で一度、自分が何を頼んだのか分からなくなって「今これ何やってますか」と聞いてしまった。 やっていたのはクレジットモニターの実装だった。 指標の議論からそのまま実装へなだれ込んだから、だと思う。

最終的にテストは17件すべて通った。 トップページに導線を足し、更新用の /update-ai-credit-monitor スキルも整備して、5コミットで締めた。

モニターが最初に映した値

仕込んだ日のハイイールドスプレッドは、8月13日値で 2.71%だった。 歴史的にかなりタイトな水準で、市場は楽観の極みにいる。 著名投資家の気分という指標と、クレジットスプレッドという信用市場の指標。 今日はその両方を観測網に加えた。 どちらが先に動くかは、まだ分からない。

#投資#AIバブル#FRED#モニタリング