固定資産税 — 毎年1月1日の所有者が払い続ける地方税
この章の主張
- 納税義務者は毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に登録された所有者である。
- 課税標準は評価額が原則だが、住宅用地は200㎡を境に1/6と1/3に圧縮される。
- 税率1.4%を掛けたあと、新築住宅は税額が1/2に減額される二段構えで計算する。
1. 納税義務者と課税対象 — 1月1日の所有者が1年分を払う
地方税法第343条と第359条は、固定資産税の納税義務者を「賦課期日に固定資産課税台帳に登録された所有者」と定め、賦課期日を毎年1月1日に固定します。年の途中で売買しても、1月1日に登録されていた所有者が1年分を全額負担します。
地方税法第343条第1項: 「固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。」(→ e-Gov 地方税法)
1.1 賦課期日 — 毎年1月1日
地方税法第359条で賦課期日は毎年1月1日と固定されています。1月2日に売買が成立しても、年税額は1月1日所有者である売主に課されます。市町村は4月以降に納税通知書を送付し、原則として6月・9月・12月・翌2月の4期に分けて徴収します(市町村条例で時期は変動可)。
1.2 課税対象 — 土地・家屋・償却資産
地方税法第341条は固定資産を土地・家屋・償却資産の3区分に分けます。土地と家屋は3年に1度の基準年度に市町村が一括評価しますが、償却資産は所有者が毎年1月末までに申告する点が異なります(地方税法第383条)。
⚠️ 試験での問われ方
- 1月2日に土地を売却した売主 → その年度の固定資産税を全額負担する
- 1月1日時点で登記簿上は前所有者、台帳は新所有者 → 台帳所有者が納税義務者
- 売買契約で「買主が固定資産税を負担する」特約 → 課税庁に対しては売主が全額負担(特約は私的精算)
- 償却資産 → 所有者の毎年申告が必要(土地・家屋とは異なる)
2. 課税標準 — 固定資産税評価額に住宅用地特例で大幅減額
地方税法第349条は課税標準を固定資産課税台帳に登録された価格と定めます。土地や家屋の価格は、総務大臣告示の固定資産評価基準に従い市町村長が決定します。住宅用地については第349条の3の2が特例を設け、課税標準を大幅に圧縮します。
2.1 住宅用地特例 — 200㎡を境に1/6と1/3
地方税法第349条の3の2は、住宅用地のうち1戸あたり200㎡以下の部分を「小規模住宅用地」として課税標準を1/6に、200㎡を超える部分を「一般住宅用地」として1/3に圧縮します。共同住宅は戸数×200㎡で小規模部分が判定されます。なお適用上限は1戸あたり住宅床面積の10倍までで、10倍を超える広大な敷地部分には特例が及びません。
2.2 評価替え — 3年に1度の評価額見直し
地方税法第409条は土地・家屋の評価額の見直しを3年に1度の基準年度で行うと定めます。直近の基準年度は令和6年度(2024年度)で、令和7年度・8年度は原則として据え置かれます。地価が下落した場合は据置年度でも評価額を引き下げる「下落修正」の運用があります。
⚠️ 試験での問われ方
- 200㎡以下の住宅用地 → 課税標準が評価額の1/6
- 300㎡の住宅用地 → 200㎡まで1/6、残り100㎡が1/3の面積按分
- 床面積30㎡の住宅で敷地500㎡ → 床面積の10倍=300㎡までしか特例は及ばない
- 店舗併用住宅 → 居住部分が建物の1/2以上で全体が住宅用地扱い
3. 税率と免税点 — 標準1.4%、新築住宅は半額減
地方税法第350条は標準税率を1.4%と定めます。平成16年度の改正で制限税率は廃止されており、市町村は条例で上下に動かせます。第351条は土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円を免税点とし、同一区域内の同一所有者の合計課税標準がこの額未満なら課税しない仕組みです。
3.1 標準税率と免税点
標準税率1.4%は税額計算の基本式で「課税標準×1.4%」となります。免税点は地方税法第351条で土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円。複数の土地を持つ場合は同一市町村内の合計で判定するため、1筆ずつでは免税点未満でも合算で超えれば課税されます。
3.2 新築住宅の税額減額特例
地方税法附則第15条の6は、床面積50㎡以上280㎡以下(賃貸住宅は40㎡以上)の新築住宅について、120㎡部分までの税額を1/2に減額します。減額期間は一般住宅で3年度分、3階建以上の中高層耐火住宅で5年度分。長期優良住宅はさらに延長され、一般5年・中高層7年となります。
⚠️ 試験での問われ方
- 床面積40㎡の新築賃貸住宅 → 賃貸の下限40㎡を満たすので減額対象
- 床面積300㎡の新築住宅 → 280㎡を超えるため対象外
- 床面積150㎡の新築一戸建(一般住宅) → 120㎡部分のみ1/2減額、3年度分
- 床面積150㎡の3階建耐火新築 → 120㎡部分を5年度分1/2減額
- 住宅用地特例(1/6・1/3)と新築住宅減額(1/2)はレイヤーが違う。前者は課税標準、後者は税額
4. 申告・縦覧・徴収 — 縦覧帳簿で他人の評価額も確認できる
固定資産税は市町村が税額を計算して納税通知書を送る普通徴収方式です(地方税法第364条)。納税者は毎年4月の縦覧期間に縦覧帳簿を見て、自分の土地・家屋の評価額が他の同種物件と比べて適正かを確認できます(第416条)。評価額に不服があれば固定資産評価審査委員会へ審査申出します(第432条)。
4.1 縦覧期間と縦覧帳簿
地方税法第416条は縦覧期間を毎年4月1日から、4月20日または最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までと定めます。納税者は土地価格等縦覧帳簿で同一市町村内の土地を、家屋価格等縦覧帳簿で同一市町村内の家屋を縦覧できます。償却資産は縦覧対象外である点が頻出です。
4.2 審査申出 — 評価額に不服があるとき
地方税法第432条は、固定資産課税台帳の登録価格に不服がある納税者は、納税通知書の交付を受けた日後3か月以内に固定資産評価審査委員会へ審査申出できると定めます。委員会は市町村に設置される独立機関で、評価額の取消・修正を決定します。税額そのものへの不服は市町村長への審査請求で扱う点と区別します。
⚠️ 試験での問われ方
- 縦覧帳簿で見られる対象 → 同一市町村内の土地・家屋(償却資産は対象外)
- 縦覧期間の起算 → 毎年4月1日から最短で4月20日または納期限の遅い日まで
- 審査申出の期間 → 納税通知書交付日から3か月以内
- 評価額への不服 → 評価審査委員会へ審査申出
- 税額への不服 → 市町村長へ審査請求(不服申立先が異なる)
このカテゴリから出る過去問
本カテゴリの過去問13問は、住宅用地特例(200㎡・1/6・1/3)が4問、納税義務者(1/1所有者)が2問、新築住宅減額が2問、縦覧・審査申出が2問、税率1問、免税点1問、その他1問という配分で出題されています。問題文・正答の出典は→ RETIO 試験情報。
個別問題の詳細解説は Phase 3 で
/takken/quiz/{year}/{q-number}/に展開予定です。
参照条文
- 地方税法 第341条(用語の定義): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第343条(納税義務者): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第349条(課税標準): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第349条の3の2(住宅用地特例): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第350条(標準税率): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第351条(免税点): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第359条(賦課期日): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第364条(徴収): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第383条(償却資産の申告): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第409条(評価替え): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第416条(縦覧): → e-Gov 地方税法
- 地方税法 第432条(審査申出): → e-Gov 地方税法
- 地方税法附則 第15条の6(新築住宅減額): → e-Gov 地方税法
参考書籍(論点漏れチェックに参照、本文の引用なし)
- みんなが欲しかった!宅建士の教科書(TAC出版, 2025年度版, ISBN: 978-4-300-11290-1, 該当章 P.420〜445)
- 1週間で宅建士の基礎が学べる本(インプレス, 第7版, 2024年, ISBN: 978-4-295-01923-4, 該当章 P.198〜210)
- 動画で学べる宅建士テキスト(日建学院, 2025年版, ISBN: 978-4-86358-947-1, 該当章 P.310〜325)
- パーフェクト宅建士基本書(住宅新報出版, 2025年版, ISBN: 978-4-910499-67-5, 該当章 P.512〜533)
関連カテゴリ
- 3_1 不動産取得税 — 同じ地方税で、評価額が課税標準になる点が共通
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3_3 所得税 — 地方税2税目を終えたら、国税の譲渡所得・住宅ローン控除に進みます。
本教材は 令和8年度(2026年度)宅地建物取引士資格試験 を対象として、2026 年 4 月 1 日時点で施行されている法令 に基づき執筆しています。法改正は
/takken/changelog/に掲載します。