うろ覚えを一次資料で裏取りして公開記事にした2本:特別会計の使途と、船井電機を扱った本のファクトチェック

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うろ覚えを一次資料で裏取りして公開記事にした2本

9月22日の朝、2つのセッションで同じことをやった。 頭の中にある「たしかこうだった」を Claude Code に投げ、一次資料で確かめてから、そのまま公開記事に仕立てる作業である。

1本目は特別会計の使途、2本目は船井電機の破産を扱った、ある経済ノンフィクションの素性。 題材は離れているのに、どちらも「あると思っていたもの」が見つからないところから記事が始まった。

09:16 特別会計は本当に使途が不明なのか

最初に投げたのは、「特別会計って、中身や使途を明示していないんでしたっけ」という疑問だった。 続けて「国の予算は複式簿記ではなくて、使途不明みたいなところがあった気がする」とも書いた。 どちらも、うろ覚えの記憶だった。

法律上の位置づけと会計の数を Claude Code に確かめさせると、返ってきた結論は筆者の記憶と逆だった。

  • 特別会計の使途は法律で明示されている
  • 財政法13条2項が「特定の歳入をもって特定の歳出に充てる」場合に設置を認める仕組みなので、むしろ使途を縛るための会計である
  • 各会計の目的、歳入、歳出、勘定の区分は「特別会計に関する法律」に書かれ、予算も決算も毎年国会に出る
  • 使途を特定しないのは、歳入を1つの財布に入れて使う一般会計の側である

では、あの「不透明」という印象はどこから来たのか。 Claude Code の整理では、筆者の記憶には別の2つの話が混ざっていた。 「国の会計が単式簿記である」という話と、「コロナ予備費の使途が9割追えなかった」という話である。

特別会計が「不透明」と批判された経緯も、使途が書かれていないという話ではなかった。 国会審議が一般会計に集中し、特別会計がほぼ素通りだったこと(2003年の「母屋でおかゆ、離れですき焼き」)と、積立金や剰余金が巨額に溜まっていたこと(いわゆる埋蔵金)が批判の中身だった。

言われてみれば、記憶の中で「特別会計」「単式簿記」「予備費」が1つの袋に入っていた。 袋を開けて3つに分けたところで、これは記事になると判断した。

md-make で公開記事にする

md-make スキルで会話を公開記事にまとめさせた。 記事作成の手順と frontmatter の規約を読ませ、一次資料で数値を裏取りしてから書かせた。

仕上がった記事は、記憶を3つに切り分ける構成になった。 見出しは「『使途』には3つの意味がある」から始まり、特別会計の使途の根拠、国の会計は複式簿記なのか、予備費と基金と官房機密費で何が追いにくいのか、と続く。 タイトルも「特別会計は使途不明ではない」と言い切り、追いにくいのは予備費と基金の執行だ、という形に落ち着いた。

Codex レビューはプロンプトをファイルに逃がす

書き上げた原稿は Codex にレビューさせた。 レビュー用のプロンプトは、先にスクリプトファイルへ書き出させてから実行した。 ヒアドキュメントに直接プロンプトを流すと、引用符の扱いで壊れるからである。

レビューを受けて原稿を書き直し、推敲チェーン(japanese-tech-writing から honda-sakubun の順)と lint にかけた。 dev 環境で表示を確かめ、コミットはせずにいったん止めた。

図解を足す:ウォーターフォールチャート

そのあと図を足すことにして、形式はウォーターフォールチャートにした。 svg-diagram スキルの家ルールと、dataviz スキルのチャート設計規範を読ませてから作らせた。

図は令和8年度の特別会計の規模を分解したものである。 歳出総額441.7兆円から、会計間のやりとり89.8兆円と国債の借換え135.8兆円を差し引き、純計216.2兆円にたどり着く。 そこから国債償還費等、社会保障給付費、地方交付税交付金等といった内訳に割っていく。

SVG の生成、検算、lint は通った。 それでも表示の確認は、ブラウザで実物を見るまで終わらない。

1回目は、先に開いていたタブが閉じられていて、新しいタブを開き直した。 2回目は、フルページのスクリーンショットで図が縮み、字が潰れて読めなかった。 図の周辺だけを切り出して撮り直し、見切れも重なりもないことをようやく確かめた。

09:21 船井電機を扱った本は、ノンフィクションとして読んでいいのか

2本目は、読もうと思っていた本の下調べである。 船井電機の破産を扱った経済ノンフィクションだと思っているが、そのつもりで読んで事実と大きく違っていたら嫌だ。 だから読む前に、本の素性と船井電機の経緯が公開情報とどこまで合うかを確かめたかった。

もう1つ、「取材するにあたって、第三者委員会の調査のような話は公開情報で取れるのか」という疑問も一緒に投げた。

Claude Code に調べさせたのは次の4点である。

  • 船井電機の破産に関する主要事実
  • 本の元になった連載
  • 書評
  • 関係した出版社のその後

調査が終わった時点で、4点とも裏が取れた。

いちばん効いた発見は、第三者委員会の話だった。 船井電機に第三者委員会が置かれた記録はない。 調査の主体は裁判所が選任した破産管財人で、その報告が債権者集会を通じて記事になっていた。 特別会計のときと同じく、筆者が当てにしていたものが、調べてみると存在しなかった。

本の素性は、記者が実名で書いた取材物だと判断できた。 破産の骨格は複数の報道と一致した。 一方で「誰が誰をはめたか」というストーリーの部分は、当事者の証言でできている。 書評も「全員が自分こそ被害者だと語る」構造を指摘していた。 日付、金額、手続きは公開情報で固く、見立ての部分は割り引いて読む。 記事の結論はそこに落ち着いた。

/new-article で記事にし、推敲の直しは一括で当てる

調査結果を /new-article で公開記事にさせた。 スタイルの参照、lint、dev サーバーの確認を済ませてから本文を書かせ、slug は shakugui-funai-denki-fact-check にした。

推敲では、japanese-tech-writing の6観点と honda-sakubun の5観点で通読させた。 直す箇所は9つ見つかった。 どれも互いに独立していたので、1つずつ直さずに一括で当ててもらった。

最後に qa-verification スキルで、lint とブラウザでの描画確認まで済ませた。

2本を並べて見えたこと

記憶の混線は、1つの話の誤りではなく、複数の話の継ぎ目で起きていた。 特別会計のほうは「特別会計」「単式簿記」「コロナ予備費」の3つが、船井電機のほうは「破産の調査」と「第三者委員会」が、頭の中で1つにくっついていた。

どちらの記事も、筆者のうろ覚えを出発点にして、Claude Code に一次資料を当てさせ、ほどけた結果を見出しの順番にそのまま使った。

学び

  • うろ覚えの「使途不明」「第三者委員会」のような前提は、否定されたときほど記事の骨格になる。何と何が混ざっていたかを分けた結果が、そのまま見出しになった
  • 図の描画確認は、フルページのスクリーンショットだけでは足りない。縮小で字が潰れたら、図の周辺を切り出して撮り直す
  • Codex に渡すレビュー用プロンプトは、ヒアドキュメントに直接書かず、ファイルに書いてから渡す
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