Excel講座に「道具の前に困りごと」を差し込む:困りごと動画48本とCF精算表ストーリー版の公開まで
Excel講座に「道具の前に困りごと」を差し込む:困りごと動画48本とCF精算表ストーリー版の公開まで
朝、同じ日に公開したイーロン・マスクの「道具ではなく問題を教えよ」を開き、自分の Excel 講座に当てはめてみた。 問いは一つで、受講者はその道具が無いと何に困るのかを、道具を学ぶ前に体験しているか。 Claude Code に原稿を判定させると、困りごとを先に見せている動画は212本中102本(48%)だった。 道具の名前や構文から入る動画は72本(34%)あり、章立ても演習を除けば道具の分類順に並んでいた。
半分は合格で、残りの半分は道具の説明から始まっている。 これは講座を組み直す話なのだろうか。
全面改修ではなく、概要の次に差し込む
判定は、サブエージェント4体に範囲を分けて回させた。 原稿のない1本を除く212本をすべて判定し、Claude Code が10本を抜き取って原稿と照らし合わせた。 報告書は Codex でレビューし、事実関係の指摘を原稿で確かめてから直させた。
判定を待つあいだに、方針は自分で決めた。 全部の構成を変えるのではなく、各講座の概要の次に「現実問題として何が起きるか」を見せる。 たとえば SUMIFS を使わずに SUMIF で組んだブックを渡され、参照元をトレースできずに困る。 1つのセルに複雑な関数を詰めて数字を引いているブックなら、計算途中のシートを1枚作れば見通しも修正も楽になる。 こうした Excel のアンチパターンを、画面再現で例示していく。 素材は既存の NG 集と設計の原則のアンチパターンを流用し、足りない分はこの判定から起こすことにした。
報告書は、講座の本計画と相互リンクで合流させた。 本計画の冒頭には、どんな課題が起きてこの報告書を作ったのかを書いた節を足させた。 同じ流れで、前任者から引き継いだブックに誤りを5つ仕込む通しの課題の計画書も作らせた。 Codex のレビューを3回受けて承認が出たあと、判断事項4つはすべて推奨の案を選んだ。
差し込み案は51件になった。 ターミナルに一覧で出されても位置が頭に入らないので、画面再現ページの区間一覧に空の予定区間として並べてもらった。 章の先頭への当て方が2件(作業スピードと IFERROR の章)ずれていたので、章の名前で先頭の動画を探す形に直させた。 51件すべてが一覧のどこかに現れることも確かめさせた。
並んだ予定を見て、どれも要りそうだと感じた。 ただ、冗長だと思ったら後から削りたくなるかもしれない。 そこで「困りごと動画は1本で独立させ、消しても前後がつながる作りにする」と頼み、4つの決まりとして本計画に書き足してもらった。 その1つめは、原因と直し方の答えまでその動画の中で出し切り、章の本編に持ち越さないことである。 ここで引き継ぎを書き出させ、セッションを替えた。
見本の1本目で出た、年度と数字の指摘
次のセッションの冒頭は、Googleタスクの棚卸しだった。 今日期限の未完了は3件で、Dependabot の件は別セッションで済んでいて閉じ忘れていただけだった。 計算モジュールの C 系(ライフプラン側の計算ブック)は、計画にあった判断3つを反映させ、9冊の検算と14冊の Excel 照合を通した。 動画側は A0「ブックの読み方」の4本しか進んでおらず、A1〜A4 の18回(約61本)は未着手だと確かめた(前日の計算モジュールの動画化の続き)。
引き継ぎファイルを渡すと、VLOOKUP の困りごと動画が見本の1本目としてできあがった。 長さは3分08秒で、章の先頭から再生できる。 見てすぐ、表の見出しに引っかかった。 「今期」「前期」と書くと、人によっても、見ている時点によってもずれる。 2025年度のように書かないと、どちらにしろ別の問題が起きる。
見出しは年度表記に直させた。 「今期」「前期」の問題そのものは、この動画で一緒に扱うと困りごとが2つになって3分を超えるので、別の事例として記録させた。 既存の講座は、ファイル名に「最終版」と付けるより日時を入れる話は扱っていたが、見出しの「今期」「前期」は扱っていなかった。 直した版は3分22秒になった。
ところが、字幕が「二千二十六年度」と漢数字で出ていた。 Claude Code は「4桁以上は漢数字」という講座の決まりに従ったと判断して、そのまま残していた。 決まりの読み違いだった。 字幕は算用数字で、漢数字にするのは読み上げ用の文のほうだ。 漢数字にしないと読み上げエンジン(Irodori-TTS)が読み間違える、という理由だったはずである。 変換の仕組みもあるはずだと伝えた。
探させると、音声側には算用数字を漢数字に変える処理があった。 それを動画の組み立てにつなぎ、字幕は算用数字のまま、読み上げだけ漢数字にする形に変えさせた。 「千円単位」「百万円単位」は用語なので、変換しない例外にした。 字幕は「120万円」「2026年度」と出るようになった。
残り47本を3回に分けて作る
見本の型が固まったので、予定の残り47本をまとめて作らせた。 1回目は関数の章11本、2回目は15本、3回目は21本で、どの回もサブエージェントを並列に走らせて台本を書かせた(1回目と3回目は5体)。 戻ってきた台本は Claude Code が読み、「先月」「今月から」のような相対的な時の言葉を外させた。 見出しの「今期」と同じく、時点でずれる言葉だからである。
数字は、配布用の壊れた Excel を実物の Excel で開いて照合させた。
落ちたのは主に表示である。
列幅が足りずに合計が ###### になる箇所が何度か出て、そのたびに列幅を広げさせた。
もう一つは画面の重なりで、数式バーが開き始める0.4秒のあいだにキーの札が出て、バーからはみ出していた。
札を出すタイミングをずらしても間に合わず、語りがすでにキー名を言っているので、その札は外させた。
コミット時の Codex レビューは、ある台本で「打ち直した数式が消えるおそれ」を high で指摘した。 エンジンの値で確かめさせると、新しい数式は残っていた。 Claude Code は誤検知と判断し、理由を残してコミットした。
最後には、見本の VLOOKUP と合わせて48本が、画面再現ページで再生できるようになった。 置き場所は、朝に考えた概要の次ではなく、各章の先頭(概要の前)になっている。 空の予定区間に残ったのは、作らないと決めた3件だけである。 セッションのコンテキストが83%まで埋まったので、計画書の進捗と、次に自分が確認するときに見る点3つを残させた。 引き継ぎのプロンプトは、明日のGoogleタスクに入れてもらった。
CF精算表をストーリー版にする
並行して、CF精算表(キャッシュフロー計算書の精算表)の画面再現を、読みながら進めるストーリー版に作り直した。 最初の試作は、上に Excel、下に字幕のカードを置き、マウスホイールのスクロールに合わせて画面が動く形だった。
見て、二つ引っかかった。 音はたぶん出せるはずなのに、出ていない。 それに、下の字幕がスクロールするアニメーションはいまいちだった。 字幕まで動くと、メインの Excel のアニメーションが薄れてしまう。 これは全然良くない、と伝えた。
作り直した版では、Excel のすぐ下に字幕の帯を1本固定し、文字だけがその場で差し替わる。 動くのは Excel の画面だけで、文に入るとその文の音声が鳴る。
次は操作の問題だった。 音声の再生中は、左右キーで前後へ移動できない。 音声をオンにしていてもオフにしていても、→と←で進めるようにしてほしい。 音声を聞く人は聞き終えて好きなときに進めばいいし、オフの人は読んだら次へ行けばいい。 そう考えると、動画のように自動でページをめくるかどうかは、トグルで切り替えられたほうがいい。 「通し再生」のボタンは「自動で進む ON/OFF」のトグルに変わり、「音声」との組み合わせで見え方は4通りになった。
これはいいと思ったので、他の記事と同じミラーカラムのレイアウトを付けて、残りのステップにも広げる実装計画を作らせた。 見え方がまったく違うので、別のパスで、公開前提で作ってもらう。
計画を待つあいだ、Worker の容量を圧迫しないかが気になった。 調べさせると、正しく組めば増えるのは15〜25KiB ほどで、余裕は1,300KiB あった(2026-10-12時点)。 ルールファイルに書いてあった137KiB は7月の値で、古くなっていた。 重いのは画面のエンジンと台本とブックのデータで、ステップ7のブックだけで3MB ある。 これらはブラウザ側で読み込む形にする。
計画書は Codex のレビューを3回経て承認され、判断5つはすべて推奨の案を選んだ。 このあたりで Claude Code の返事が英語になっていて、「日本語で」と2度頼んだ。 実装は新しいセッションに回すことにして、引き継ぎをダウンロードディレクトリのテキストファイルに書き出させた。
2章だけ公開する
引き継いだセッションでは、計画の段0〜段6を順に進めさせた。
音声は mp3 に変換し、276本で116MiB になった。
計画では CF の回を42本としていたが、数え直すと38本だった。
スマホの縦向きと横向きの表示はスクリーンショットで確かめさせ、1366幅では38本中38本で横のはみ出しが無いことも確かめさせた。
ログインしていない状態では全種類が403か404を返し、本文の漏れも0件だった。
音声が localhost を指して404になっていた件では、本番での音声の配信元の設定を確かめさせた。
段6の前に、公開の条件で止まった。 公開できるのは、自分が「完了」にして、その後に直していない回だけである。 それを満たすのは、38本中2本(Step 1 と Step 2b)だけだった。 このまま2本で公開してよい、と答えた。 デプロイは実行直前に対象を確認してから回してもらい、ビルドに7〜8分かかった。 本番では、ログインなしで開けることをブラウザで確かめさせた。
ビルド用の作業ツリーを消すところで、少しもたついた。
! rm -rf を打ったつもりが、コマンドではなくふつうのメッセージとして届いていた。
打ち直すと、.wrangler の中だけが「使用中」で消えなかった。
手元確認用に起動した wrangler pages dev が、2回分止まらずに残っていたためである。
それを止めさせてから PowerShell で Remove-Item を打ち、ようやく消えた。
最後に push させ、中途半端に残っていたものを片付けさせて、続きを part2 の引き継ぎとして書き出させた。 夕方のセッションで確かめると、新しく「完了」になった回はなく、公開は2本のままだった。 ステップ3〜7は全部進めてかまわない、自分で確認したい、と伝えた。 17本が手元の dev のストーリー版で見られるようになった。 本番には出していない。
引き継ぎでセッションをつなぐ
この日は3回、引き継ぎのテキストを書き出させてセッションを替えた。 もう1回は明日に向けた分で、Googleタスクに入れた。
- 困りごと動画の方針を決めたあと、ダウンロードディレクトリのテキストで次のセッションへ渡した
- CF精算表の計画を作ったあと、同じくテキストで実装のセッションへ渡した
- 2本を公開したあと、part2 のテキストで夕方のセッションへ渡した
- 困りごと動画48本を作り終えたあと、明日のGoogleタスクに引き継ぎのプロンプトを入れた
どれも、方針や作業が一区切りしたところで書き出させている。 次のセッションは、ファイルのパスを1行貼るだけで続きから始まった。
学び
- 講座を「困りごと先行」に寄せるのに、章立てを組み直す必要はなかった。各章に1本ずつ差し込み、消しても前後がつながる作りにしておけば、あとから削る判断も自分に残せる
- 「今期」も「先月」も、見る時点で意味がずれる。困りごとを見せるための動画の中にも、その種が入っていた
- 字幕と読み上げ文は、同じ文でも役割が違う。決まりを伝えるときは「どちらの話か」まで言わないと、片方の決まりがもう片方に当てはめられる
困りごと動画48本とステップ3〜7の17本は、まだ自分が見ていない。 冗長だと感じて削る動画が出るのか、出るなら何本なのか。 それは明日、確認してから決める。