税大講本の図解を作り込んだ一日、国税徴収法の差し押さえ図から所得税法の損益通算図まで
税大講本の図解を作り込んだ一日、国税徴収法の差し押さえ図から所得税法の損益通算図まで
「相続税の次って何だったっけ」というところから朝が始まった。 答えは国税徴収法だった。 ただしこの日は同じ時間帯に別セッションで国税通則法44枚を走らせていたので、徴収法はこちらに専念させることにした。
台帳を開くと、国税徴収法(choshuho)の38枚はすべて未着手のまま残っていた。 前日の相続税法52枚に続く、税大講本の図解SVG化プロジェクトの次の一冊である。
国税徴収法38枚を仕分けから作図まで任せる
まず仕分け班を3つ、原図12〜13枚ずつの担当で並列に走らせた。 原図を目視し、本文の文脈と突き合わせて、SVGで作り直すか、テーブルにするか、対象から除外するかを判定させる作業だ。
着手してすぐ、仕分けの基準について念を押された。 10ページ目に単品なら表にも見える一覧が2つあるが、後の図とつながる内容なので必ずSVGで作ってほしいという指示だった。 よっぽど明らかに証票や調書のような帳票そのものでない限り、チャートに変換するイメージで進めてほしいという基本方針をここで確認した。 指示のあった10ページ目の2枚は、のちにフローと体系を担当する班が仕分けを終え、テーブルではなくSVGとして作られている。
サブエージェントのモデルについても確認された。 走行中の仕分け3班は、起動時にモデル指定を省いていたため親と同じFable5を継承していた。 走っているモデルは途中で切り替えられない仕組みなので、やり直すか続けるかを判断する必要が出た。 仕分けは原図を見るだけの軽い作業で、すでに中盤に入っていたこともあり、やり直さずこのまま完走させ、これから走らせる作図班からOpus5を指定する方針にした。 以降はオーケストレーションと全数レビューに徹し、トークンを本格的に食う工程はすべてOpus5のサブエージェントに割り振っている。
仕分けの途中、原図の上端が切れて分岐元のノードが判読できない図(p94_fig0)が見つかった。 原本PDFを取り寄せて確認すると、切れていたのは【構成要件】(徴法187)の①〜④を列挙した枠だった。 そこから実線(納税者・財産占有第三者から3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金)と、破線(情を知った相手方から2年以下または150万円)が分岐する構造で、作図の際にこの完全な形を復元させている。
仕分けが全班完了し、集計はSVG34枚、原図採用(帳票様式の現物)4枚、テーブル0枚、除外0枚だった。 原図採用に回ったのは、徴収職員証票、差押調書、封印、公示書の4点である。 図というより書類そのものなので、無理にSVG化せず現物の写真を採用した。
仕分け結果を台帳へ書き戻し、型別の作図班をOpus5で5つ並列起動した。 配当順位、タイムラインと帯、大判と特殊な図、差押手続、フローと体系という担当割りで、34枚を分担する編成である。 途中で進捗を尋ねられたとき、完了通知はまだどの班からも届いていなかった。 エージェントの報告を待つのではなく、ディスク上にできあがっているファイル数を直接数え、34枚中27枚のSVGができていると答えた。 5班が出揃うまで、この数え方で進み具合を確かめながら待った。
点線と三角形、原図に立ち返って直す
38枚が完了した直後、元本と利息の帯図(p39_fig1)に指摘が入った。 元本の上の線と、差し押さえまでの利息の下の線が点線でつながっているはずなのに途切れていて、これは利息が元本に対するものだと示す線のはずだという内容だった。 もう一点、元本から差し押さえの効力が及ぶ範囲を示す三角形が、その右端から出ているが、左端から出るのが正しいのではないかという疑問も重ねて出された。
原図をもう一度拡大し、本文の該当箇所を読み直して図の意味を確定させてから、修正班を立てて直させた。 仕上がりを自分の目で確認すると、点線は原図の構造どおりに戻り、傾きも差し押さえの前後で一致していた。 同じ班で、差押調書のバッジ位置がずれていた4枚と、日付軸の縮尺を引き直したp67(公売手続)も横展開して直している。 この回の指摘は、その場で恒久ルール(svg-diagram-feedback)に書き足し、同じ型の崩れが次からは自動的に踏まえられるようにした。
所得税法の損益通算図を手描きの参考図から拡張する
別の時間帯には、所得税法の図に手を入れた。 ch14にある所得税額の計算の仕組みのSVG(p199_fig0)を拡張してほしいという依頼だった。 損益通算のところをもっと細かく描いた参考図をGoogle ドライブに置いてあるので、それをもとに広げてほしいという内容である。 ドライブから手描きの参考図を取り込み、現行のSVGと突き合わせてから、損益通算の詳細図を新規に作った。
新しい図は、左側の①〜⑩の所得区分の番号と、右側で合計所得金額を構成する❶〜❾の対応が字面でも読み取れるように調整し、既存のch14の図の直後に置いている。
課税所得金額まで描かれている既存図と、今回新しく分岐させた区分の並びとで、ロジックの整合性が取れているかも問われた。 既存図の分類をひとつずつ照らし合わせ、順番を変えても矛盾が出ていないことを確認したうえで報告している。
出したところ、譲渡と雑の表現に指摘が入った。 譲渡所得の金額は、いったん親セルで連結してから右で内訳に分岐する形のほうが分かりやすいので、雑も同じ形にしてほしいという内容だった。 雑は公的年金等とそれ以外、譲渡(所得税法上)は総合短期と総合長期、譲渡(土地建物等)は分離短期と分離長期、譲渡(株式等)は上場株式等と一般株式等、あわせて4ブロックを親セル分岐の形に直した。 区分番号は親に1つだけ持たせて②のような枝番は廃止し、配当も総合課税と分離課税の両方に同じ番号を付けるよう揃えている。
並び順とスペーサーを条文で裏付ける
続けて、渡した手描きの参考図の並び順が正しいかを確かめてほしいと頼まれた。 利子配当、不動産事業給与、雑、譲渡一時、山林退職という並びだ。 条文上の控除順序と、講本自身が持つ「損益通算の概要」図を根拠に調べ直すと、山林が先で退職が最後という並びのほうが正しいと裏が取れた。 講本の図が退職から山林の順で描いているのは、計算順ではなく条文の列挙順にすぎないという結論だった。
裏取りを受けて、p199_fig0の山林と退職の順序を入れ替え、総合課税8区分と分離課税の間には区切りのスペーサーを入れた。 あわせて、山林所得と退職所得は厳密には分離課税に含まれるのではないかという疑問にも答えを出している。 この話がおもしろいという反応だったので、図の直後にコラムとして本文へ組み込んだ。
夜には、別の図(p55_fig0)の作り込みが続いた。 ①〜⑨の所得からAとBを合計して総所得金額を求める図で、その右端の総所得金額が普通の四角のままなのが気になるので、損益通算の詳細図と同じグリッド表現のv2を作ってほしいという依頼だ。 使用量上限が近いという通知が出たところで、対象図の特定までを済ませてチェックポイントし、翌回に続きを進めている。
表記とハッチングを直す、二度目の指摘
数時間後、p199_fig0の「合計所得金額」の帯が薄いグレーのままで、「総所得金額」の帯だけ濃いグレーに白文字という表記の不揃いを指摘された。
総所得金額と同じ配色(#5b6066)と白文字に直し、変更した1ファイルだけをR2に上げ直している。
同じ晩、もう一枚の図(sonneki-tsusan.svg)の①のラベルにも同じ観点の指摘が入った。 「総所得金額の元」という表記になっていたのを、ほかの図で総所得金額と呼んでいる箇所に揃えて、タイトルを「❶ 総所得金額」、括弧書きを「(総合課税の所得の計)」に直している。
色の作り込みは、雑所得の包含図(p38_fig0)でも裏目に出た。 9種類の所得が点描の網掛け楕円の中に白抜きで並ぶ原図の構図を、修正版では濃いグレーのベタ塗りに変えてしまっていた。 編み掛け(ハッチング)になっていない、という指摘を受けて旧版を退避し、原図と同じ点描の網掛けパターンに描き直している。 SVG単体と、ギャラリーページの3カラム表示の両方で、網掛けに戻ったことを確かめた。
間接税法の崩れた別表を原本画像に差し替える
別の日には、間接税法の崩れた別表を原本のページ画像に差し替える作業も進めた。 OCRでレイアウトが崩れたテキストは組み直さず、原本PDFをそのまま画像として貼る方針だ。 対象は崩れた表11個(警告としては17件)で、セル内改行が行として化けたタイプと、表としての体裁そのものが情報になっているタイプの2種類に分かれることが分かった。 印紙税額一覧表のような見開きの表は、罫線から正確な切り抜き座標を取るツールを整えてから5枚に書き出し、石油製品の表や自動車重量税の税率表も同じ手順で処理している。
章ごとに担当を割り振ったサブエージェント5体を並列で走らせた。 10ファイルが編集済みになった時点で、残る1体だけがまだ作業中という進み方だった。 作業と並行してビルドが1件、テーブルの結合方法でつまずいて全出力を止めていることに気づき、担当のエージェントへ直接伝えて直させている。
いちばん気になっていたのは、削除した崩れたテキストと入れ替えた画像とのあいだで、情報が落ちていないかだった。 1章分を担当したエージェントの報告では、削除前後の文字数が1539から1539で完全に一致していた。 残り4体の分も含めて、法条の丸数字(「541」を「54①」に戻すような表記)が原本どおりに復元されているかまで突き合わせ、最後にモバイル幅での横はみ出しも確認している。
見守りと引き継ぎ
この日は徴収法も所得税法も間接税法も、進捗を都度尋ねながら見守る形で進んだ。 作図が終わっているかと聞かれるたびに、完了通知を待つのではなく、ディスク上のファイル数を直接数えて答えている。
夕方以降は使用量上限が近いという通知が繰り返し入り、そのたびに今のステップだけ終えてチェックポイントする運用になった。 p199_fig0の並び替えでは、生成スクリプトの行定義を書き換えた途中でいったん止まった。 なぜ再生成しなかったのかと聞かれ、旧い行の参照が残ったまま実行すると壊れた図が出るので止めたと答え、指示を受けて残りの修正を再開している。 p55_fig0の作業でも、対象を特定したところで同じ通知が出て、続けてほしいという指示を受けてからv2の生成とR2反映まで進めた。 そのセッションの終盤、コンテキストがいよいよ残り少なくなったところで、この日はそこで打ち切りにしている。 R2への全量アップロードだけをバックグラウンドで走らせたまま、完了を待ってコミットとプッシュまで済ませて締めくくった。
同じ作業ツリーを複数のセッションが同時に触っていたことも、この日は何度も響いた。 国税徴収法のコミット前には、並行セッション(国税通則法を扱っていた側)の変更が作業ツリーに混ざっていることに気づき、自分の分だけを切り分けて4つのコミットに分けている。 間接税法の作業でも、台帳の更新は自分の分だけかを確認してから、担当範囲(②③④⑤)に絞ってコミットした。
間接税法の作業を始める前にも、崩れた表を原本画像に差し替える続きを、判断がほぼ要らない側とユーザー判断で止まりやすい側の2セッションに分けて進めることを提案し、それぞれの引き継ぎプロンプトを書いていた。
学び
- 仕分けの判定はサブエージェントに任せられるが、点線の意味(元本と利息の対応)や三角形の向き(効力の及ぶ方向)のような図の意味論は、原図と本文を読み直さないと直せない
- 色や網掛けのような表現の作り込みは、後から気づいて直す指摘が繰り返し入った。総所得金額と合計所得金額の色を揃える指摘も、雑所得のハッチングが濃いグレーに潰れていた指摘も、どちらも一度は公開した後に出ている
- OCRで崩れたテキストは、無理に組み直すより原本画像に差し替えたほうが情報の欠落を防げる。文字数の一致を機械で照合できる分、判断の裏取りもしやすい
- 同じ日に複数の科目を並行セッションで進めると、コミットの直前に他セッションの変更が作業ツリーへ混ざる。切り分けてコミットし直す一手間は、並行運用の必要経費として織り込んでおく