わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方 — 第6章(全8章)

🚧 土地区画整理に関する登記 — 換地で土地が生まれ変わる

区画整理で従前の土地が新しい土地(換地)に置き換わるとき、登記簿には何が記録されるか。一筆型・合併型・分筆型・不換地・保留地のパターンを追う。

出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方(6訂版)』日本法令(p.388〜407)。記録例は原本の帳票レイアウトを再現しつつ、内容を正規化データで管理している。

凡例: 記録例の中の下線は「抹消事項」=後の登記で効力を失った記録(登記簿は消さずに線を引いて歴史を残す)

土地区画整理は「街ぐるみの席替え」

土地区画整理(とちくかくせいり)は、道路・公園・広場・河川などの公共施設を整え、 市街地の宅地を整然と区画し直す事業です。教室にたとえると、机がバラバラに置かれた教室を、 通路(道路)をきちんと作りながらクラス全員で一斉に席替えするイメージです。 施行地区内の権利者は公共施設のために公平に土地を出し合いますが、 環境がよくなり土地の値段も上がるなど、利点の多い制度です。

席替えで新しくもらう席にあたるのが換地(かんち)です。 換地を定める処分を換地処分といい、換地処分がされると施行地区内の土地・建物に いっせいに変動が起きるので、施行者は遅滞なくその登記を申請または嘱託(しょくたく=役所が代わりに頼むこと) しなければなりません(土地区画整理法107条)。この登記は大量で、しかも急ぎなので、 手続には土地区画整理登記令による特例が認められています。

MEMO: 換地処分の効果 — 公告の「翌日」に切り替わる

換地処分が行われると、国土交通大臣または都道府県知事が「換地処分があった」と公告します (土地区画整理法103条4項)。すると公告のあった日の翌日から、 換地は従前の宅地(=工事前の古い土地)とみなされ、古い土地にあった権利は、 地役権を除いてそのまま換地の上に移ります(同法104条1項)。 逆に、換地を定めなかった従前の宅地の権利は、公告があった日が終了した時に消滅します。 「夜中の0時に、クラス全員の席が一斉に切り替わる」と考えるとわかりやすいでしょう。

換地の型は「席の対応関係」で5つに整理できる

従前の土地 → 換地登記簿の動きやさしく言うと
一筆型換地1個 → 1個従前の土地の登記記録をそのまま使い、表題部に換地の表示を追加。従前の表示には下線席替えで、1人が1つの新しい席に移る。出席簿(登記記録)は使い回し
合併型換地数個 → 1個従前の土地から1個(所有権の登記があるもの)を選んで換地を記録し、他の従前の土地の登記記録は閉鎖数人分の席をまとめて1つの大きな席に。代表の出席簿だけ残して、他は閉じる
分筆型換地1個 → 数個従前の記録に他の換地の地番を記録し、他の換地ごとに新しい登記記録を作成(甲区・乙区は転写)1つの席がいくつにも分かれる。新しい席の分は出席簿を新しく作って書き写す
不換地1個 → 0個換地が定められなかった旨を記録し、表題部の登記事項に下線を引いて登記記録を閉鎖新しい席がもらえなかった土地。権利は消えて、出席簿は閉じられる
保留地等(新設換地)0個 → 1個新たに土地が生じた場合と同じに土地の表示の登記をして、新しい登記記録を作成先生(施行者)用に取っておいた席。新しい出席簿を1冊作る

一筆型換地 — 1つの土地が1つの新しい土地になる

記録例1: 土地の表題部 — 記録を使い回して下線を引く

いちばん基本の型です。従前の土地1個(4番8)に対して換地1個(120番)が与えられます。 新しい登記記録は作らず、従前の土地の登記記録をそのまま使って、 表題部に換地の所在・地番・地目・地積を書き足し、従前の表示には下線を引きます (土地区画整理登記規則6条1項)。原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
4番8宅地15 484番1から分筆
余白余白余白昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成○年○月○日
120番宅地12 54令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 〔令和○年3月3日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。地積の小数部は小数点を打たず、少し離して記録される。

同じ内容を「項目・記録内容・やさしく言うと」に分解すると、こうなります。

一筆型換地の表題部(記録例1)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
所在 (しょざい)渋谷区○町一丁目この例では町名は変わらない。所在まで変わるときは、古い所在に下線が引かれる
従前の土地 (じゅうぜんのとち)地番4番8・宅地・15.48㎡(全体に下線)区画整理前の古い席。下線は「もう効力がない」印で、消しゴムでは消さない
換地 (かんち)地番120番・宅地・12.54㎡区画整理でもらった新しい席。古い土地と「同じもの」とみなされ、権利も引き継ぐ
原因及びその日付 令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分〔令和○年3月3日〕原因の日付は、換地処分の公告があった日の「翌日」。〔 〕の中は登記をした日
移記の注記 (いき)昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成○年○月○日紙の登記簿からコンピュータへ引っ越し済み、という意味の決まり文句

読みどころは原因の日付です。原因は「土地区画整理法による換地処分」で、 その日付は換地処分の効力が発生した日、つまり公告があった日の翌日です(法104条1項)。 〔 〕内の「登記の日付」には登記完了の日が入りますが、実際には申請日を記録している例が一般的です。 なお「昭和63年法務省令第37号附則…により移記」は、第1章でも出てきた 「紙の登記簿からコンピュータへ引っ越し済み」という決まり文句です。

記録例2: 共同担保目録 — 甲区・乙区は動かない。動くのは目録

一筆型換地では、換地は従前の土地と「同じもの」とみなされるので、 甲区・乙区に特別な記録はされません。持ち主も担保もそのまま引き継がれるからです。 ただし共同担保目録がある場合は、換地後の土地(120番)が書き足されて 従前の土地(4番8)に下線が引かれ、予備欄に変更原因(土地区画整理法による換地処分)と 換地処分の登記の申請日・受付番号が記録されます。原本の見た目はこうです。

共同担保目録
記号及び番号(あ) 第○号調製平成○年○月○日
番号担保の目的である権利の表示順位番号予 備
1渋谷区○町一丁目 4番8 渋谷区○町一丁目 120番1令和○年3月3日受付第100号 土地区画整理法による換地処分

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分解すると、こうなります。

一筆型換地の共同担保目録(記録例2)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
記号及び番号 (あ) 第○号目録の整理番号。乙区の「共同担保 目録(あ)第○号」とこの番号でつながる
従前の土地 (じゅうぜんのとち)渋谷区○町一丁目 4番8(下線)換地でセットから外れた古い土地。消さずに下線で残す
換地後の土地 渋谷区○町一丁目 120番新しく書き足された換地。担保のセット相手はこちらに交代した
順位番号 1この土地の乙区で、その抵当権が何番に登記されているか
予備 (よび)令和○年3月3日受付第100号 土地区画整理法による換地処分書き換えた理由(変更原因)と、換地処分の登記の申請日・受付番号のメモ欄

記録例3: 所在まで変わる場合 — 古い所在に下線、でも「変更の原因」は書かない

区画整理で換地の所在(町名)まで変わる場合は、所在欄に新しい所在が書き足され、 従前の所在に下線が引かれます。原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
渋谷区○町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
4番8宅地15 484番1から分筆
余白余白余白昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成○年○月○日
120番宅地12 54令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 〔令和○年3月3日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

記録例1との違いは所在欄だけです。おもしろいのは、 区画整理にともなって市区町村が地番区域の名称を変更した場合です。 名称変更の効力と換地処分の効力は同時に生じるので(地方自治法施行令179条)、 所在欄には変更後の所在のみが記録され、変更の原因及びその日付は記録されません。

合併型換地 — いくつもの土地が1つにまとまる

記録例1: 表題部 — 代表を1つ選び、兄弟の地番を書き残す

従前の土地数個(2番4・2番7・2番10)に対して換地1個(105番)が与えられる型です。 この場合、従前の土地の中から代表を1つ選び (所有権の登記があるものとないものがあるときは、登記があるものを選びます)、 その登記記録の表題部に換地の表示を記録して従前の表示に下線を引きます(規則7条1項)。 代表に選ばれなかった他の従前の土地の登記記録は閉鎖されます。 原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
2番4宅地13 22余白
余白余白余白昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成○年○月○日
105番宅地800 37令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の従前の土地2番7、2番10 〔令和○年3月3日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

合併型換地の表題部(記録例1)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
従前の土地(代表) (じゅうぜんのとち)地番2番4・宅地・13.22㎡(全体に下線)数個の従前の土地から選ばれた代表。所有権の登記がある土地を選ぶ
換地 (かんち)地番105番・宅地・800.37㎡3つの土地がまとまってできた大きな新しい席
原因及びその日付 令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の従前の土地2番7、2番10〔令和○年3月3日〕代表に選ばれなかった兄弟(2番7・2番10)の地番もここに書き残す。日付は公告の翌日
移記の注記 (いき)昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成○年○月○日紙の登記簿からコンピュータへ引っ越し済み、という決まり文句

原因欄には「令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分」とあわせて、 他の従前の土地(2番7、2番10)の表示が記録されます。

記録例2: 所在が変更する場合 — 他の従前の土地は変更前の所在つきで書く

所在まで変わる場合は、一筆型と同じく従前の所在(○町一丁目)に下線が引かれて 新しい所在(○町二丁目)が書き足されます。原因欄の「他の従前の土地」には 「渋谷区○町一丁目2番7、2番10」のように変更前の所在が添えられます。 原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
渋谷区○町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
2番4宅地13 22余白
余白余白余白昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成○年○月○日
105番宅地800 37令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の従前の土地 渋谷区○町一丁目2番7、2番10 〔令和○年3月3日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

記録例3: 甲区 — 換地処分による所有権登記

合併型でいちばん特徴的なのは甲区です。数個の土地の権利を1つにまとめ直すため、 登記名義人の住所・氏名と、換地処分により所有権の登記をする旨、受付年月日・受付番号が 甲区に記録されます(規則7条3項)。原本の見た目はこうです。 2行目の「昭和63年法務省令…により移記」は順位番号も受付もない注記の行で、 表題部に出てきたものと同じ決まり文句です。

権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1所有権移転平成○年○月○日
第○号
所有者 (省略)
余白余白
 昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記
 平成○年○月○日
2所有権移転平成○年○月○日
第○号
原因 平成○年○月○日売買
所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎
3土地区画整理法による換地処分による所有権登記令和○年3月3日
第100号
所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

同じ内容を「1行 = 1できごと」に分解すると、こうなります。

権利部(甲区)— 合併型換地で換地として定められた土地(記録例3)

  1. 1番所有権移転受付 平成○年○月○日 第○号

    コンピュータ移記より前の古い持ち主の記録。移記のときに中身は省略されている。

    所有者
    (省略)
  2. 余白受付 余白

    紙の登記簿からコンピュータへ引っ越した(移記した)ことを示すメモ行。誰かの申請による登記ではないので、順位番号は空欄、受付欄は余白になる。

    昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記
    平成○年○月○日
  3. 2番所有権移転受付 平成○年○月○日 第○号

    甲野太郎さんがこの土地(従前の土地のひとつ)を買って持ち主になった。

    原因
    平成○年○月○日売買
    所有者
    ○市○町○番○号 甲野太郎
  4. 3番土地区画整理法による換地処分による所有権登記受付 令和○年3月3日 第100号

    バラバラだった数個の土地が1つの換地にまとまったので、持ち主を改めて書き直した。この登記が終わると、新しい権利証(登記識別情報)が通知される。

    所有者
    ○市○町○番○号 甲野太郎

この3番の登記が完了すると、登記官は速やかに、換地の登記名義人のための 登記識別情報(いわば新しい権利証)を申請人(施行者)に通知し、 通知を受けた申請人は遅滞なくこれを登記名義人に通知しなければなりません(土地区画整理登記令11条2項・3項)。

記録例4: 乙区 — 共同担保が「セット」でなくなったら職権で消滅の付記

共同抵当権(土地数個をセットで担保にしたもの)の登記がある従前の土地数個が1個の換地にまとまると、 抵当権の目的物件は換地後の1筆だけになります。セット担保ではなくなったので、 乙区の抵当権に付記1号で「土地区画整理法による換地処分により共同担保関係消滅」と職権で付記されます (昭和47年2月3日民三第89号第三課長通知)。原本の見た目はこうです。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定平成○年○月○日
第○号
原因 平成○年○月○日金銭消費貸借同日設定
 (一部省略)
共同担保 目録(あ) 第○号
付記1号1番抵当権変更余白
 土地区画整理法による換地処分により共同担保関係消滅
 令和○年3月3日付記

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分解すると、こうなります。

権利部(乙区)— 換地として定められた土地(記録例4・共同担保関係の消滅)

  1. 1番抵当権設定受付 平成○年○月○日 第○号

    従前の土地数個をセット(共同担保)にしていた抵当権。換地前から付いていた担保はそのまま換地に引き継がれる。

    原因
    平成○年○月○日金銭消費貸借同日設定
    (一部省略)
    共同担保
    目録(あ) 第○号
  2. 1番 付記1号1番抵当権変更受付 余白

    換地で土地が1つにまとまり、セット担保ではなくなったので、登記官が自分の判断(職権)で「共同担保関係消滅」とメモした行。受付欄が余白なのは申請による登記ではない印。

    土地区画整理法による換地処分により共同担保関係消滅
    令和○年3月3日付記

記録例5: 共同担保目録 — 役目を終えた目録は「全部抹消」で閉じる

役目を終えた共同担保目録にも消滅の旨が記録され、「全部抹消」として閉鎖されます。 番号1(代表として換地になった2番4)には消滅の旨が、番号2(閉鎖された2番7)には 移記先が、それぞれ予備欄に記録されます。原本の見た目はこうです。

共同担保目録
記号及び番号(あ) 第○号調製平成○年○月○日
番号担保の目的である権利の表示順位番号予 備
1渋谷区○町一丁目 2番41土地区画整理法による換地処分により共同担保関係消滅 令和○年3月3日
2渋谷区○町一丁目 2番71令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目105番に移記
余白余白令和○年3月3日 全部抹消
(以下省略)

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分解すると、こうなります。

閉鎖された共同担保目録(記録例5)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
番号1の土地 渋谷区○町一丁目 2番4(下線)/予備: 土地区画整理法による換地処分により共同担保関係消滅 令和○年3月3日代表として換地(105番)になった土地。セット担保が解消したので下線つきで残る
番号2の土地 渋谷区○町一丁目 2番7(下線)/予備: 令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目105番に移記代表に選ばれず閉鎖された土地。引っ越し先(105番)が書き残される
全部抹消 (ぜんぶまっしょう)令和○年3月3日 全部抹消セットの相手がいなくなった目録は、役目を終えてまるごと閉じられる

記録例6・7: 閉鎖される側の登記簿には「移記先」が書かれる

代表に選ばれず閉鎖された他の従前の土地(2番7)の登記記録には、 「令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分により105番に移記 〔令和○年3月3日同日閉鎖〕」と記録されます(記録例6)。 ここに書かれる105番は、従前の地番ではなく換地後の地番です。 引っ越し先の住所を書き残してから帳簿を閉じる、というイメージです。原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
2番7宅地69 42余白
余白余白余白令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分により105番に移記 〔令和○年3月3日同日閉鎖〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

閉鎖された他の従前の土地の表題部(記録例6)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
従前の土地 (じゅうぜんのとち)渋谷区○町一丁目 2番7・宅地・69.42㎡(登記事項すべてに下線)代表に選ばれなかった土地。表題部の登記事項ぜんぶに下線が引かれる
原因及びその日付 (いき)令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分により105番に移記〔令和○年3月3日同日閉鎖〕ここの105番は従前の地番ではなく換地後の地番。引っ越し先を書き残してから、同じ日に帳簿を閉じる

所在まで変わる場合は「渋谷区○町二丁目105番に移記」のように、 変更後の所在も添えられます(記録例7)。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
2番7宅地69 42余白
余白余白余白令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目105番に移記 〔令和○年3月3日同日閉鎖〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分筆型換地 — 1つの土地がいくつにも分かれる

記録例1: 従前の土地の表題部 — 「他の換地」の地番を書き残す

従前の土地1個(2番1)に対して換地数個(10番1・10番2)が与えられる型です。 従前の土地の登記記録は換地の1つ(10番1)に使い回し、原因欄には 「令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分」とあわせて他の換地(10番2)の地番が 記録されます(規則8条1項)。覚え方はこうです — 合併型は「他の従前の土地」を書き、分筆型は「他の換地」を書く。 どちらも「兄弟がどこにいるか」を登記簿に書き残すためのものです。原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
2番1宅地100 50余白
10番1宅地50 50令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の換地 10番2 〔令和○年3月3日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

分筆型換地の従前の土地の表題部(記録例1)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
従前の土地 (じゅうぜんのとち)地番2番1・宅地・100.50㎡(全体に下線)区画整理で2つに分かれることになった元の土地
換地(記録を使い回す側) (かんち)地番10番1・宅地・50.50㎡従前の土地の登記記録をそのまま引き継ぐ方の換地
原因及びその日付 令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の換地 10番2〔令和○年3月3日〕兄弟の換地(10番2)の地番を書き残す。合併型の「他の従前の土地」と対になる書き方

記録例2: 所在が変更する場合 — 他の換地は変更後の所在つきで書く

所在まで変わる場合は従前の所在に下線が引かれ、原因欄の「他の換地」には 「渋谷区○町二丁目10番2」のように変更後の所在が添えられます。 合併型(記録例2)が変更前の所在を書いたのと対照的です。原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
渋谷区○町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
2番1宅地100 50余白
10番1宅地50 50令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の換地 渋谷区○町二丁目10番2 〔令和○年3月3日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

記録例3: 新たに作成した登記記録 — 調製日が「生まれた日」

他の換地(10番2)については、登記官が新しい登記記録を作成します(規則8条3項)。 原本の見た目はこうです。調製の日付が換地処分の日と同じ「令和○年3月3日」になっているのが、 この日に生まれた記録である証拠です。

表 題 部(土地の表示)調製令和○年3月3日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
10番2宅地30 20令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の換地 渋谷区○町二丁目10番1 〔令和○年3月3日〕

(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

分筆型換地で新たに作成した登記記録(記録例3)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
調製 (ちょうせい)令和○年3月3日記録が作られた日。換地処分の日と同じなので「換地で新しく生まれた記録」だとわかる
所在 渋谷区○町二丁目新しい土地の町名
地番 (ちばん)10番2従前の土地(2番1)から分かれた兄弟のうちの1つ
地目 (ちもく)宅地土地の使いみち
地積 (ちせき)30.20㎡土地の広さ
原因及びその日付 令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 他の換地 渋谷区○町二丁目10番1〔令和○年3月3日〕兄弟の換地(10番1)の地番もあわせて書かれる。合併型は「他の従前の土地」、分筆型は「他の換地」を書く

記録例4・5: 権利は「転写」される — 甲区と乙区で作法が違う

新しく作った10番2の登記記録には、従前の土地の権利が転写(てんしゃ=書き写し)されます。 甲区には所有権の登記が転写され、「土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地 順位1番の登記を転写」した旨と、申請の受付年月日・受付番号が記録されます(記録例4・規則8条4項)。 原本の見た目はこうです。

権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1所有権移転平成○年○月○日
第○号
原因 平成○年○月○日売買
所有者 ○市○町○番○号 乙野次郎
 土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地順位1番の登記を転写
 令和○年3月3日受付第100号

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分解すると、こうなります。

権利部(甲区)— 分筆型換地で新たに作成した10番2の土地(記録例4)

  1. 1番所有権移転受付 平成○年○月○日 第○号

    従前の土地(記録を使い回した10番1側)の持ち主の記録を、新しく作った10番2の登記記録に書き写した(転写)。受付欄の日付は元の登記のもので、転写したときの受付日・受付番号は事項欄の末尾に書かれる。

    原因
    平成○年○月○日売買
    所有者
    ○市○町○番○号 乙野次郎
    土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地順位1番の登記を転写
    令和○年3月3日受付第100号

乙区には抵当権・賃借権などが転写されますが、甲区と異なり受付年月日・受付番号は記録されません (記録例5・規則8条5項)。原本の見た目はこうです。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定平成○年○月○日
第○号
 (前略)
共同担保 目録(あ) 第○号
 土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地順位1番の登記を転写
 令和○年3月3日
2賃借権設定平成○年○月○日
第○号
 (前略)
 土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地順位2番の登記を転写
共同目的物件 渋谷区○町二丁目10番1の土地
 令和○年3月3日

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分解すると、こうなります。

権利部(乙区)— 分筆型換地で新たに作成した10番2の土地(記録例5)

  1. 1番抵当権設定受付 平成○年○月○日 第○号

    従前の土地の抵当権を書き写した行。甲区と違って受付番号は書かれず、日付だけ。共同担保目録がすでにあるので、その記号・番号で兄弟との担保関係がわかる。

    (前略)
    共同担保
    目録(あ) 第○号
    土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地順位1番の登記を転写
    令和○年3月3日
  2. 2番賃借権設定受付 平成○年○月○日 第○号

    土地を借りる権利(賃借権)の転写。賃借権は担保権ではないので共同担保目録が使えず、代わりに「兄弟の換地(10番1)もいっしょにこの権利の目的ですよ」と共同目的物件が書かれる。

    (前略)
    土地区画整理法による換地処分により渋谷区○町二丁目10番1の土地順位2番の登記を転写
    共同目的物件
    渋谷区○町二丁目10番1の土地
    令和○年3月3日
観点甲区(所有権)乙区(抵当権・賃借権など)
従前の土地からの転写されるされる
受付年月日・受付番号記録される記録されない
あわせて記録されるもの換地処分により登記をする旨換地処分により登記をする旨とその年月日

もうひとつの作法は「兄弟も担保」の書き方です。 先取特権・質権・抵当権以外の権利(賃借権など)を転写するときは、 「共同目的物件 渋谷区○町二丁目10番1の土地」のように、 他の換地もいっしょにその権利の目的である旨が記録されます。 担保権(抵当権など)については、すでに従前の土地で共同担保目録が作られているときを除き、 新しく作った共同担保目録の記号・目録番号が記録されます。

換地をもらわない土地たち — 不換地・宅地以外・保留地

不換地 — 新しい席をもらわずに清算する

不換地(ふかんち)は、換地計画で従前の宅地に換地が定められなかった場合です。 従前の宅地にあった権利は、換地処分の公告があった日が終了した時に消滅します(法104条1項)。 登記記録の表題部には換地が定められなかった旨が記録され、 表題部の登記事項に下線が引かれて、登記記録は閉鎖されます(規則11条1項)。 原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
7番5宅地20 00余白
余白余白余白令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分による不換地 〔令和○年3月3日同日閉鎖〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

不換地とされた土地の表題部(記録例)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
従前の土地 (じゅうぜんのとち)渋谷区○町一丁目 7番5・宅地・20.00㎡(登記事項すべてに下線)新しい席がもらえなかった土地。表題部の登記事項ぜんぶに下線が引かれる
原因及びその日付 (ふかんち)令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分による不換地〔令和○年3月3日同日閉鎖〕換地が定められなかったので、登記をした同じ日にこの記録(プロフィール帳)は閉じられた

ここでも原因の日付(令和○年3月3日)は、換地処分の公告があった日の翌日です。 登記をしたその日に記録が閉じられるので、〔 〕内は「同日閉鎖」となります。

換地を宅地以外の土地に定めた場合 — 条文を引いて「権利消滅」

換地計画において換地を宅地以外の土地(道路など)に定めた場合、 その土地にあった従前の権利は、換地処分の公告があった日が終了した時に消滅します(法105条2項)。 登記記録の表題部には権利が消滅した旨が記録され、登記事項に下線が引かれて閉鎖されます(規則13条1項)。 原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
27番5宅地11 00余白
余白余白余白令和○年3月3日土地区画整理法第105条第2項により権利消滅 〔令和○年3月3日同日閉鎖〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

換地を宅地以外の土地に定めた場合の表題部(記録例)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
従前の土地 (じゅうぜんのとち)渋谷区○町一丁目 27番5・宅地・11.00㎡(登記事項すべてに下線)換地が道路などの宅地以外になった土地。不換地と同じく登記事項ぜんぶに下線
原因及びその日付 令和○年3月3日土地区画整理法第105条第2項により権利消滅〔令和○年3月3日同日閉鎖〕不換地との見分け方はここ。条文(105条2項)を引いて「権利消滅」と書かれていたらこのパターン

不換地と似ていますが、こちらは条文(105条2項)を引用して権利消滅と書くのが目印です。

保留地等 — 先生用に取っておく席

一定の土地は、換地として定めずに、公共施設の用に供する宅地として定めることができ、 この土地は換地計画において換地とみなされます(法95条3項)。 また、事業の施行費用にあてるためなどに、一定の土地を換地と定めずに 保留地(ほりゅうち)として定めることもできます(法96条)。 席替えのときに「この席は先生用」「この席は売ってクラスの費用にする」と取っておく席です。

これらの土地は、新たに土地が生じた場合と同じに、土地の表示の登記がされます (不動産登記法36条)。原本の見た目はこうです。

表 題 部(土地の表示)調製平成○年○月○日不動産番号(※)
地図番号余白筆界特定余白
所 在渋谷区○町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
100番宅地120 00令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分 〔令和○年3月3日〕
所有者渋谷区○町二丁目○番○号 ○町土地区画整理組合

(※)には13桁の不動産番号が記録される。

分解すると、こうなります。

保留地・新設換地の表題部(記録例)を分解

項目記録されている内容やさしく言うと
所在・地番 渋谷区○町二丁目 100番生まれたばかりの土地。下線はどこにもない、まっさらな記録
地目・地積 宅地・120.00㎡土地の使いみちと広さ
原因及びその日付 令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分〔令和○年3月3日〕この土地も換地処分で生まれたので、原因は他の換地と同じ書き方
所有者(表題部所有者) 渋谷区○町二丁目○番○号 ○町土地区画整理組合施行者(区画整理組合)が最初の持ち主として記録される。第1章で見た表題部所有者と同じしくみ

原因欄は「令和○年3月3日土地区画整理法による換地処分」、所有者欄には 「○町土地区画整理組合」(=施行者)が記録されます。 生まれたばかりの土地なので、下線のないまっさらな登記記録が1冊作られるわけです。

まとめ — この章で覚える3つのこと

  1. 換地は街ぐるみの席替え。換地処分の公告の翌日から、換地は従前の土地とみなされ、権利は(地役権を除き)そのまま移る。原因の日付=公告の翌日。
  2. 型は対応関係で読む。1対1の一筆型は記録を使い回して下線、多対1の合併型は代表以外を閉鎖、1対多の分筆型は新しい記録に転写(甲区は受付番号つき、乙区はなし)。
  3. 換地をもらわない土地もある。不換地・宅地以外に定めた土地は下線+同日閉鎖で記録が閉じられ、保留地等は新しい土地として表示の登記がされる。

この記事の記録例は第1章と同じく正規化データ(ch6Data.ts)から描画している。 第6章の記録例は全数(一筆型1〜3・合併型1〜7・分筆型1〜5・不換地・宅地以外・保留地)を 原本ビューで収録済み。甲区の移記注記行も、順位番号欄が空欄の変則行(junniBlank)として 原本どおり再現している。

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