この記事のポイント
- 2026年3月時点、1ドル=約150〜159円。2020年比で約50%の円安
- イラン戦争(2026年2月〜)で中東全域がほぼ通過不可。定番ルートは使えない
- 節約コース(東南アジア中心3〜4ヶ月)なら55〜75万円で実現できる
- 5大陸カバーの6ヶ月プランは100〜135万円が目安
- ワーキングホリデーやWorkawayを組み合わせれば、旅の途中で資金を補充できる
2026年3月の世界情勢 ── 旅に出る前に知っておくこと
ホルムズ海峡危機と中東の封鎖
2026年2月28日、米国・イスラエルがイランへの軍事攻撃を開始した。イランは報復として湾岸協力会議(GCC)全6カ国を攻撃し、ホルムズ海峡は約4週間にわたり事実上の閉鎖状態に陥っている。
この影響で以下の変化が起きた。
| 変化 | 内容 |
|---|---|
| 渡航危険度の引き上げ | UAE、カタール、サウジアラビア等がレベル3(渡航中止勧告)に |
| 空域閉鎖 | イラン・イラク・クウェート・シリアの空域にNOTAM発出 |
| 航空路線の迂回 | 欧州⇔アジア間の便が中央アジア経由やアフリカ南回りに |
| 原油価格の高騰 | 世界の石油・天然ガス輸送の約20%に影響 |
従来の「東南アジア→インド→ドバイ→トルコ→ヨーロッパ」という定番ルートは、2026年3月時点では成立しない。
避けるべき国・地域(レベル4:退避勧告)
ウクライナ、ロシア、ベラルーシ、ミャンマー、イラン、イラク、シリア、レバノン、イエメン、アフガニスタン、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン、リビア、マリ、ニジェール、ブルキナファソ、中央アフリカ、ハイチ、ベネズエラ──合計20カ国以上が「渡航は止めてください」に該当する。
注意が必要な地域(レベル2〜3)
パキスタン(一部地域はレベル3〜4)、エクアドル、コロンビア(一部地域)、ケニア(一部地域)、エチオピア(一部地域)も注意が必要。サウジアラビア・UAE・カタール・バーレーン・クウェート・オマーンは新たにレベル3に引き上げられた。
為替レート ── 円の実力を把握する
| 通貨ペア | 2026年3月 | 2020年頃 | 円安幅 |
|---|---|---|---|
| USD/JPY | 約150〜159円 | 約105円 | +43〜51% |
| EUR/JPY | 約184円 | 約120円 | +53% |
| GBP/JPY | 約213円 | 約135円 | +58% |
| THB/JPY | 約4.9円 | 約3.4円 | +44% |
| AUD/JPY | 約110円 | 約75円 | +47% |
同じ旅をしても2020年の1.5倍近い費用がかかる。ただし、トルコリラやエジプトポンド、アルゼンチンペソのように円以上に下落している通貨もあり、そうした国では円安の影響を感じにくい。
地域別の1日あたり生活費
ドミトリー泊・屋台やローカル食堂中心・公共交通利用を前提とした金額。
宿泊グレード別の費用感
この記事の予算はすべて**ドミトリー(相部屋)**が前提。個室にするとどれだけ変わるか。
| 地域 | ドミトリー(1泊) | 個室(ゲストハウス/Airbnb) | 差額 |
|---|---|---|---|
| インド・ネパール | 450〜1,050円 | 1,500〜3,000円 | +1,000〜2,000円/泊 |
| 東南アジア | 600〜2,700円 | 2,000〜5,000円 | +1,400〜2,300円/泊 |
| バルカン半島 | 1,500〜3,000円 | 3,500〜7,000円 | +2,000〜4,000円/泊 |
| 西欧 | 3,000〜7,000円 | 5,000〜12,000円 | +2,000〜5,000円/泊 |
| オーストラリア | 4,400〜7,700円 | 8,000〜15,000円 | +3,600〜7,300円/泊 |
個室泊に切り替えると、10ヶ月の旅で60〜150万円の上乗せになる。ドミトリーに泊まれるかどうかは、予算に直結する最大の分岐点。「相部屋は無理」という人は、各プランの予算に+60〜100万円を見込むこと。
安い地域(1日2,000〜5,000円)
| 国・地域 | 1日の目安 | 内訳の例 |
|---|---|---|
| インド | 2,000〜3,500円 | 宿450〜1,050円、食300〜900円、移動150〜450円 |
| ネパール | 2,000〜3,000円 | 宿500〜800円、食400〜700円 |
| ラオス | 2,500〜4,000円 | 宿600〜1,200円、食400〜800円 |
| カンボジア | 3,000〜4,500円 | 宿600〜1,500円、食450〜1,000円 |
| ベトナム | 3,000〜5,000円 | 宿600〜2,000円、食500〜1,200円 |
| ボリビア | 2,400〜4,500円 | 南米最安。宿600円〜 |
中程度(1日3,000〜7,000円)
| 国・地域 | 1日の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| タイ | 3,500〜6,500円 | 島嶼部は高め |
| インドネシア | 3,500〜6,000円 | バリは相場が上がっている |
| トルコ | 3,000〜6,000円 | リラ暴落で相対的にお得 |
| モロッコ | 4,500〜7,000円 | リヤド個室泊なら+2,000円 |
| ペルー | 5,000〜7,500円 | マチュピチュは別途11万円〜 |
| メキシコ | 4,500〜6,000円 | 定食$3〜5でスープ・メイン・ドリンク付き |
| バルカン半島 | 5,000〜8,000円 | 欧州では最安クラス |
高い地域(1日8,000円〜)
| 国・地域 | 1日の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 東欧(ブダペスト等) | 6,000〜13,500円 | 自炊で大幅に節約可能 |
| 西欧(パリ等) | 11,000〜19,000円 | ドミトリーでも3,000〜7,000円/泊 |
| 北欧 | 15,000〜22,500円 | 野営の権利(万人の権利)を活用すれば宿代ゼロも可 |
| アメリカ | 10,500〜18,000円 | 都市部のホステルが高騰 |
| カナダ | 9,000〜15,000円 | カナダドル安がやや追い風 |
| オーストラリア | 10,500〜18,000円 | ドミトリー4,400〜7,700円/泊 |
| ニュージーランド | 9,500〜15,000円 | ドミトリー2,750〜4,950円/泊 |
3つの予算別プラン
プランA:節約コース ── 55〜75万円 / 3〜4ヶ月
東南アジア・南アジアを中心に、物価の安い国をじっくり回る。「世界一周」というより「アジア横断」に近いが、旅の密度は高い。
| 期間 | 行き先 | 日数 | 1日予算 | 移動手段 |
|---|---|---|---|---|
| Week 1-2 | タイ(バンコク→チェンマイ) | 14日 | 3,500円 | LCC(日本→バンコク 1〜2万円) |
| Week 3 | ラオス(ルアンパバーン→ビエンチャン) | 7日 | 2,500円 | 夜行バス |
| Week 4-5 | ベトナム(ハノイ→ホーチミン) | 14日 | 3,000円 | 統一鉄道・バス |
| Week 6 | カンボジア(シェムリアップ→プノンペン) | 7日 | 3,000円 | バス |
| Week 7-8 | インドネシア(バリ→ジョグジャカルタ) | 14日 | 3,500円 | LCC |
| Week 9-10 | ネパール(カトマンズ→ポカラ) | 14日 | 2,000円 | LCC(バンコク経由) |
| Week 11-13 | インド(デリー→バラナシ→ゴア) | 21日 | 2,000円 | 鉄道 |
| Week 14 | スリランカ | 7日 | 3,000円 | LCC |
費用の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 航空券(LCC組み合わせ) | 15〜20万円 |
| 宿泊+食事+交通(100日間) | 25〜35万円 |
| ビザ・保険・雑費 | 10〜15万円 |
| 合計 | 55〜75万円 |
円安でも打撃が小さい国ばかりで構成されている。ミャンマーは内戦中のため絶対に避け、インドのカシミール地方やパキスタン国境付近も回避すること。
プランB:スタンダードコース ── 100〜135万円 / 6ヶ月
5大陸をカバーする。中東の代わりに東アフリカとモロッコを組み込み、イスラム文化にも触れられるルート。
| 期間 | 行き先 | 日数 | 1日予算 | 移動手段 |
|---|---|---|---|---|
| Month 1 | 東南アジア(タイ→ベトナム→カンボジア) | 30日 | 3,000円 | LCC・バス |
| Month 2 | インド(デリー→ラジャスタン→ケーララ) | 30日 | 2,500円 | 鉄道 |
| Month 3前半 | タンザニア→ケニア | 21日 | 5,000円 | LCC・バス |
| Month 3後半 | モロッコ | 9日 | 4,000円 | LCC |
| Month 4 | ヨーロッパ(ポルトガル→スペイン→バルカン半島) | 30日 | 6,000円 | ユーレイルパス |
| Month 5前半 | メキシコ→アメリカ西海岸 | 25日 | 8,000円 | バス・LCC |
| Month 5後半 | ペルー | 5日 | 4,000円 | LCC |
| Month 6 | ボリビア→コロンビア | 30日 | 4,000円 | バス・LCC |
費用の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 航空券(LCC組み合わせ) | 35〜45万円 |
| 宿泊+食事+交通(180日間) | 50〜70万円 |
| ビザ・保険・雑費 | 15〜20万円 |
| 合計 | 100〜135万円 |
ヨーロッパ⇔アジア間は直行便で中東空域を迂回する。ベネズエラ・ハイチは避け、コロンビア・ペルー・ボリビアで南米を体験する。
プランC:しっかりコース ── 135〜190万円 / 8〜12ヶ月
WorkawayやWWOOFを活用し、各地にじっくり滞在する。ワーキングホリデーで資金を補充すれば、実質的な持ち出しをさらに抑えられる。
| 期間 | 行き先 | 日数 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| Month 1-2 | 東南アジア(タイ・ベトナム・カンボジア・インドネシア) | 50日 | Workawayで1〜2週間の滞在費ゼロ |
| Month 3 | ネパール・インド | 30日 | トレッキング、鉄道旅 |
| Month 4 | 東アフリカ(タンザニア→ケニア) | 30日 | サファリ、歴史遺産 |
| Month 5 | モロッコ→ポルトガル→スペイン | 30日 | WWOOFで農場体験 |
| Month 6-7 | ヨーロッパ(バルカン半島→東欧) | 45日 | ユーレイルパス、Workaway活用 |
| Month 8 | 北米(カナダ→アメリカ) | 30日 | カナダでワーホリも可 |
| Month 9-10 | 中南米(メキシコ→コロンビア→ペルー→ボリビア) | 50日 | バスが安い |
| Month 11 | ニュージーランド | 25日 | ワーホリ可 |
※合計約290日(約10ヶ月)。ワーホリで数ヶ月働く場合は12ヶ月超になる。エチオピア北部はティグライ州がレベル3〜4のため除外した。
費用の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 航空券 | 45〜60万円 |
| 宿泊+食事+交通(Workaway/WWOOF活用) | 70〜100万円 |
| ビザ・保険・雑費 | 20〜30万円 |
| 合計 | 135〜190万円 |
オーストラリアやカナダのワーホリ(最低賃金AUD24/時・CAD16/時)で数ヶ月働けば、旅の後半の資金を現地で稼げる。
航空券の選び方
世界一周航空券 vs LCC組み合わせ
| 方式 | 費用 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| スターアライアンスRTW | 50〜55万円 | 最大16区間、予約変更が柔軟 | LCCより高い。中東空域閉鎖で経由地が制限される |
| ワンワールドRTW(6大陸) | 65〜75万円 | JAL系列で日本語サポート | 最も高額 |
| LCC + 個別手配 | 25〜50万円 | 最も安い。自由度が高い | 予約変更が難しい。荷物制限が厳しい |
2026年は中東空域の閉鎖でRTW航空券のルート設定に制約が出ている。LCC組み合わせの方が迂回ルートを柔軟に組めるため、状況に応じた判断が必要。
Skyscanner、Kiwi.com、Google Flightsで区間ごとに検索し、陸路移動を組み合わせるのが最もコスパが良い。
ビザ情報
日本のパスポートは2026年Henley Passport Indexで世界2位。188カ国にビザなし・到着時ビザ・電子認証で入国できる。
主要な電子認証・ビザ費用
| 国 | 種類 | 費用 |
|---|---|---|
| アメリカ | ESTA | 約3,150円($21) |
| オーストラリア | ETA | 約2,200円(AUD$20) |
| カンボジア | eVisa | 約4,500円($30) |
| インド | e-Visa | 約3,900円($25.89) |
| EU(ETIAS) | 電子認証 | 約1,300円(EUR7)※2026年Q4開始予定 |
全体で2〜5万円を見込めば十分。
保険
選択肢の比較
| プラン | 1年間の費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| SafetyWing Nomad Essential | 10〜12万円 | 1日約300円。旅行開始後も加入可。180カ国対応 |
| 日本の海外旅行保険(標準) | 14〜26万円 | 治療費上限が高い。日本語サポート |
| 日本の海外旅行保険(充実) | 20〜30万円 | 携行品補償やキャンセル補償が手厚い |
学生で予算を抑えたいならSafetyWingが現実的。ただし、歯科治療や持病の補償は含まれないことが多いので、出発前に歯医者には行っておくこと。
円安時代の節約テクニック
通貨が円以上に弱い国を狙う
トルコリラ、エジプトポンド、アルゼンチンペソは円以上に下落している。これらの国では円安の影響をほとんど感じない。
滞在を長く、移動を少なく
移動のたびに交通費がかかる。1都市に長く留まれば、宿泊費の交渉や自炊で1日の単価が下がる。
Workaway / WWOOF を活用する
- Workaway:年間$69 USD(約10,350円)で165カ国以上。1日4〜5時間の作業と引き換えに宿泊+食事が無料
- WWOOF:国ごとに登録($20〜30/国)。有機農場での作業と引き換えに宿泊+食事が無料
各国で1〜2週間Workawayを挟むと、月あたり2〜4万円の宿泊費が浮く。
ビザに関する重要な注意: Workaway・WWOOFとも、正しいビザの取得は利用者自身の責任。多くの国では観光ビザでのボランティア活動が認められておらず、違反すると入国拒否や強制退去の対象になる。参加前に必ず渡航先のビザ要件を確認すること。ワーキングホリデービザが取得できる国では、そちらを利用するのが最も安全。
ISIC(国際学生証)を取る
費用2,200円で、世界130カ国・15万件以上の割引が使える。ルーヴル美術館が無料になるなど、ヨーロッパで特に威力を発揮する。
ワーキングホリデーで資金を補充する
| 国 | 最低賃金 | 月収目安(フルタイム) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| オーストラリア | AUD$24/時 | 約42万円 | 最大3回取得可。農場仕事で2回目を延長 |
| カナダ | CAD$16/時 | 約27万円 | 2025年4月から2回目の申請が可能に |
| ニュージーランド | NZD$23/時 | 約25万円 | 自然が豊富で生活費が比較的安い |
旅の途中で3〜6ヶ月働いて資金を貯め、残りの旅を続ける──この戦略は円安時代の学生にとって現実的な選択肢になる。
季節をずらして安い時期に入る
| 地域 | 安い時期 | ピーク比 |
|---|---|---|
| 東南アジア | 5〜10月(グリーンシーズン) | 20〜30%安い |
| ヨーロッパ | 5月・9月(ショルダーシーズン) | 20〜30%安い |
| 南米 | 4〜6月(秋) | 15〜25%安い |
| インド | 7〜9月(モンスーン期) | 20〜40%安い |
Wiseデビットカードを使う
銀行の海外キャッシングは為替手数料が3〜5%かかることがある。Wise(旧TransferWise)のデビットカードなら0.5%程度で済む。年間100万円使えば差額は2〜4万円。馬鹿にならない。
まとめ ── 結局いくらあれば世界一周できるか
| プラン | 期間 | 予算 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| A. 節約コース | 3〜4ヶ月 | 55〜75万円 | 東南アジア・南アジア中心 |
| B. スタンダード | 6ヶ月 | 100〜135万円 | 5大陸カバー |
| C. しっかりコース | 8〜12ヶ月 | 135〜190万円 | Workaway・ワーホリ活用 |
2026年の円安(1ドル150円超)は確かに痛い。しかし、物価の安い国を軸にルートを組めば、学生でも55万円から世界を見て回れる。5大陸を回りたいなら100〜135万円が現実的なラインだ。
中東が使えない今、東アフリカやモロッコ、中央アジアが代替ルートとして浮上している。制約があるからこそ、従来の「定番ルート」とは違う旅ができる時代でもある。
本記事の情報は2026年3月30日時点のものです。中東情勢・為替レート・航空路線は急変する可能性があるため、出発前に必ず外務省海外安全ホームページで最新情報を確認してください。