「生成AIでスライド作成を効率化したい」への回答
よくある質問
「生成AIでスライド作成を効率化するにはどうすればいいですか?」
プレゼン資料の作成について、この手の質問をよく受けます。ChatGPT Pro、Gemini、NotebookLMなど、どのツールを使えばいいか、どうすれば早く作れるか、という話です。
結論から言うと、そもそも問いが間違っていると思っています。
ただ、「それは答えになってない」と言われそうなので、まず現実的な解を示した上で、本質的な話をします。
現実的な解:今使えるツール
現時点で試した範囲では、以下のような選択肢があります。
NotebookLM(Googleのスライド作成機能)
最近だとNotebookLMのスライド作成機能が比較的良いです。関連するWebページや文献を全部突っ込んで、スライドを生成させる。そのままNotebookLMのURLをシェアすれば、詳細を知りたい人は自分で深掘りできます。
Gemini / ChatGPT でDeep Research → スライド生成
Geminiだと合計20分くらいで比較的いいGoogle Slideができます。ChatGPTだと30分くらいで、そこそこのスライド。Deep Researchをかけて、そのままスライド作成を依頼する流れです。
ClaudeCodeでHTML/SVG(よりリッチな体験)
よりリッチな体験を届けたいなら、ClaudeCodeでHTMLやSVGを作る方が融通が利きます。
従来のスライドとの違い:
- インタラクティブにできる - スクロールでアニメーション、クリックで展開など
- 参照リンクを埋め込める - 詳細は別途Markdown記事にしてリンク
- Web公開できる - URLをシェアするだけ
- 印刷もできる - 紙で出したければ、印刷用CSSを追加すればいい
「印刷用CSSって何?」と思うかもしれませんが、自分で技術を知っている必要はない。ClaudeCodeに「印刷用に整えて」と言えば実現できます。
これがコードベースでやる大きなメリットです。自分が知らなくても、生成AIに聞けばできるようになる。実際に生成されたコードを見て、技術の理解を深めて、自分のスキル・知識として蓄積していける。繰り返し使えば、そのループで成長できる。
いわば巨人の肩に乗れる。
図をSVGで描画させて、イメージが合わなければ細かく調整できる。多少時間はかかりますが、「思った通りにならない」のは単にプロンプトやコンテキストが十分でないだけなので、時間をかければ解決できます。
本質:生成AIで補えないもの
ここからが本題です。
ワンチャート・ワンメッセージ
スライド作成の基本は、1枚のスライドに1つのメッセージ。これはマッキンゼーなどのコンサルが昔から言っていることで、生成AI以前からの鉄則です。
そして、全スライドのメッセージを繋げたら、一つのストーリーになっていること。表紙と目次の次にエグゼクティブサマリーを入れて、そこにストーリー全体が集約されている状態。このストーリーの一貫性がすべてです。
生成AIで30分でスライドを作れても、メッセージがずれていたら意味がない。中身にアイコンや絵文字が入っていても、ストーリーが破綻していたら何の価値もない。
このシンプルさは、生成AIで補えるものではないと思っています。
漫才と同じ
これは漫才にも通じる話だと聞いたことがあります。漫才で大事なのは、お客さんの頭の中に絵が描けているかどうか。情景がちゃんと浮かぶように話す。
スライドがない場面では、喋りだけでその「絵」を渡さないといけない。ビジネスシーンでスライドが使われるようになったのは、その「絵」を補助するためです。だから、スライドは喋りの補助であって、主役ではない。
「紙芝居」は本当に必要か
極論を言えば、紙芝居(スライド)すら不要にするのが最高だと思っています。
プレゼンを人間がする意味って何でしょうか。情報伝達だけなら、わざわざ人間が話す必要はない。ドキュメントを送ればいい。
リアルで話す意味は、非言語コミュニケーションにあります。声の抑揚、多少芝居がかった喋り方、間の取り方。聞いている側は「この後やり取りしやすそうだな」「一緒に仕事したいな」「なんかいい人そうだな」といった、その「人」を見ている。
どうせ細かい内容は覚えていないし、伝えたいメッセージがブレても仕方ない。大事なのは、**「この人に任せて大丈夫そうか」**を暗に伝えること。
だから、「生成AIで30分で作ってきました!」より、「ちゃんと準備してきましたよ」感がある方がいい。非言語のコミュニケーションに集中するために、スライドはシンプルにする。
稟議用資料は別で用意する
「でも日本企業だと、中身が詰まったスライドの方が稟議に添付しやすいんですよね」という声もあります。
それは別のものとして用意した方がいいと思います。プレゼン用のシンプルなスライドと、稟議用の詳細資料は目的が違う。稟議用には、関連URLや文献を全部入れたNotebookLMのURLをシェアするとか、別途ドキュメントを用意するとか。
まとめ
技術的には、NotebookLMに全部突っ込んでスライド生成 + 詳細はそのURLごとシェア、が今のところ楽。微調整したいならClaudeCodeでHTML/SVGで。
ただ本質的には、スライド作成の効率化より、伝えたいメッセージを絞ってシンプルなスライドにして、喋りに集中する方が刺さる。
「生成AIでスライドを効率化したい」という問いに対しては、そもそもスライドに何を求めているのかを考え直した方がいい、というのが正直な回答です。