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水溶液と気体
気体の発生
⚗️ 基本のしくみ

気体の発生の基本のしくみ

理科室で気体をつくるときは、なんとなく薬品を混ぜているわけではない。 気体ごとに決まった薬品の組み合わせがあり、それを覚えておけば、 どんな装置で何が発生しているのかが読み取れるようになる。

最重要ポイント: 酸素=二酸化マンガン+過酸化水素水(かさんかすいそすい)/ 二酸化炭素=石灰石(せっかいせき)+うすい塩酸(えんさん)/ 水素=亜鉛(あえん)や鉄・アルミニウムなど+うすい塩酸/ アンモニア=塩化アンモニウム+水酸化カルシウムを混ぜて加熱(かねつ)。

4つの気体・薬品の組み合わせ早見表二酸化マンガン(固体・くり返し使える)過酸化水素水酸素石灰石うすい塩酸二酸化炭素亜鉛・鉄・アルミニウムなどうすい塩酸水素塩化アンモニウム水酸化カルシウムアンモニア(加熱が必要)酸素・二酸化炭素・水素は常温のままで反応が始まるアンモニアだけは、混ぜたあとに加熱しないと発生しない

🧪 二酸化マンガンは「触媒(しょくばい)」

二酸化マンガンは、過酸化水素水を酸素と水に分解する手助けをするが、 二酸化マンガン自身は反応の前後でまったく変化しない。 このように、自分は変わらずに他の物質の変化を助けるはたらきをする物質を触媒という。 かわかせば、同じ二酸化マンガンを何度でもくり返し使うことができる。

二酸化マンガンは反応の前後で変わらない反応前二酸化マンガン 1g過酸化水素水反応反応後酸素+水ができる二酸化マンガン 1g(重さも変化なし)重さも姿も変わらないから「触媒」=くり返し使える

生のレバーやすりおろしたジャガイモにも、二酸化マンガンと同じように過酸化水素水を分解する成分(酵素)がふくまれているため、 二酸化マンガンの代わりに使っても酸素を発生させることができる。

間違えやすい! 二酸化マンガンの量を2倍にすると反応の速さは速くなるが、 発生する酸素の総量は変わらない。 酸素の量を決めるのは、二酸化マンガンではなく過酸化水素水の体積や濃度(のうど)のほう。

🪨 石灰石でなくても二酸化炭素は発生する

石灰石の主な成分は炭酸カルシウムという物質。 炭酸カルシウムを主な成分とする物であれば、石灰石でなくても同じように二酸化炭素を発生させることができる。 大理石(だいりせき)・貝がら・卵のから・チョークなどが、その代表的な代用品になる。

📝 このセクションのまとめ

  • 4つの気体はそれぞれ決まった薬品の組み合わせで発生する
  • 二酸化マンガンは触媒:自身は変化せず、量を増やしても総量は変わらず速さだけ変わる
  • 石灰石は炭酸カルシウムをふくむ物(大理石・貝がら・卵のから・チョークなど)で代用できる
🧪 水溶液と気体気体の発生

気体の発生の基本のしくみ

理科室で気体をつくるときは、なんとなく薬品を混ぜているわけではない。 気体ごとに決まった薬品の組み合わせがあり、それを覚えておけば、 どんな装置で何が発生しているのかが読み取れるようになる。

最重要ポイント: 酸素=二酸化マンガン+過酸化水素水(かさんかすいそすい)/ 二酸化炭素=石灰石(せっかいせき)+うすい塩酸(えんさん)/ 水素=亜鉛(あえん)や鉄・アルミニウムなど+うすい塩酸/ アンモニア=塩化アンモニウム+水酸化カルシウムを混ぜて加熱(かねつ)。

4つの気体・薬品の組み合わせ早見表二酸化マンガン(固体・くり返し使える)過酸化水素水酸素石灰石うすい塩酸二酸化炭素亜鉛・鉄・アルミニウムなどうすい塩酸水素塩化アンモニウム水酸化カルシウムアンモニア(加熱が必要)酸素・二酸化炭素・水素は常温のままで反応が始まるアンモニアだけは、混ぜたあとに加熱しないと発生しない

🧪 二酸化マンガンは「触媒(しょくばい)」

二酸化マンガンは、過酸化水素水を酸素と水に分解する手助けをするが、 二酸化マンガン自身は反応の前後でまったく変化しない。 このように、自分は変わらずに他の物質の変化を助けるはたらきをする物質を触媒という。 かわかせば、同じ二酸化マンガンを何度でもくり返し使うことができる。

二酸化マンガンは反応の前後で変わらない反応前二酸化マンガン 1g過酸化水素水反応反応後酸素+水ができる二酸化マンガン 1g(重さも変化なし)重さも姿も変わらないから「触媒」=くり返し使える

生のレバーやすりおろしたジャガイモにも、二酸化マンガンと同じように過酸化水素水を分解する成分(酵素)がふくまれているため、 二酸化マンガンの代わりに使っても酸素を発生させることができる。

間違えやすい! 二酸化マンガンの量を2倍にすると反応の速さは速くなるが、 発生する酸素の総量は変わらない。 酸素の量を決めるのは、二酸化マンガンではなく過酸化水素水の体積や濃度(のうど)のほう。

🪨 石灰石でなくても二酸化炭素は発生する

石灰石の主な成分は炭酸カルシウムという物質。 炭酸カルシウムを主な成分とする物であれば、石灰石でなくても同じように二酸化炭素を発生させることができる。 大理石(だいりせき)・貝がら・卵のから・チョークなどが、その代表的な代用品になる。

📝 このセクションのまとめ

  • 4つの気体はそれぞれ決まった薬品の組み合わせで発生する
  • 二酸化マンガンは触媒:自身は変化せず、量を増やしても総量は変わらず速さだけ変わる
  • 石灰石は炭酸カルシウムをふくむ物(大理石・貝がら・卵のから・チョークなど)で代用できる

発生のさせ方と装置の注意点

気体の発生方法は、大きく2つのタイプに分けられる。 常温(じょうおん)のまま固体と液体を混ぜるだけで反応が始まるタイプと、 固体どうしを混ぜて加熱(かねつ)しないと反応しないタイプだ。 どちらのタイプかによって、装置と気をつけるポイントが変わる。

① 常温反応タイプ(酸素・二酸化炭素・水素)

酸素・二酸化炭素・水素は、どれも固体の薬品が入った容器に、液体の薬品を少しずつ加えるだけで反応が始まる。 装置の形もほとんど同じで、コック付きろうと・固体を入れる容器・気体を導くガラス管の組み合わせでできている。

常温反応タイプの装置(酸素・二酸化炭素・水素に共通)コック付きろうと液体を少しずつ加える固体の薬品(例:二酸化マンガン・石灰石・亜鉛など)← ガラス管の先はここ集気びん(水の中で気体を集める)水そうの水にひたして気体をためる(集め方のくわしいちがいは「気体の性質」で学ぶ)

装置の注意点①:コック付きろうとのガラス管の先は、 いつも容器の中の液の中に入れておく。 管の先が液の上に出ていると、発生した気体がろうとの管を通って逆流(ぎゃくりゅう)して、 にげてしまう。管の先を液の中に入れておくことで、気体が管からにげるのを防いでいる。

装置の注意点②:反応を始めてすぐに出てくる気体は、集めずに捨てる。 反応が始まる前から容器の中に入っていた空気が最初の気体に混じっているため、 そのまま集めると気体の純度(じゅんど)が下がってしまうからだ。

② 加熱タイプ(アンモニア)

アンモニアだけは、塩化アンモニウムと水酸化カルシウム、この2つの固体の粉末をよく混ぜ合わせてから試験管に入れ、 加熱してはじめて発生する。加熱するときは、試験管の口を少し下げて熱するのが決まりだ。

加熱タイプの装置(アンモニア)塩化アンモニウム+水酸化カルシウムここを加熱口を少し下げるできた水は口の方へ流れる口を下げる → 水が加熱部分へ流れて試験管が割れるのを防ぐ

装置の注意点③:アンモニアを発生させる反応では、同時にもできる。 試験管の口を下げずに加熱すると、できた水が熱している部分に流れこみ、 急な温度差で試験管が割れてしまうおそれがある。だから口を少し下げて加熱する。

間違えやすい! 「常温反応タイプ」の酸素・二酸化炭素・水素は加熱しなくても反応が始まる。 逆に、アンモニアは加熱しないと反応が始まらない。 タイプによって必要な操作が正反対になる点に注意しよう。

比較して覚えよう

📊 4つの気体・発生方法のまとめ比較表

薬品の組み合わせ・代用品・反応のさせ方をひとつの表にまとめた。 表全体を丸暗記するより、「常温か加熱か」で先に2グループに分けてから覚えると整理しやすい。

気体酸素二酸化炭素水素アンモニア
固体の薬品二酸化マンガン石灰石亜鉛・鉄など塩化アンモニウム
混ぜる薬品過酸化水素水うすい塩酸うすい塩酸水酸化カルシウム
代用品生のレバー・ジャガイモ大理石・貝がら・卵のから・チョーク
反応のさせ方常温常温常温加熱が必要
触媒はあるかある(二酸化マンガン)なしなしなし

覚え方のコツ:常温反応タイプの3つ(酸素・二酸化炭素・水素)は装置がほぼ同じ形。 「コック付きろうと+固体」という形を1つ覚えれば、あとは薬品名を当てはめるだけでよい。 アンモニアだけは仲間はずれで、加熱装置ごと別に覚える。

🔍 触媒(しょくばい)は身の回りにもある

「自分は変化せずに、他の物質の変化を助ける」というはたらきをするものは、二酸化マンガン以外にも身近にある。 体の中では酵素(こうそ)という形で、いろいろな触媒が消化を助けている。

だ液(アミラーゼ)ごはんのでんぷんを分解
胃液(ペプシン)たんぱく質を分解
生のレバー・ジャガイモ過酸化水素水を分解
二酸化マンガン過酸化水素水を分解

🎯 入試頻出(ひんしゅつ)Q&A

Q. 二酸化マンガンの量を増やすと、発生する酸素の体積も増える?

A. 増えません。二酸化マンガンは触媒なので、量を増やしても反応が速くなるだけで、酸素の総量は変わりません。酸素の量を決めるのは過酸化水素水の体積・濃度です。

Q. 石灰石がなければ二酸化炭素は発生させられない?

A. そんなことはありません。炭酸カルシウムを主な成分とする物であれば、大理石・貝がら・卵のから・チョークなどでも同じように発生させられます。

Q. 常温反応タイプ(酸素・二酸化炭素・水素)の装置で共通して気をつけることは?

A. ガラス管の先を液の中に入れておくこと(逆流を防ぐため)と、最初に出てくる気体は捨てること(空気が混じっているため)の2つです。

Q. アンモニアを発生させる実験で、試験管の口を下げるのはなぜ?

A. 反応でできた水が加熱している部分に流れこむと、急な温度差で試験管が割れてしまうおそれがあるためです。口を下げておけば水は口の方に流れていきます。

Q. 4つの気体のうち、加熱しないと発生しないのはどれ?

A. アンモニアだけです。酸素・二酸化炭素・水素は、固体と液体を混ぜるだけで常温のまま反応が始まります。

実験で理解しよう

🧪 発生量の計算とグラフの読み取り

気体の発生実験でよく問われるのは「量の比例計算」と「グラフの折れ点(おれてん)の読み取り」。 折れ点とは、薬品どうしが過不足なく反応し終わる点のことで、 そこから先はどちらかの薬品が余るだけで、発生する気体の量は増えなくなる。

例題 1:二酸化マンガンの量を変えると何が変わる?

濃さが同じ過酸化水素水20cm3に、いろいろな重さの二酸化マンガンを加えて酸素を発生させ、 反応が終わるまでの時間と発生した酸素の体積を調べたところ、下の表のようになりました。
(1) 二酸化マンガンを4.0gにしたとき、発生する酸素の体積は何cm3ですか。
(2) この実験からわかる、二酸化マンガンの量を変えたときの影響をまとめなさい。

二酸化マンガンの重さ〔g〕0.51.02.0
反応が終わるまでの時間〔分〕421
発生した酸素の体積〔cm3〕160160160

とき方

  1. 表を横に見ると、二酸化マンガンの重さが2倍・4倍になるにつれて、反応が終わるまでの時間は半分・4分の1に短くなっている
  2. しかし、発生した酸素の体積はどの場合も160cm3で変わらない
  3. (1) 二酸化マンガンは触媒で、酸素の総量は過酸化水素水の量で決まる → 表にない4.0gでも160cm3発生する
  4. (2) 二酸化マンガンの量を増やすと反応の速さは速くなるが、発生する酸素の総量は変わらない(触媒だから)

ポイント:「量を増やす=発生量も増える」と思いこまないこと。 触媒がからむ問題では、量が変えるのは速さだけという点を必ず確認しよう。

例題 2:石灰石とうすい塩酸で発生する二酸化炭素

石灰石5gに、濃さが同じうすい塩酸の体積を変えて加え、発生する二酸化炭素の体積を調べたところ、 下のグラフのようになりました。
(1) 塩酸10cm3あたり、何cm3の二酸化炭素が発生しますか。
(2) 石灰石5gがちょうどすべて反応し終わるのは、塩酸を何cm3加えたときですか。
(3) 塩酸を45cm3加えたとき、発生する二酸化炭素は何cm3ですか。
(4) 石灰石を10gに増やし、同じ塩酸を30cm3加えたとき、発生する二酸化炭素は何cm3ですか。

石灰石5gに塩酸を加えたときの二酸化炭素の発生量0901802701020304050加えた塩酸の体積〔cm3〕〔cm3〕折れ点=30cm3ここから先は一定(石灰石を使い切った)

とき方

  1. グラフより、塩酸10cm3で二酸化炭素90cm3発生している → 塩酸10cm3あたり90cm3 …(1)の答え
  2. グラフが折れ曲がるのは塩酸30cm3のところ。ここで石灰石5gがちょうど反応し終わる …(2)の答え
  3. 塩酸45cm3は折れ点(30cm3)より多いので、石灰石はすでに使い切っている → 二酸化炭素は増えず270cm3のまま …(3)の答え
  4. (4) 石灰石を10gに増やしても、塩酸30cm3は変わらないので、塩酸の量で決まる分だけ反応する。塩酸30cm3が反応できる量は変わらないため、二酸化炭素は270cm3のまま(石灰石は5g分余る)

間違えやすい! (4)で「石灰石が2倍だから二酸化炭素も2倍」としないこと。 折れ点より手前かどうかは、少ないほうの薬品(ここでは塩酸)の量で決まる

例題 3:亜鉛とうすい塩酸で発生する水素

うすい塩酸50cm3に、いろいろな重さの亜鉛を加えて発生する水素の体積を調べたところ、 下のグラフのようになりました。
(1) 塩酸50cm3とちょうど反応する亜鉛の重さは何gですか。
(2) 亜鉛1.2gを加えたとき、発生する水素の体積は何cm3ですか。
(3) 亜鉛3.0gを加えたとき、発生する水素の体積は何cm3ですか。
(4) この塩酸と亜鉛0.75gがちょうど反応するには、塩酸を何cm3にすればよいですか。

塩酸50cm3に亜鉛を加えたときの水素の発生量01503004500.51.01.52.02.5加えた亜鉛の重さ〔g〕〔cm3〕折れ点=1.5gここから先は一定(塩酸を使い切った)

とき方

  1. グラフが折れ曲がるのは亜鉛1.5gのところ → 塩酸50cm3とちょうど反応する亜鉛は1.5g …(1)の答え
  2. 1.5gより手前(比例区間)では、亜鉛1gあたり水素300cm3発生している(150÷0.5=300)
  3. (2) 亜鉛1.2gは比例区間内なので、300×1.2=360cm3
  4. (3) 亜鉛3.0gは折れ点(1.5g)を超えているので、塩酸はもう使い切っている → 450cm3のまま(亜鉛1.5g分が反応せず残る)
  5. (4) 亜鉛1.5gが塩酸50cm3とちょうど反応することから、亜鉛が半分の0.75gなら、ちょうど反応する塩酸も半分でよい
  6. (4) 50÷2=25cm3

📝 発生量の計算 3つの手順

  • 手順1:触媒がからむ問題は、量を変えても総量は変わらないことをまず疑う
  • 手順2:グラフの折れ点を見つけたら、そこが「過不足なく反応し終わる点」
  • 手順3:折れ点より前は比例計算、折れ点より後ろは値が変わらないと判断する
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二酸化マンガンに過酸化水素水を加えると発生する気体はどれ?