子どもに教えられる算数 — 🔢 数の性質編 / 第4章(全12章)

🪜 約数と倍数

公約数・公倍数を「書き出して探す」やり方から卒業し、連除法(はしご算)で一気に求める方法へ。最大公約数と最小公倍数の混同も、はしご算のL字で視覚的に解決します。

小5年〜

約数の書きもれは「ペア探し」で防ぐ

18の約数を答えさせると、「1、2、3、9、18」——6が抜ける。 この「書きもれ」は約数の定番ミスです。1から順に割り切れるか試していく方法だと、 途中のどこかで集中が切れた瞬間に漏れが出ます。

約数は「かけてその数になるペア」で外から内へ埋めると漏れない 例: 18の約数 — 枠を多めに描いて、両端からペアで埋める12369181×182×93×6 ペアの内側(3×6)まで埋まったら打ち止め。「6を書き忘れる」型のミスが構造的に起きなくなる ※ 25のような平方数は5×5のペアが重なるので、真ん中に1個だけ入る
図: 18の約数のペア探し。外側(1×18)から内側(3×6)へ向かって埋める

対策は探し方を変えること。約数は必ず「かけてその数になるペア」で見つかります。 1×18、2×9、3×6——枠を多めに描いておき、見つけたペアを外側と内側から同時に埋めていく。 ペアが真ん中でぶつかったら打ち止めです。 「全部見つけたか不安」という状態が、「ペアが閉じたから終わり」という確信に変わります。

参考: 原書 p.99

小5年〜

最大公約数は連除法(はしご算)の縦をかける

30と45の最大公約数を求めるとき、学校ではまず「両方の約数を全部書き出して共通のものを探す」 方法を教わります。意味を理解する最初の一歩としては正しいのですが、数が大きくなると 時間がかかるうえ、前のセクションで見た「書きもれ」リスクが2倍になります。

そこで連除法(はしご算)です。2つの数を並べて書き、 両方を割り切れる数で割っては下の段に商を書く——これを共通で割れる数がなくなるまで続けます。 30と45なら、3で割って10と15、5で割って2と3。もう共通で割れません。 左の縦に並んだ「3×5=15」が最大公約数です。

🎛️ はしご算ラボ — 縦をかけると最大公約数、L字全部で最小公倍数

2つの数を両方とも割り切れる数を下のボタンから選んで、はしごを降りていこう

3045

上の教具で、わざと「片方しか割れない数」も押してみてください。 「両方を割り切れる数しか使えない」というはしご算の約束が、失敗の体験から身に付きます。 割る順番は自由(2で先に割っても3で先に割っても同じ答えに着地する)という発見もできます。

参考: 原書 p.102

小5年〜

最小公倍数ははしご算のL字全部をかける

最小公倍数も、同じはしご算から読み取れます。12と18なら、2で割って6と9、3で割って2と3。 最大公約数は縦の2×3=6でした。最小公倍数は縦と最後の段を全部かけたL字 ——2×3×2×3=36です。

縦だけかけると最大公約数、L字全部かけると最小公倍数 12 と 18 のはしご算(連除法)2121836923縦(割った数)だけをかける2 × 3 = 6= 最大公約数L字(縦+最後の段)全部をかける2×3×2×3 = 36= 最小公倍数 縦だけ=最大公約数、L字全部=最小公倍数
図: 12と18のはしご算。縦の2×3=6が最大公約数、L字全部の2×3×2×3=36が最小公倍数

なぜL字で最小公倍数になるのか

最小公倍数は「12と18の両方を含む最小の数」です。 縦の6は2つの数の共通部分、最後の段の2と3はそれぞれの固有部分。 共通部分を1回だけ数えて、固有部分を両方付け足す——だからL字なのです。 倍数を書き並べて共通の数を探すやり方(12、24、36…と18、36…)と答えが一致することを 1回確かめておくと、はしご算が「魔法の手順」ではなく「賢い近道」になります。

参考: 原書 p.108

小5年〜

最大公約数と最小公倍数を混同しない覚え方

「最大公約数」と「最小公倍数」は、用語そのものが混同の名所です。 存在しない「最小公約数」「最大公倍数」と言ってしまう子も珍しくありません (公約数の最小は必ず1、公倍数に最大はないので、どちらも問いとして成立しません)。

用語は3つずつの「意味のつながり」で覚える

  • 約数系: 約数(割り切れる数)→ 公約数(共通の約数)→ 最大公約数(そのうち最大)
  • 倍数系: 倍数(整数倍の数)→ 公倍数(共通の倍数)→ 最小公倍数(そのうち最小)

6つの用語を個別に暗記するのではなく、「約数の仲間」「倍数の仲間」の2系統のしりとりとして 押さえると混同が消えます。さらに、約数は元の数より小さくなる仲間だから「最大」を探す、 倍数は大きくなる仲間だから「最小」を探す——と方向感覚で補強できれば完璧です。

約数は自分以下に潜り、倍数は自分以上に伸びる 約数は自分以下に「潜る」公約数 {1, 2, 3, 6}倍数は自分以上に「伸びる」公倍数 {36, 72, 108 …}123612183672108最大公約数最小公倍数12 と 18 にいちばん近いところで向かい合う 約数は内側へ・倍数は外側へ——だから「最大」公約数と「最小」公倍数を探す
図: 約数は内側(自分以下)へ、倍数は外側(自分以上)へ。6と36は12・18のすぐ近くで向かい合う

参考: 原書 p.115

小5年〜

1が素数の仲間に入れない理由

素数は「1とその数自身しか約数がない数」と教わります。 この定義を素直に読むと「1だって、1と自分自身(=1)しか約数がない。素数では?」 という疑問が出てきます。実に良い質問で、答えは数学の土台に関わります。

1を素数に入れると「分解は1通り」という数学の土台が壊れる 1は素数に入れない(今の数学)10 = 2 × 5分解のしかたはこの1通りだけ(素因数分解の一意性)もし1を素数に入れたら…10 = 2×5= 1×2×5= 1×1×2×5 = …いくらでも書けて、1通りに決まらない 「1は仲間外れにされた」のではなく、分解の一意性を守る役割分担
図: 1が素数でない理由。素因数分解が1通りに決まる世界を守るための定義

どんな数も素数のかけ算に分解でき、その分解は1通りに決まる (素因数分解の一意性)——数学はこの性質の上に建っています。 もし1を素数に入れると、10=2×5=1×2×5=1×1×2×5…と分解が無限に書けて、 「1通り」が壊れてしまう。だから1は素数に入れない、と決めたのです。 「1は仲間外れにされたのではなく、ルールを守る側に回った」と話すと、子どもにも腑に落ちます。

参考: 原書 p.118

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