子どもに教えられる算数 — 📊 数量関係編 / 第8章(全12章)

⚖️ 単位量あたりの大きさ

「混みぐあい」「速さ」のような単位量あたりの大きさは、割合への入り口です。「どっちをどっちで割るのか」を意味から判断する方法と、単位の体系的な覚え方を扱います。

小5年〜

平均は「でこぼこをならす」操作

「平均=合計÷個数」は誰でも言えますが、「平均って?」に答えるのは別の問題です。 平均の原義は「ならす」——でこぼこを平らにすることです。

平均は「でこぼこを平らにならした高さ」——だから合計÷個数 ならす前(3・7・5・1個)ならすならした後(4個ずつ)平均4 式にすると: (3+7+5+1)÷ 4 = 16 ÷ 4 = 4 「合計÷個数」は、いったん全部集めてから等しく配り直す操作と同じ
図: 平均=ならす。「合計÷個数」の式は、でこぼこの配り直しを表している

3個・7個・5個・1個と積まれたブロックを、多い山から少ない山へ移して平らにすると4個ずつ。 「合計÷個数」という式は、いったん全部集めて、等しく配り直す操作を1行にしたものです。 「テストの平均点」も「平均気温」も、でこぼこな値をならした高さ—— このイメージがあると、平均より上か下かという議論や、 後で出てくる「ならした混みぐあい」(人口密度)にも自然につながります。

参考: 原書 p.201

小5年〜

「1あたり」を求めるときどっちで割るかの判断法

「単位量あたりの大きさ」は名前こそ仰々しいものの、 中身は「1日あたり100円」「1Lあたり10km」のような「1つあたり」の話です。 なぜ「1つあたり」に直すのか——比べやすくするためです。 3個セット800円と4個セット1100円は、そのままでは比べられませんが、 1個あたり約267円と275円に直せば即決できます。

「1○あたりの△」は「△ ÷ ○」——求めたいものを○で割る 例: 長さ3m・重さ96gの針金「1mあたりの重さ」を知りたい 1mあたりの重さ重さ ÷ 長さ96 ÷ 3 = 32g検算: 32gが3mぶんで96g ✓「1gあたりの長さ」を知りたい 1gあたりの長さ長さ ÷ 重さ3 ÷ 96 = 0.03125m同じ針金でも「あたり」の向きで式が変わる 迷ったら言葉に戻す——「1mあたりの重さ」と口に出せば、割られるのは重さ ※ そもそも「1あたり」に直すのは、3個800円と4個1100円のような比べにくいものを比べるため
図: どっちをどっちで割るか。「1○あたりの△=△÷○」の言葉の型で判断する

つまずきポイントは「どっちをどっちで割るか」。 言葉の型で判断します——「1○あたりの△」を求めるなら△÷○。 「1mあたりの重さ」なら重さ÷長さ、「1人あたりの枚数」なら枚数÷人数。 迷ったら問題文を「1○あたりの△は?」の形に言い直してから式を立てる、を習慣にしましょう。

参考: 原書 p.205

小2年〜

単位の関係はk(1000倍)・m(1/1000)などの接頭語で体系化

km、cm、mm、kg、mg、kL、dL、mL……単位を個別に暗記しようとすると、 「1km=1000m、1kg=1000g、1kL=…」と同じことを何度も覚えるはめになります。 覚えるべきは単位ではなく接頭語(頭につく文字)の規則です。

単位は丸暗記しない——接頭語(k・h・d・c・m)の1つの規則で全部読める k(キロ)h(ヘクト)基準d(デシ)c(センチ)m(ミリ)×1000×100×1×1/10×1/100×1/1000長さ(m)kmmcmmmかさ(L)kLLdLmL重さ(g)kggmg km・kL・kgの「k」は同じ×1000——単位ごとではなく接頭語で覚えると3行が1行になる ※ 面積のヘクタール(ha)のhも×100の仲間。空欄は日常で使わないだけで、規則は同じ
図: 単位の接頭語マップ。長さ・かさ・重さは同じ規則の3つの顔

k(キロ)=1000倍、h(ヘクト)=100倍、d(デシ)=1/10、c(センチ)=1/100、m(ミリ)=1/1000。 この5つを覚えれば、長さ・かさ・重さの単位の関係はぜんぶ読めます。 kmのkも、kgのkも、kLのkも同じ「×1000」—— 3行の暗記表が、接頭語という1行の規則に圧縮されます。

参考: 原書 p.210

小2年〜

単位換算は「基準への倍率」を1ステップずつ

単位換算(2.5km=□m のような問題)のコツは、 「基準への倍率を1ステップずつ」です。 2.5km → kは1000倍だから 2.5×1000=2500m。 逆方向(350cm=□m)なら、cは1/100だから 350÷100=3.5m。

単位換算は、隣の単位へ1ステップずつ倍率をかける kmmcmmm×1000×100×10÷1000÷100÷10 → 小さい単位へ進むときは × / ← 大きい単位へ戻るときは ÷ 3km3000m300000cm×1000×100 一気に×100000としない——隣の単位へ1ステップずつなら向きも量も間違えない
図: 単位換算のはしご。隣の単位への倍率を1ステップずつかけて進む

「大きい単位ほど数字は小さくなる」の感覚

子どもがよく混乱するのは、かける・割るの向きです。 「同じ長さなら、大きい単位で測るほど数字は小さくなる」—— 身長を1.4mと言っても140cmと言っても同じ、という体感とセットにすると向きを間違えません。 換算した後に「数字の大小は単位の大小と逆になっているか」を見るのが、簡単で強力な検算です。

参考: 原書 p.217

小6年〜

速さの単位換算 — 時速⇔分速⇔秒速は60の乗除

速さの単位換算(秒速5m=分速□m=時速□km)が難しいのは、 「時速40km」という1つの表現に時間とキョリの2つの単位が入っているからです。 「秒速→分速は×60」のような変換ルールの丸暗記は、 単位がひねられた瞬間(秒速10m=分速□km?)に事故を起こします。

「1秒で5mなら、60秒では?」と意味に戻る

秒速5mは「1秒間に5m進む」こと。なら1分(60秒)では5×60=300m——分速300m。 1時間(60分)では300×60=18000m、kmに直して時速18km。 かけるのは「時間の単位を引き伸ばした倍率」、最後にキョリの単位を整える、 という2段構えで考えれば、どんなひねりにも対応できます。 ルールを忘れても意味から復元できる——これは第3章の小数点のダンスと同じ思想です。

時速⇔分速⇔秒速は、必ず60の乗除でつながる 時速分速秒速÷60÷60×60×60 → 短い時間あたりへは ÷60 / ← 長い時間あたりへ戻るときは ×60 時速36km分速600m秒速10m÷60÷60 ※ 36km=36000m に読み替えてから、36000÷60=600m、600÷60=10m 1時間=60分、1分=60秒——だから隣どうしは必ず60の乗除
図: 時速・分速・秒速のはしご。隣どうしは60の乗除でつながる

参考: 原書 p.220

さんすうコラム

中学入試レベルの単位換算に挑戦

中学入試では「時速72kmは秒速何m?」のような換算が、計算問題の前座として平然と出てきます。 やることは本編と同じ2段構えです。 72km=72000m。1時間=3600秒。だから秒速は 72000÷3600=20m

複合単位は、分子(キョリ)と分母(時間)を別々に換算する 問: 時速72kmは秒速何m?① 分子(キョリ)の単位を直すkm を m に(×1000)72km/時 → 72000m/時② 分母(時間)の単位を直す1時間 を 秒に(60分×60秒)1時間 = 3600秒キョリ ÷ 時間 = 1秒あたりに進むキョリ72000 ÷ 3600 = 秒速20m 上(キョリ)と下(時間)を別々に直してから割る——複合単位はこの2手で解ける
図: 複合単位の換算は、分子のキョリと分母の時間を別々に直してから割る

実は「時速km→秒速m」は÷3.6、逆は×3.6という近道があります (1000m÷3600秒=1/3.6だから)。ただしこの近道も、 意味の2段構えで一度導いてから使うのが鉄則。 近道だけ覚えた子は、3.6をかけるのか割るのかを必ず取り違えます。

参考: 原書 p.225

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