子どもに教えられる算数 — 📐 図形編 / 第6章(全12章)

🔷 平面図形

三角形の面積はなぜ「÷2」するのか。円の面積はなぜ「半径×半径×3.14」なのか。すべての面積公式が「長方形に変形すれば求められる」という1つの考え方に帰着することを示します。

小4年〜

四角形の面積公式ファミリーはすべて長方形に帰着する

長方形・正方形・平行四辺形・台形・ひし形——四角形の面積公式は5つもあって、 丸暗記しようとすると必ずどれかを取り違えます。 でも実は、覚えるべき公式は「長方形=たて×横」の1つだけです。 残りはすべて「どうやって長方形に変えるか」の物語にすぎません。

四角形の面積公式は、ぜんぶ「長方形=たて×横」の子孫 長方形たて × 横平行四辺形端の三角形を切って反対側へずらすと長方形底辺 × 高さ台形逆さの複製を継ぎ足すと平行四辺形(だから÷2)(上底+下底)×高さ÷2ひし形対角線で外箱(長方形)を描くと、ちょうどその半分対角線×対角線÷2 公式を忘れたら「どうやって長方形に変えるか」を思い出せば自力で復元できる
図: 四角形の面積公式ファミリー。変形の仕方ごと覚えれば公式は暗記不要

平行四辺形は、はみ出た三角形を切って反対側に移すと長方形(だから底辺×高さ)。 台形は、逆さにした複製を継ぎ足すと平行四辺形(継ぎ足した分を÷2でお返し)。 ひし形は、対角線で外箱の長方形を描くとちょうど半分。 公式を忘れたときに「変形の物語」から自力で復元できる——これが本当の理解です。

参考: 原書 p.149

小5年〜

三角形の面積の「÷2」は平行四辺形の半分だから

三角形の面積「底辺×高さ÷2」の「÷2」は、子どもにとって最大の謎です。 答えは平行四辺形にあります。同じ三角形をもう1枚、180度回して継ぎ足すと、 ぴったり平行四辺形になるのです。

🎛️ 等積変形ラボ — 知らない形は、知ってる形に変えて測る

底辺

スライダーを右へ。同じ三角形(緑)を180度回転させて継ぎ足すと…?

平行四辺形の面積は底辺×高さ。三角形はその半分だから÷2—— 上の教具でスライダーを動かすと、「÷2」が「継ぎ足した複製のお返し」だと見えます。 台形の「÷2」も同じ理屈(複製を継ぎ足して平行四辺形にした)なので、 一度この感覚をつかむと「どこに÷2が付くか」を間違えなくなります。

参考: 原書 p.158

小5年〜

三角形の内角の和が180度 — 角を集めると一直線

「三角形の内角の和は180度」は、3つの角を破いて1か所に集めると一直線(180度)に なることで確かめられます。紙の三角形を実際に破らせるのがいちばん早い説明です。 どんな形の三角形で試しても一直線になる——この「どんな形でも」が驚きの核心です。

📐 内角の和ラボ — どんな三角形でも、集めると一直線

まず「頂点を動かす」で好きな形の三角形にしてから、「角を集める」を右へ。3つの角はどうなる?

「測って確かめる」と「理屈で納得する」の2段構え

分度器で測ると179度や181度になることがあります(測定誤差)。 「破って一直線」は誤差なしで全部の角を一度に見られるのが優れたところ。 中学では平行線の性質を使った証明に進みますが、小学生の段階では 「集めると一直線」という体験が土台になります。

参考: 原書 p.161

小5年〜

多角形の内角の和は三角形に切り分けて数える

「□角形の内角の和=180×(□−2)」という公式の「−2」は、暗記すると必ず 「−1だっけ? −2だっけ?」と揺れます。これも理屈で覚えましょう。

「180×(□−2)」の正体は、1つの頂点から切り分けた三角形の数 四角形 → 三角形2つ180×2=360°五角形 → 三角形3つ180×3=540°六角形 → 三角形4つ180×4=720° 頂点の数より三角形が2つ少ないのは、自分自身と両隣には対角線を引けないから
図: 多角形は1つの頂点から三角形に切り分ける。内角の和=180×(頂点の数−2)

多角形の1つの頂点から対角線を引くと、図形は三角形に切り分けられます。 四角形は2つ、五角形は3つ、六角形は4つ——頂点の数より2つ少ない。 なぜ2つ少ないかと言えば、自分自身と両隣の頂点には対角線が引けないからです。 内角の和は「三角形(180度)が何枚あるか」で決まる——公式は枚数の数え方でしかありません。

参考: 原書 p.164

小5年〜

円周率は「円周が直径の何倍か」という比率

円周率3.14は「とにかくかける数」として教わりがちですが、正体は比率です。 どんな円でも、円周の長さは直径のちょうど3.14倍あまり—— コップの口でも自転車の車輪でも、丸ければ必ずこの比率になります。

円周率は「円周は直径の何倍か」——どの円でも約3.14倍 直径まわりの長さ=円周円周をまっすぐ伸ばすと…直径1個分2個分3個分+0.14… 円周 ÷ 直径 = 3.14…(円周率) コップでも車輪でも、丸いものなら必ずこの比率。だから「円周=直径×3.14」で長さが出せる
図: 円周率の意味。円周を直径で測ると、どんな円でも3.14あまりちょっと

おすすめの体験は、家にある丸いもの(缶・コップ・お皿)の周りにひもを巻いて測り、 直径で割ってみることです。どれも3.1いくつになる—— 「円周率は人間が決めた数ではなく、円という形が持っている性質」だと体感できます。 そうなれば「円周=直径×3.14」は公式ではなく、比率の読み替えにすぎません。

参考: 原書 p.167

小6年〜

円の面積はピザ切り分け→長方形への並べ替えで導く

円の面積「半径×半径×3.14」は、四角形ファミリーと同じく長方形への変形で説明できます。 円をピザのように細く等分して、扇形を上下交互に並べ替えるのです。

上の等積変形ラボの「円 → 長方形」タブで、分割数を増やしてみてください。 ギザギザがならされて、たて=半径、よこ=円周の半分(半径×3.14)の 長方形に近づいていきます。長方形の面積はたて×横だから、 円の面積=半径×(半径×3.14)。「半径を2回かける」理由が、形として見えます。

並べ替えてできる長方形の「たて」は、直径ではなく半径 半径ピザのように16等分に切る並べ替えたて=半径よこ=円周の半分=半径×3.14(分割を細かくするほど長方形に近づく) 円の面積=たて×よこ=半径×(半径×3.14)
図: 並べ替えた長方形のたては半径——「直径×直径×3.14」と間違えない決め手

「直径×直径×3.14」と間違える子へ

この間違いは、変形後の長方形を見せると一発で直ります。 たてになっているのは直径ではなく半径——絵が頭に入っていれば、式を取り違えません。

参考: 原書 p.169

小6年〜

3.14のかけ算は分配法則と暗記で軽くする

円の問題では3.14のかけ算が大量に出てきます。ここで計算が重いと、 図形の考え方そのものまで嫌いになってしまうので、軽くするワザを持たせましょう。

  • 分配法則でまとめる: 3.14×7+3.14×3 = 3.14×(7+3) = 31.4。3.14のかけ算は最後に1回だけ
  • よく出る積を覚えてしまう: 3.14×2=6.28、×3=9.42、×4=12.56、×5=15.7、×6=18.84、×7=21.98、×8=25.12、×9=28.26
  • ×8は倍々で: 3.14×2→6.28→12.56→25.12 と3回倍にする道もある
3.14のかけ算は「最後に1回だけ」が合言葉 ワザ1: 分配法則でまとめる3.14×7 + 3.14×33.14×(7+3)= 3.14×10= 31.4(かけ算は1回だけ)ワザ2: よく出る積は覚えてしまう×2 = 6.28×3 = 9.42×4 = 12.56×5 = 15.7×6 = 18.84×7 = 21.98×8 = 25.12×9 = 28.26 まとめてから1回かける+積の暗記——計算が軽いと図形の考え方に集中できる
図: 3.14は式の最後にまとめて1回だけかける——分配法則と積の暗記の2本立て

特に分配法則は、第2章のかけ算の筆算から続いてきた考え方の再登場です。 「またお前か」と思えたら、計算の仕組みがつながってきた証拠です。

参考: 原書 p.172

小6年〜

拡大図・縮図は「形を変えずに大きさだけ変える」

拡大図・縮図は「形を変えずに、大きさだけ変える」操作です。 ポイントは2つで、①対応する辺の長さがすべて同じ倍率になる、 ②対応する角の大きさは変わらない。どちらか一方では「形が同じ」になりません (辺だけ2倍で角がバラバラなら、別の形にゆがみます)。

🏠 拡大図・縮図ラボ — 辺はぜんぶ同じ倍率、角はそのまま

固定する点もとの底辺 3cm

倍率1倍はもとの形にぴったり重なる(合同)。スライダーを右に動かすと拡大図、左に動かすと縮図。

身近な実例で「同じ形」の感覚を作る

地図(縮図)、写真の引き伸ばし(拡大図)、プラモデルの1/144—— 生活の中は拡大図・縮図だらけです。 「2万5千分の1の地図で4cmなら実際は1km」のような縮尺の計算は、 第10章で学ぶ「比」のもっとも実用的な応用先になります。

参考: 原書 p.177

小6年〜

線対称は「折る」、点対称は「半回転」

線対称と点対称は、定義の文章(「直線を折り目にして折ったとき…」「対称の中心の周りに 180度回転させたとき…」)で覚えようとすると混乱します。 動作で覚えるのが正解です。

線対称は「折って重なる」、点対称は「半回転で重なる」 線対称 — 対称の軸で折る軸で折ると左右がぴったり確かめ方: 紙を折ってみる点対称 — 中心で半回転中心の周りに180°回すと一致確かめ方: 逆さにして見る 迷ったら体を動かす——折れるなら線対称、逆さで同じなら点対称
図: 線対称と点対称。判定は頭の中ではなく「折る」「逆さに見る」の動作で

線対称は「折って重なる」——紙を折る。 点対称は「半回転して重なる」——紙を逆さにして見る。 トランプの絵札は逆さにしても同じに見える点対称の代表例、 アルファベットのAは線対称、Nは点対称、Hは両方。 身の回りの文字やマークを「折れる? 逆さで同じ?」と仕分けする遊びが、そのまま練習になります。

参考: 原書 p.180

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