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OpenAI 2025年財務リーク — 「公式性」の検証と数字の整理

独立系ジャーナリスト Ed Zitron(Where's Your Ed At)が2026年6月16日に公開した OpenAI の2025年監査済み財務諸表のリーク記事について、「これは本当に確かな情報か」「米国の公的書類で裏が取れるか」を整理する。

結論:信頼度は高い。ただし EDGAR では「まだ」確認できない

確認の入口状況
OpenAI は上場企業か非上場。公開財務諸表の提出義務なし
SEC 提出書類(EDGAR)2026-06-08 に機密扱い S-1 ドラフトを提出済み(IPO 準備)。confidential filing のため EDGAR では一般閲覧不可
Zitron が見た文書本人主張「監査済み財務諸表」("audited financial documents viewed by this publication")
独立検証Financial Times が同一文書を独立検証。Fortune・Quartz・Motley Fool 等のメジャー紙が同じ数字で追随報道
一次資料へのアクセス現時点では Zitron / FT が握っている。S-1 が正式公開(IPO 直前)されれば EDGAR で誰でも確認可能になる

つまり「米国の公式ドキュメントで誰でも確認できる状態ではない」が、「監査済み資料に基づき FT が裏取りした数字」というレイヤーの情報。報道経由の信頼度としては相当に高い部類で、複数メジャー紙が同じ数字を採用しているのは、各社が独自に文書または事情通からのクロスチェックを取った結果と読める。

リーク数字をウォーターフォールで見る

売上を全額 Microsoft に渡してもまだ足りない — OpenAI 2025売上$13.1B に対し純損失$38.5B、R&D 単独で売上を超える。前年純損失の7.6倍に拡大+15+10+50−10−20−30−40$B+$13.1B−$6.0B−$19.2B−$5.7B−$3.0B−$20.9B−$17.6B−$38.5B最終売上RevenueCOGSMSFT $6.0BR&DMSFT $10.6BS&M販管費G&A推計営業損失小計非営業FV変動等純損失Net loss出典: Ed Zitron (Where's Your Ed At) / Financial Times 独立検証 (2026-06-16)。G&A は総コスト$34Bからの差分推計。
OpenAI 2025年 P&L ウォーターフォール — 売上 $13.1B から純損失 −$38.5B まで

ウォーターフォールから読み取れること:

  • R&D 単独で売上を上回る19.18B vs 13.07B)。研究開発投資が「売上を全部突っ込んでなお足りない」水準
  • 営業損失 20.93B のうち COGS 6.05B と R&D $10.59B は Microsoft 経由(Azure compute と OpenAI モデルの相互利用に伴う取引)
  • 営業損失と純損失の差 $17.58B は、営利→非営利への組織変換に伴う転換社債・ワラントの公正価値変動。会計上の非現金損失で、キャッシュアウトではないが希薄化の実態を映している

Microsoft への支払い構造($17.2B / 年)

報道された Microsoft 関連支出の内訳:

区分金額
R&D(うち Azure compute 等)$10.59B
Cost of revenue(推論コスト等)$6.05B
その他(S&M・G&A 含む)残差
Microsoft への合計支払額約 $17.2B

売上 13.07B に対して Microsoft 一社への支払いが 17.2B。売上を全額 Microsoft に渡してもまだ足りない規模で、OpenAI のインフラ依存と利益構造の脆さがそのまま出ている。The Register の関連分析もこの依存構造を以前から指摘していた。

2024 → 2025 — 売上 3.5倍、純損失 7.6倍

項目20242025倍率
売上$3.70B$13.07B3.5x
総コスト$12.48B$34.00B2.7x
営業損失-$8.78B-$20.92B2.4x
純損失-$5.09B-$38.50B7.6x

純損失が突出して伸びているのは、前述の組織変換に伴う公正価値変動による会計損失が乗ったため。営業段階だけ見ても損失幅は 2.4 倍に拡大しており、ChatGPT の収益化を加速しても compute コストの伸びがそれを上回っている構図は変わっていない。

IPO への含意

純損失 38.5B の決算をどう資本市場に説明するかが論点になる。FV 変動 17.6B を「非現金・一過性」として除けば「Adjusted net loss」は概ね営業損失 $20.9B 水準。一方で Motley Fool など投資家向けメディアは「売上の 1.6 倍を営業赤字で焼いている」事実そのものを重く扱っており、市場の論調は分かれている。

何で確認できるようになるか — S-1 公開のタイミング

機密扱い S-1(confidential filing)は、JOBS 法の Emerging Growth Company 制度で認められた仕組み。IPO 価格決定の少なくとも 15 営業日前に EDGAR で一般公開されるルールなので、9月上場なら 8月後半に S-1 が EDGAR に出る公算が高い。今回のリーク数字と S-1 の正式な財務諸表が一致するかは、その時点で誰でも検証できる。

それまでは「FT・Bloomberg・Fortune などのトップティアが裏取りした」という二次的な信頼性に依存することになる。

参考リンク