Micronを見送り、NVIDIAをコアで持ち続けると判断した理由
― HBM相場・価格要因・Rosenblattの評価を踏まえて ―
結論(先に要点)
今回の判断は、シンプルである。
- Micron(MU)はコアでは持たない
- NVIDIA(NVDA)は引き続きコアで持ち続ける
Micronの決算が悪いからではない。HBM相場の果実が最終的にどこに残るかを考えた結果、依然としてNVIDIAだと判断した。
1. 今回のMicron決算は「なぜ強かったのか」
市場予想を大きく上回る結果を、Micronの直近決算とガイダンスは示した。
- 売上・利益ともに大幅な上振れ
- ガイダンスの強さには、NVIDIAの2023年夏決算を思わせる「段差」があった
- Non-GAAP粗利率は約68%と過去最高水準
ただし、最も重要なのはここである。
今回の上振れは「数量」ではなく「価格」主導だ。
HBMを中心としたDRAM/NANDにおいて、
- ASP(販売単価)の上昇
- コスト低下の継続
が同時に効いた結果であり、 需要の量的拡大だけで説明できる内容ではない。
2. 価格主導の上振れは、NVIDIAにとって何を意味するか
HBM価格の上昇は
- メモリメーカーには利益押し上げ要因
- NVIDIAにとっては原価上昇要因
ただし現時点でNVIDIAが最優先しているのは
- 安く仕入れること
ではなく
- 必要量を確実に確保すること
である。
そのため多少高くても長期契約で供給枠を押さえる判断になっている。
これはあくまで供給不足という一時的な力関係によるものであり、メモリ側が構造的に優位に立ったとまでは言い切れない。
3. なぜHBM高値は「一時的」だと考えるか
HBMの供給は
- SK hynix
- Samsung
- Micron
という3社体制で成り立っている。
この構造では、過去のメモリサイクルと同じ力学が働きやすい。
- 供給不足で価格が上がる
- 安定した需要が見える
- 各社が慎重に増産を前倒し
- 供給の選択肢が増える
- 買い手(NVIDIA)の交渉力が戻る
- 価格と利益率が落ち着く
現実的に想定されるのは
- Samsungが量で攻める
- SK hynixが増産を前倒しする
- NVIDIAが価格引き下げを主導する
- Micronの利益率が先に鈍る
というメモリサイクル終盤で何度も見てきた展開だ。
補足:メモリ業界のサイクル変動(2018年・2023年)
この判断の背景には、過去のサイクルがある。
市場構造:3社寡占
DRAM市場の約95%を以下の3社が占める。
- Samsung:約45%
- SK hynix:約29%
- Micron:約21%
供給・価格・利益率は、この3社の行動でほぼ決まる。
2018–2019年:DRAMスーパーサイクルの終焉
- 2017–18年:記録的好況、Micronは過去最高益
- 2018年後半:需給が急反転
- 2019年:DRAM収益は前年比約35%減少
「業績が最も良かった時期」が、株価の天井になった典型例だ。
2022–2023年:13年ぶりの深刻な不況
- メモリ市場は2年連続で大幅縮小
- 3社すべてが巨額損失を計上
- 2023年後半、生成AI(HBM)が回復の起点に
ここでも分かるのは、 メモリは最終的にサイクルから逃れられないという点だ。
4. 強気派の代表例:RosenblattのMicron評価
RosenblattはMicronに非常に強気だ。
- FY27E EPS:$36
- PER:14倍
- 目標株価:$500
ただし同レポートでも、
長期契約によりASP上昇は抑制される可能性がある
と明記されている。
つまり、永続的な価格上昇を前提にしているわけではない。
5. RosenblattのNVIDIA評価との対比
RosenblattはNVIDIAについてもBuyを継続し、 12か月目標株価は$245としている。
ここに違いがある。
- Micron:需給の歪みが続く前提の評価
- NVIDIA:構造が続く前提の評価
この前提の違いが投資判断の分かれ目だ。
6. 投資判断としての整理
自分の前提は次の通り。
- 短期売買はしない
- 天井当てはしない
- コアはNVIDIA
- 構造的なモートが弱い銘柄は無理に長期で持たない
この前提に立つと
Micronは 「当たる可能性はあるが 構造的に持ち続けたい理由が弱い」
という結論になる。
結論の補足:Micronを「完全に否定」しているわけではない
重要なので、最後に補足しておく。
- Micronの今回の決算は変曲点である可能性を示している
- そのため「一切持たない」という判断も不自然だと思っている
- ただし、それはトレード的・中期的な話にとどまる
つまり
- NVIDIAは構造に賭けるコア
- Micronは波を取りにいく対象(深追いしない)
という整理だ。
高値を当てに行かずガイダンスのトーンが緩んだ時点で降りる。
今回の判断は「当てに行く投資」ではなく構造にポジションを合わせる投資だと考えている。
最終まとめ
- HBM不足は事実だが、3社体制である以上、永続とは言い切れない
- 需給の歪みが解消されれば、メモリの利益率は調整されやすい
- NVIDIAは数量制約が外れるほど、むしろ成長余地が広がる
だから今回は
Micronをコアでは持たずNVIDIAをコアで持ち続ける。
この判断は「見送る勇気」ではなく構造を優先する選択だと考えている。