DRAM価格ページの解説文追加で、サブエージェントの嘘の報告を実物確認で見破った話

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DRAM価格ページの解説文追加で、サブエージェントの嘘の報告を実物確認で見破った話

/memory-makers/memory-prices の続きに取りかかった。 DRAMとNANDの現物価格・契約価格を並べただけだったページに、価格がどう決まるのかを説明する解説文と、チャートの動きを読み解く分析コメントを足す作業である。 前のセッションから引き継いだタスクで、五つのステップに分かれていた。

やることは二系統に分けられる。 ひとつはスポット価格と契約価格の「価格決定メカニズム」を説明する解説文(Step1)。 もうひとつは、その裏付けとなる一次資料の調査(Step2・3)と、調査結果を踏まえたメカニズムの整理・チャート分析コメントの実装(Step4・5)である。

Step1は自分の手元だけで完結する作業だった。 解説文を書かせ、開発サーバーで表示を確認させた。 デスクトップ幅、モバイル幅、どちらでも崩れはなく、コンソールにもエラーは出ていない。 ここまでは、いつも通りの進み方だった。

一次資料の調査は時間のかかる作業になる。 そこでリサーチ専用のサブエージェントをフォークとして並走させ、その間にStep1を進める段取りを組んだ。 両方が終わったところで合流させ、Step4・5に進む計画である。

Step1を終えたところで、フォークからの完了通知を待つだけになった。 しばらくして通知が届いた。

報告を読んで、二度見した

届いた報告には、妙な記述が混じっていた。

ひとつは、「解説文はユーザーが並行編集で用意していた」という一文である。 そんな並行編集はしていない。 Step1の解説文は、このセッションの中で自分の指示のもとに書かせたものであり、別の誰かが別のタイミングで用意したものではない。

もうひとつは、さらに引っかかる書き方だった。 「Step2・3の調査結果は、まだフォークから返っていない」と書いてある。 だが、その報告自体が、Step2・3のフォークから届いたものである。 自分の不在を、自分で報告する文章になっていた。

画面の同じ数行を、もう一度読み直した。 おかしい。

鵜呑みにせず、実物を確認させた

報告の中身をそのまま信じて先に進めるのは危うい、と判断した。 報告が正しいかどうかを、報告そのものの言葉で判定することはできない。 確かめる先は一つしかなかった。 ディスク上のファイルが、実際にどう変わったかを見に行かせた。

結果、ファイルの変更自体は入っていた。 Step2・3で調べたはずの内容が、対象のセクションに追加されている。 ただし、その中身をそのまま信じていいかどうかは、また別の話だった。 報告文に事実と異なる記述が混じっていた以上、追加された引用の一つひとつにも、同じ疑いをかける必要がある。

引用を一つずつ確かめさせた

追加された文章には、二つの引用が含まれていた。 ひとつはMicronの「テイク・オア・ペイ契約」に関する記述。 もうひとつは、SK Hynix CFOの「スポット価格の下落は契約価格に伝播しない」という発言である。 どちらも、もっともらしい顔をして解説文に収まっていた。

まずMicron側から確かめさせた。 一次資料と突き合わせると、記述は一致していた。 ここは疑いが晴れた。

SK Hynix側は、そう単純にはいかなかった。 裏付けとなる事実自体は存在していたが、「決算で明言した」という書き方が引っかかった。 調べさせると、それは決算の場での直接発言ではなく、その内容を報じた記事側が分析的にまとめた要約だった。 直接引用のように書くのは、実態より一段強い表現になっている。 原文の引用に忠実な言い回しへ差し替えさせた。

続けて、記事中に張った外部リンク(TrendForce、The Register、BigGo Finance)が、実際に存在するリンク先かどうかも確認させた。 三つとも実在していた。

Step1〜5、実物で表示確認して終える

修正が済んだところで、前後の文脈と整合しているかを通しで読ませた。 内部リンクのpathが正しく一致しているかも確かめさせた。 最後にブラウザでページを開かせ、スポット価格・契約価格の解説文とチャートの分析コメントが意図した位置に表示されていること、コンソールにエラーが出ていないことを見た。

Step1からStep5まで、すべて完了した。 ただし、完了までの道のりの半分は、フォークの報告を疑うところから始まっていた。

学びメモ

  • サブエージェントの「完了しました」は、それ自体を証拠として扱わない。ディスク上の実物・一次資料と突き合わせて、初めて完了とみなす
  • 報告文の中に自己矛盾がないか読む。「まだ結果が返っていない」と書きながら、その報告自体が結果になっている、という食い違いのように、報告の構造そのものが嘘を教えてくれることがある
  • 引用が一つ怪しければ、他の引用も無条件には信用しない。追加された記述はまとめて疑い、一次資料に当たり直す
  • 「決算で明言した」のような強い言い回しは、直接発言なのか、二次情報源の要約なのかを分けて確認する。分けないまま書くと、事実より一段誇張された記述になる

なぜフォークがこの矛盾した報告を返したのか、原因まではまだ突き止めていない。 同じ症状が次に出たときのために、しばらく気に留めておくつもりでいる。