DRAM Fab Capacity
DRAM前工程能力の推移
2025Q1から2028Q4までのDRAM前工程能力を、総能力、HBM向け能力、Non-HBM能力に分けて再構成した。 各四半期の値は「その時点で月あたり何枚のウェハを処理できるか」を示す月間能力であり、四半期3か月分の累計枚数ではない。 単純なWPM増加だけを見ると供給過剰に見えやすいが、先端ノードの能力がHBMへ寄っていく点を分けて読む必要がある。
本ページはパウロ氏記事内の画像起こし表と公開資料をもとにしたシナリオ整理。数値は確定値ではなく、 四半期補間・概算を含む。元画像は転載せず、当サイト側のデータ表とSVGチャートで再表現している。
読み方
総能力は大きく増える
DRAM総能力は2025Q1時点の月間1,840K WPMから2028Q4時点の月間2,980K WPMへ伸びる。 ただし、この増加にはCXMTや地域系メーカーの拡張も含まれる。
HBM向けが前工程を吸う
HBM向け能力は月間340K WPMから月間790K WPMへ拡大する。 先端DRAM能力の一部は汎用DRAMではなくHBMベースダイ側へ割り当てられる。
Non-HBMは伸びが鈍い
Samsung・SK Hynix・MicronのNon-HBM能力は月間1,180K WPMから月間1,430K WPM。 総能力の伸びほど、Big3の汎用DRAM余力は増えていない。
能力チャート
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四半期時点別の月間能力
各セルは、その四半期時点の月間ウェハ処理能力。例: 2028Q4の2,980K WPMは「2028年10-12月時点で月あたり約298万枚」という意味。
| 四半期 | 総DRAM | HBM向け | HBM比率 | Big4 Non-HBM | Big3 Non-HBM | CXMT総能力 | 地域系総能力 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025Q1 | 1,840K WPM | 340K WPM | 18.5% | 1,300K WPM | 1,180K WPM | 140K WPM | 200K WPM |
| 2025Q2 | 1,890K WPM | 360K WPM | 19.0% | 1,310K WPM | 1,190K WPM | 150K WPM | 203K WPM |
| 2025Q3 | 1,940K WPM | 390K WPM | 20.1% | 1,330K WPM | 1,190K WPM | 180K WPM | 206K WPM |
| 2025Q4 | 1,960K WPM | 430K WPM | 21.9% | 1,330K WPM | 1,160K WPM | 200K WPM | 209K WPM |
| 2026Q1 | 2,040K WPM | 450K WPM | 22.1% | 1,380K WPM | 1,190K WPM | 230K WPM | 219K WPM |
| 2026Q2 | 2,120K WPM | 500K WPM | 23.6% | 1,410K WPM | 1,200K WPM | 250K WPM | 227K WPM |
| 2026Q3 | 2,220K WPM | 520K WPM | 23.4% | 1,460K WPM | 1,220K WPM | 280K WPM | 237K WPM |
| 2026Q4 | 2,300K WPM | 570K WPM | 24.8% | 1,500K WPM | 1,240K WPM | 300K WPM | 246K WPM |
| 2027Q1 | 2,370K WPM | 610K WPM | 25.7% | 1,520K WPM | 1,240K WPM | 320K WPM | 260K WPM |
| 2027Q2 | 2,480K WPM | 630K WPM | 25.4% | 1,560K WPM | 1,250K WPM | 350K WPM | 274K WPM |
| 2027Q3 | 2,570K WPM | 650K WPM | 25.3% | 1,620K WPM | 1,280K WPM | 380K WPM | 288K WPM |
| 2027Q4 | 2,650K WPM | 700K WPM | 26.4% | 1,660K WPM | 1,310K WPM | 400K WPM | 302K WPM |
| 2028Q1 | 2,740K WPM | 720K WPM | 26.3% | 1,720K WPM | 1,350K WPM | 420K WPM | 309K WPM |
| 2028Q2 | 2,820K WPM | 750K WPM | 26.6% | 1,760K WPM | 1,370K WPM | 450K WPM | 315K WPM |
| 2028Q3 | 2,910K WPM | 770K WPM | 26.5% | 1,820K WPM | 1,400K WPM | 480K WPM | 321K WPM |
| 2028Q4 | 2,980K WPM | 790K WPM | 26.5% | 1,870K WPM | 1,430K WPM | 500K WPM | 327K WPM |
主要メーカー別の根拠
以下は元記事の論点を、当サイト側の前提として読み替えたもの。数値は四半期時点の月間能力で、工場計画そのものの公称最大値とは一致しない場合がある。
Samsung: P4と華城転用で先端DRAMを厚くする
Samsungは、2025Q4の月間690K WPMから2028Q4の月間920K WPMへ、約230K WPMの純増として置いた。 増加の中心は汎用DRAMの単純な増設ではなく、平沢P4を軸にした1c DRAM、HBM4、DDR5、LPDDR5X、SOCAMM向けの先端能力である。 2026年末に1c DRAMを月間200K WPM規模へ引き上げるという見方を、P4の立ち上げと既存ラインの転用に配分している。
既存拠点では、華城Line 17の1c化とLine 12のDRAM向け転用を、能力の「新設」ではなく生産効率と先端ノード比率を押し上げる材料として扱った。 2028年以降はP5が上振れ余地になるが、このページの2028Q4値では、P5をフル寄与させるよりも保守的に月間920K WPMで止めている。 HBM向け能力は2025Q4の月間170K WPMから2028Q4の月間320K WPMへ増える前提で、総能力の増加分の相当部分がHBM側に吸われる。

Samsung capacity roadmap
P4と華城転用で1c DRAM/HBM4能力を積み上げ、2028年以降はP5が追加余力になる見方。
SK Hynix: M15Xと龍仁がHBMの上限を押し上げる
SK Hynixは、2025Q4の月間520K WPMから2028Q4の月間680K WPMへ、約160K WPMの増加として置いた。 中心になるのは清州M15Xで、HBM4向け1b DRAMの量産前倒しと第2クリーンルームの装置導入を、2026年後半以降の能力増加として反映している。 M15X単体では長期的に大きな追加能力を持つが、このページでは立ち上げ速度をならし、四半期ごとの月間能力に補間した。
もう一つの柱は龍仁半導体クラスター第1Fabである。初回クリーンルームの前倒しにより、2027年以降の先端DRAM/HBM能力の余地が広がる。 ただし、SK HynixはHBMミックスが高いため、総WPMが増えてもNon-HBMの増加は抑えられる。 HBM向け能力は2025Q4の月間160K WPMから2028Q4の月間280K WPMへ増える前提で、汎用DRAMの供給余力とは分けて見る必要がある。

SK Hynix capacity roadmap
M15Xの前倒し量産でHBM4向け能力が増え、2027年以降は龍仁第1Fabが先端DRAMの余地を作る。
Micron: 台湾・広島・Boise・Manassasを重ねて2028年に加速する
Micronは、2025Q4の月間340K WPMから2028Q4の月間560K WPMへ、約220K WPMの増加として置いた。 Big3の中では絶対量は小さいが、増加率では大きく、2027年後半から2028年にかけて能力が伸びる形にしている。 HBM向け能力は2025Q4の月間70K WPMから2028Q4の月間130K WPMへ、Non-HBM側は同じ期間に月間270K WPMから430K WPMへ増える。
2025年から2026年の主役は台湾の台中キャンパスである。既存のA1/A2/A3を中心に、装置投入とノード移行でDRAM/HBMの足元能力を積み上げる。 この段階では新工場の一気立ち上げというより、既存ラインの先端化とHBM向け配分の増加として見ている。 そのため2026Q4の総能力は月間390K WPM、HBM向けは月間90K WPMにとどめた。
2027年以降の変化点は、台湾・苗栗のTongluo P5である。MicronはPSMCから同拠点を取得し、約30万平方フィートの300mmクリーンルームを確保した。 ここは先端DRAMとHBM供給の拡大に使われる前提で、FY2028から意味のある出荷が出るという見方を、2028年の能力増加に反映した。 Tongluo P5だけでこのページの増加分をすべて説明するのではなく、台中の継続増強、広島、Boiseと合わせて月間560K WPMへ積み上げている。
日本の広島Fabは、1γ DRAMとEUV導入の戦略拠点として扱った。広島は台湾に偏るDRAM生産を補完し、2027年から2028年にかけて先端DRAM能力の厚みを作る。 米国ではBoise ID1を2027年以降の先端DRAM拠点として見ており、初期出力から段階的に寄与が増える前提にした。 一方、Manassasは1α DRAMを使ったDDR4/LPDDR4系の長期供給拠点として、車載・産業・防衛・医療向けを支える位置づけであり、HBM向け能力とは別にNon-HBMの下支えとして読む。




Micron capacity roadmap
台中の既存増強で2026年までをつなぎ、広島・Boise・Tongluo P5が2027-2028年の段差を作る。
CXMT: 総WPMは大きく増えるが、先端HBMとは分けて見る
CXMTは、2025Q4の月間200K WPMから2028Q4の月間500K WPMへ、約300K WPMの増加として置いた。 この増加はDRAM総能力を押し上げる最大の要因の一つだが、Samsung、SK Hynix、Micronの先端DRAM/HBM能力と同質には扱わない。 DDR4、LPDDR4X、DDR5、LPDDR5を中心に、中国国内需要を取り込む能力として読む。
まず合肥Fab群の増強で2026年に月間300K WPMへ進み、北京Fabと追加ラインの寄与で2027年に月間400K WPMへ近づく前提にした。 さらに上海Liangang地区の新工場を上振れ要因として織り込み、Phase 1とPhase 2の寄与を2027年から2028年にかけて段階的に置いた。 HBM向け能力は2028Q4でも月間60K WPMとし、総WPMの伸びに比べて限定的に扱っている。

CXMT capacity roadmap
合肥Fab群、北京Fab、上海Liangangの順に総WPMを押し上げる。ただしHBM向けは限定的に置く。
地域系メーカー: 総能力には効くが、HBM需給の主因ではない
Nanya、Winbond、PSMC、JHICC、SwaySureの合計は、2025Q4の月間209K WPMから2028Q4の月間327K WPMへ増える前提にした。 Nanyaは新Fab、Winbondは既存Fab、PSMCはHsinchu memory capacity、JHICCとSwaySureは中国ローカルDRAM能力として加算している。 全体WPMには確実に効くが、HBM4や最先端DRAMの制約を解く能力とは別枠で見る。
出典と前提
- 四半期ラベルは能力の観測・推計時点を表す。数値は月間処理能力であり、四半期累計のウェハ枚数ではない。
- 単位は300mm換算の月間ウェハ投入能力(WPM)。本ページのグラフでは読みやすさのためKWPMに換算。
- 2026年以降は公開資料、DataTrackの一部プレビュー、記事内チャートの棒高からの推計・補間を含む。
- HBM向け能力はHBMベースダイ等に割り当てられるDRAM前工程能力の見方であり、完成HBMパッケージ数量ではない。
- 総WPMの増加は、ノード、ダイサイズ、歩留まり、積層数、後工程制約を直接反映しない。需給判断ではNon-HBM能力とHBM向け能力を分けて見る。
- パウロ氏 note「DRAMブラックホール」記事内画像から起こした表を参照し、当サイト側で四半期系列として再構成。
- TrendForce DataTrack / Newsメーカー別DRAM fab capacity、Samsung 1c DRAM報道など。
- The Elec / ChosunBiz / Micron IR / Tom's Hardware ほかM15X、Line 12転用、Micron台湾拠点、CXMT能力などの公開報道・会社資料。
- Samsung / SK hynix / Micron / CXMT 公式サイトの画像・拠点情報工場・拠点イメージは各社公式ページの画像を出典付きで掲載。Micron画像は公式ギャラリーの利用条件に従い、社名クレジットを明記。