文章はAIに頼んで書かせない。朝には下書きができている仕組みにする
税理士向けの生成AI活用をまとめた書籍を読んだ。 メルマガやお知らせの文章をAIに書かせる事例が載っていて、うまく頼むための指示の組み立て方が紹介されている。 同じ課題を自分はどう回しているか棚卸ししてみると、出発点が違っていた。 頼み方を上達させる方向にではなく、頼まなくても朝には下書きがある方向に仕組みを作った。 指示を工夫して都度渡すのではなく、指示を出す手前の工程そのものをコマンドに任せている。 書籍と自分は「文章をAIに書かせる」という同じ着地点を見ながら、AIに任せる範囲を反対方向に広げた形になる。
この記事は、その書籍の事例をお題に借りて、自分の実運用ともう一段の引き上げ方を書くシリーズの1本である。
前日の作業ログが、朝には文章になっている
自分の環境には /make-diary というコマンドがある。 朝にこれを実行すると、前日にAIとやり取りした記録、いわゆるセッションログを読み込み、1日分の統合日記と、カテゴリ別の詳細記事に変換する。 統合日記はその日一日をざっと見渡すための記事で、詳細記事はトピックごとに掘り下げた記事になる。 ざっと見たい読み手にも、深く知りたい読み手にも、同じ生成物で対応できる。 続けて、日記をnoteの下書きとして保存するコマンド、税理士や会計士のフォロワー向けのXポスト案を5個作るコマンドを、同じ朝のうちに実行する。 サイト上の日記記事は、2026年7月2日時点で199本になった。 人間がやることは、朝にコマンドを起動することと、出てきた下書きや案から選ぶことの2つだけである。
頼み方の上達ではなく、ネタの通り道を作る
都度AIに頼む方式では、何を書くかを毎回自分が思い出し、要点を指示として渡す必要がある。 自分が採ったのは逆の設計で、ネタ源を作業ログという1箇所に固定した。 都度頼む設計では、忙しい日に思い出せなければ、その日の発信の種はそのまま消えてしまう。 ネタ源を固定した設計では、作業さえしていれば発信の材料は自動的にたまり続ける。
前日の作業ログが日記に変換されたあと、流れはnoteの下書きとポスト案5個の2つに分岐する。 分岐した先のどちらも、最後は人間が選んで公開を判断する1点に集まる。
ポスト案の生成には事実チェックの工程が組み込まれていて、実際にやっていないことを書いていないかの照合が毎回走る。 AIは指示されたとおりに、それらしい体験談を作文してしまうことがある。 事実チェックの工程は、自分が読む前の段階でそれを止める役目を持つ。 noteへの公開とXへの投稿だけは、毎回自分が内容を確認してから行う。 自動で回っているのは下書きが出てくるところまでで、外部に出す判断は人間の役目として残している。
事務所の発信も「書く時間」ではなく「選ぶ時間」に
会計事務所に置き換えて考えると、月次報告に添える所感も、事務所ブログも、顧問先へのお知らせも、ネタは日々の業務記録の中にすでにある。 業務記録から下書きへの通り道を一度作ってしまえば、発信は書く仕事ではなく、選んで直す仕事に変わる。 ゼロから書く時間と、選んで直す時間とでは、毎回の重さが違う。 文章の書き方のコツを覚えるのではなく、下書きが出てくる工程をファイルにする。