分析はチャットで流さない。ページにして四半期ごとに積み上げる
税理士向けの生成AI活用をまとめた書籍を読んだ。 会計データを渡すと財務分析のコメントが返ってくる、という事例が紹介されている。 自分が変えたのは分析のさせ方ではなく、分析結果の置き場所である。 チャットの返信ではなく、更新されるページに置いている。 毎回の分析が上手いかどうかより、分析が積み上がる場所があるかどうかを先に決めている。
この記事は、その書籍の事例をお題に借りて、自分の実運用ともう一段の引き上げ方を書くシリーズの1本である。
分析結果を「ページ」として持つ
決算データはデータベースに入れてある。 そこから生成スクリプトを通して、サイト上の銘柄分析ページとして公開している。 対象は42銘柄で、それぞれのページに決算発表のたびの実績とガイダンスが積み上がっていく形になっている。
新しい四半期が発表されたら、コマンドを1つ実行してその銘柄に1行を追加する。 コマンドが触るのは、その銘柄の四半期データの末尾に1行を足すことと、直近の株価やハイライトの説明を更新することだけである。 銘柄をどう評価するかの計算式や、銘柄そのものの登録には手を入れない。 新規の銘柄を1本まるごと追加するコマンドとは別に、四半期を1行足すだけのコマンドを分けて用意してあるのも、この差分の小ささを保つためである。
ページは作り直すのではなく、既存のページに行が増えて更新される。 データと表示の仕組みを分けてあるので、データを足すだけでページの表もグラフも自動で追随する。
チャットの分析は流れて消える
チャットで受け取った分析は、その場で読んだら終わりになりやすい。 3ヶ月後に同じ質の分析をもう一度出そうとしても、同じ観点で出るとは限らないし、前回の見立てと並べて比較することもできない。 分析の記録が、その場のやり取りの中に埋もれてしまうからである。 同じ問いを毎回一から投げ直すことになるので、聞き方や参照した数字がその都度ぶれる余地も残る。
ページにしておけば、過去の四半期の数字と見立てが同じ場所に積み上がっていく。 四半期を追うごとに、その銘柄の実績と見立てを並べて見比べられる状態になる。
分析のやり直しは「もう一度頼む」ではなく「データを1行足して再生成する」という差分の作業になる。 前回どう見立てていたかを読み返す手間も、ページを開くだけで済む。
顧問先向けの分析コメントもストックにできる
同じ話は顧問先向けの分析コメントにも当てはまる。 月次の分析コメントをメール本文やチャットで流すと、翌月には探せなくなりやすい。 検索しても、当時と同じ言葉で探さないと出てこないことが多く、結局は記憶を頼りに答えることになる。
顧問先ごとに更新されるページや資料を1つ持ち、毎月そこに行を足していく形にすれば、四半期や年次の振り返りは新しく分析をやり直すのではなく、過去の行を読み返すだけで済むようになる。 その顧問先について何を見立ててきたかが1か所に残るので、担当が変わるときに口頭で経緯を説明し直す手間も減る。
分析の上手さより、分析が積み上がる置き場所と、その置き場所へ行を足していく工程をファイルにしておくことの方が長く効く。