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はじめに

スタートアップやサイドプロジェクトを始める際、最初のハードルは「コスト」です。しかし2025年現在、驚くほど主要なSaaSサービスの無料枠は充実しています。

本記事では、認証・データベース・分析という3つの重要な基盤を、ほぼ無料で構築できるサービスを紹介します。

1. Clerk - 認証基盤

無料枠の概要

項目無料枠
月間アクティブユーザー(MAU)10,000人
月間アクティブ組織(MAO)100組織
組織あたりのメンバー数5人
カスタムドメイン✅ 利用可能

特徴

  • First Day Free ポリシー: サインアップ後24時間以内に離脱したユーザーはカウントされない
  • Pre-built Components: ログイン・サインアップUIがすぐに使える
  • マルチテナント対応: B2B SaaSに必要な組織機能も無料枠に含まれる

Pro プランへの移行

無料枠を超えた場合:

  • 基本料金: $25/月
  • 追加MAU: $0.02/ユーザー

つまり、15,000 MAUでも月額$125程度。認証の自前実装と比較すれば破格です。

公式リンク


2. Turso - SQLiteベースのエッジDB

無料枠の概要(2025年3月31日〜)

項目無料枠
行の読み取り5億回/月
行の書き込み1,000万回/月
ストレージ5GB
データベース数無制限(2025年6月〜)

特徴

  • クレジットカード不要: 完全無料で始められる
  • エッジロケーション: 世界中のエッジで低レイテンシーを実現
  • SQLite互換: 既存のSQLite知識がそのまま活かせる
  • libSQL: SQLiteを拡張したオープンソースプロジェクト

「行の読み取り」とは?

SQLiteの仕様上、「行の読み取り」はスキャンされた行を指します。クエリの結果として返される行数ではなく、インデックス検索などで参照された行数をカウントします。

適切なインデックス設計により、この数値を大幅に削減できます。

Developer プラン($4.99/月)

無料枠を超える場合:

  • 25億行読み取り/月
  • 1億行書き込み/月
  • 10GBストレージ

公式リンク


3. PostHog - オールインワン分析プラットフォーム

無料枠の概要

機能無料枠/月
Product Analytics100万イベント
Session Replay5,000件
Feature Flags / A/B Testing100万リクエスト
Surveys1,500回答
Error Tracking10万例外
LLM Analytics10万イベント
Data Pipelines1万イベント + 100万行

特徴

  • 無制限のシート数: チームメンバー何人でも追加料金なし
  • 無制限のユーザー追跡: トラッキング対象ユーザー数に制限なし
  • 90%が無料枠内: 大半のユーザーが課金なしで利用
  • 7年間のデータ保持: 有料プランならデータを長期保存

具体的に何ができる?

  1. Product Analytics: ファネル分析、コホート分析、SQLクエリ
  2. Session Replay: ユーザー行動の録画・再生
  3. Feature Flags: 機能の段階的ロールアウト
  4. A/B Testing: 統計的に有意な実験の実施
  5. Surveys: アプリ内アンケート

従量課金の目安

無料枠を超えた場合:

  • Product Analytics: 0.00005/イベント(100万で約50)
  • Session Replay: 0.005/録画(1,000件で約5)
  • Feature Flags: 0.0001/リクエスト(100万で約100)

公式リンク


まとめ:無料で構築できるスタックの全体像

┌─────────────────────────────────────────────────┐
│                  Your App                        │
├─────────────────────────────────────────────────┤
│  認証: Clerk (10,000 MAU)                        │
│  DB: Turso (5億読み取り/月)                       │
│  分析: PostHog (100万イベント + A/B Testing)      │
└─────────────────────────────────────────────────┘

この3つを組み合わせれば、MAU 10,000規模のプロダクトを完全無料で運用できます。

他の無料枠が充実したサービス

本記事で紹介した3つ以外にも、無料枠が充実している以下のサービスがあります:

  • Vercel: 100GB帯域幅/月、サーバーレスファンクション10万回
  • Cloudflare Pages: 無制限のリクエスト、500ビルド/月
  • Supabase: 50,000 MAU、500MB DB、1GB Storage
  • Resend: 3,000通/月のメール送信

補足:バックエンドホスティングサービス比較

FastAPI等のPythonバックエンドをデプロイする場合、サーバーレス環境(Cloudflare Workers等)では動かないケースがあります。FFmpegのようなバイナリ実行が必要な場合、サーバーフル環境が必要です。

比較表

サービス無料枠コールドスタート設定難易度おすすめ度
Render750時間/月あり(30秒〜1分)⭐ 簡単
Railway$5/月(実質無料枠)なし(常時起動)⭐ 簡単⭐⭐⭐
Fly.io3VM無料なし(常時起動)やや複雑⭐⭐

Render

良い点:

  • 設定が最も簡単(GitHub連携でポチポチ)
  • 無料枠が大きい(750時間/月)

悪い点:

  • 15分アクセスないとスリープ
  • コールドスタートに30秒〜1分かかる

Railway ⭐推奨

良い点:

  • 設定が簡単(Renderと同等)
  • 常時起動(コールドスタートなし)
  • プロジェクト数・サービス数無制限

料金体系:

項目内容
月額$5(固定サブスクリプション)
含まれるクレジット$5分のリソース使用量
超過時使用量に応じて追加課金

$5 で十分すぎる理由:

  • 軽量なFastAPIサービスなら複数動かしても $5 で収まる
  • 常時起動のアイドルコストは約 $2.2/月

Fly.io

良い点:

  • 無料枠で常時起動可能(3VM)
  • エッジに近い配置で低レイテンシ

悪い点:

  • flyctl CLIのインストールが必要
  • Dockerfile が事実上必須

どれを選ぶべきか

状況選択
開発効率重視($5/月OK)Railway
コスト0死守Fly.io
とにかく簡単に始めたいRender(ただしコールドスタート注意)

公式リンク


2025年は、かつてないほど低コストでプロダクトを立ち上げられる時代です。