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tokyo-onkeiメモ

フィールドレコーディング市場の競合分析と空間音響素材のニッチ発見

環境音プロジェクトを進めるにあたり、市場のプレイヤー分析と空間音響素材の調査に丸一日使った。結果として、思いがけずニッチ市場を見つけた。

プレイヤープロファイルのHTML可視化

市場にいる主要なプレイヤー5名のプロファイルをHTMLファイルで一覧にまとめた。

テーマ変更とデータ整備

最初はダークテーマで作ったが、文字がグレーで読みづらかったのでライトテーマに変更した。背景を白にして文字を黒に統一するだけで格段に見やすくなる。

作業内容:

  • 各プレイヤーの収益モデルと推定月収を表示。ドル表記だったものを全て円換算(1USD=150円)に統一
  • 横断比較チャート(SVG)を追加。プレイヤー間の規模感やポジションの違いを一目で把握できるようにした
  • 活動歴から逆算した累計コンテンツ量の推移チャートを追加

プレイヤー間の比較で見えたこと

数字を並べて分かったのは、量の蓄積で戦っているプレイヤーと、ニッチなポジションで戦っているプレイヤーの二極化。ある海外レコーディストは8年で1,200時間以上のコンテンツを溜め込んでいて、これを後から追うのは現実的ではない。一方で、ごく少量のコンテンツだけで長期間売れ続けている事例もあった。


空間音響(Ambisonic)素材市場の発見

今回の調査で一番の収穫がこれだった。

ニッチ市場の構造

ある海外レコーディストの事例を調べていて気づいた。その人は約7時間分の空間音響素材を9年前にリリースしたきり追加していないのに、今もパッシブに売れ続けている。

理由はシンプルで、東京の環境音を空間音響フォーマットで録音した人が他にいなかったから。ステレオの東京環境音はあった。空間音響の環境音もあった。でも「東京 x 空間音響」の交差点には誰もいなかった。

トラックリストの調査

素材販売プラットフォームの個別ページURLから16トラックの存在を確認した。全体では46トラック(FuMa版とステレオ版を合わせるとファイル数は81)。

カテゴリとしては鉄道(車内録音が複数テイク)、高速道路、寺院、駅、空港、工業地帯、公園など。特徴的なのは「1地点1テイク」で広く浅くカバーしている点。同じ場所の時間帯・季節・天候バリエーションがない。

ここに差分を作れる余地がある。

なぜ9年間放置されているのか

そもそもビジネスとして始めたものではなく、技術デモとして作ったものがたまたま売れ続けているだけ。だから追加リリースもない。この市場は文字通り9年間放置されている。


機材の検討

空間音響録音に必要な機材を調査した。

Ambisonic録音の選択肢

機材タイプ価格帯備考
一体型Ambisonicレコーダー約4-5万円入門に最適。すぐ録り始められる
Ambisonicマイク単体約9-20万円別途4ch以上のレコーダーが必要

再生環境

空間音響素材はVRヘッドセットがなくても、PCとヘッドホンだけでバイノーラルデコードすれば360度の空間定位を確認できる。無料のプラグインで対応可能。

レコーダーの購入

まずはステレオ録音から始めることにして、6トラック同時録音対応のポータブルレコーダーを購入した。32bit float録音に対応しているので、フィールド録音でありがちなレベル設定ミスによるクリッピングを回避できる。外部マイク入力もあるので、将来的にマイクをアップグレードする余地もある。

空間音響録音は、ステレオで100時間くらい溜まった段階で追加投資を検討する方針。


競合分析のまとめ

調査結果を memo/2026-02-14/competitive-analysis.md にまとめた。

主なポイント:

  • 量の勝負は無理: 8-9年のハンデがあるフルタイムのレコーディストには量で追いつけない
  • ニッチのポジション取り: 少量のコンテンツでも「この条件で検索したらこれしかない」状態を作れれば、長期間売れ続ける
  • 自分の差別化軸: 特定エリアの定点観測 x 系統的記録(時間帯/季節/天候)x AIメタデータ。この組み合わせは誰もやっていない
  • 空間音響は後回し: まずステレオで定点録音を始めて、データが溜まったら空間音響版を追加する段取り

ふりかえり

「量で勝てないなら、構造で勝つ」という方向性が数字で裏付けられた1日だった。特に空間音響素材の市場が9年間ほぼ無競争という事実は、急いで参入する必要はないにしても、選択肢として手元に置いておきたい。

まずはレコーダーを持って現場に出ること。分析はここまでにして、次は実際に録音を始める。