🏠 台東区1億円マンション 買う vs 借りる シミュレーション

日経の記事に「住宅購入が家計にプラスかを考えるには、 (取得・保有のお金) + (売却時にかかるお金) − (想定家賃) < 売却価格 の式が成り立つかがポイント」と紹介されていました。 台東区在住・家賃15万円の人が同エリアで1億円の中古マンションを買った場合、この式が成立するかを試算します。

📐 判定式(出典:日経)

取得・保有のお金+売却時にかかるお金想定家賃売却価格

成立すれば「買う」が経済的にプラス。逆なら賃貸の方がトク。

🏢 サンプル物件(台東区 1億円帯)

物件名価格専有面積築年
ルネッサンスタワー上野池之端1.89億70.98㎡2005根津4分
浅草タワー1.498億67.77㎡2012浅草3分
想定モデル(上野駅徒歩7分)1.00億65㎡2011上野エリア

出典: nomu.com、suumo.jp(2026年5月時点)

📈 台東区中古マンション 5年の価格推移

年度㎡単価前年比
2020年92.3万円/㎡+2.6%
2021年91万円/㎡-1.4%
2022年94.7万円/㎡+4.1%
2023年100.8万円/㎡+6.5%
2024年107.6万円/㎡+6.8%
2025年114.4万円/㎡+6.3%

出典: utinokati.com。5年で約+24%(年率+4.4%)上昇。

🎛️ シミュレーター

スライダーを動かして条件を変えると、下の判定が即座に更新されます。

1.00億円
0円
0.4%
35年
10年
15万円
100% (実質15万円/月)
3万円
100万円
4.4%/年

📊 結果ダッシュボード

月々ローン返済
26万円
借入 1.00億円
取得時諸費用
705万円
仲介手数料・税・ローン手数料など
10年後の売却額
1.54億円
年率4.4%
買う vs 借りる ネット差額
-4,406万円
買う方が有利

判定式の検証

左辺(コスト合計 − 家賃)1.10億円
右辺(売却価格)1.54億円
判定✅ 成立(買う方がプラス)

🔮 価格上昇率シナリオ比較

他の条件は固定で、年間価格上昇率だけ変えた場合の結果。

シナリオ10年後の売却額左辺(コスト)差額判定
-1%(減価優勢)9,044万円1.05億円-1,485万円×
0%(横ばい)1.00億円1.06億円-561万円×
+2%(緩やか上昇)1.22億円1.06億円+1,554万円
+4.4%(過去5年平均)1.54億円1.10億円+4,406万円
+6%(直近トレンド継続)1.79億円1.16億円+6,353万円

💰 内訳の詳細

① 取得時諸費用(仲介・税・ローン手数料・保険など)705万円
② 10年間のローン返済(うち利息 346万円)3,062万円
③ 10年間の維持費(管理費・修繕積立・固定資産税)1,040万円
④ 売却時コスト(仲介手数料・印紙・抵当権抹消・譲渡所得税)759万円
キャッシュアウト合計(①+②+③+④)5,566万円
⑤ 想定家賃(買わなければ払っていた額・更新料込み)−1,875万円
⑥ 売却で手元に戻る額(売却額 − 売却コスト − ローン残債7,284万円)−7,338万円
持家のネット負担(プラスなら賃貸有利、マイナスなら持家有利)-4,406万円

💡 家賃から逆算した「妥当な物件価格」

月家賃 15万円 は、キャップレート(年間家賃 ÷ 物件価格)で見ると以下に該当します:

キャップレート逆算物件価格物件タイプ目安
5%3,600万円築浅・好立地マンション
6%3,000万円築20年前後・新耐震
7%2,571万円築40-50年・旧耐震
8%2,250万円築古・駅遠など
7.0% → 2,571万円

ポイント: 家賃15万円の現住居が築古・旧耐震なら、同等物件を中古で買えば 2,571万円〜3,000万円 で買える可能性。 1億円という高値物件と比較すると、判定式は当然「賃貸有利」になりがち。 買うなら「家賃から逆算した妥当価格」が公平比較の出発点。

🏦 そもそも1億円借りられる? 借入可能額試算

「シミュレーション上は持家有利」でも、現実には1億円の借入は属性勝負。 個人事業主・フリーランスは特に厳しいので、自分の年収(確定申告書の所得金額)で借りられる上限を試算してみてください。

500万円/年
7倍
35%
1.5%
年収倍率での上限
3,500万円
7倍ルール
返済負担率での上限
4,763万円
月返済15万円まで
実質借入可能額(両基準の小さい方)
3,500万円
❌ 6,500万円不足

📋 個人事業主・税理士の現実

  • 1億円借入には年収約1,250万円必要(8倍ルール)。 返済負担率35%・金利1.8%・35年でも月返済25.5万→年306万→必要年収約875万円
  • 個人事業主は審査が厳しい: メガバンクは直近3期平均または直近期の低い方で評価。 所得が変動していると、低い年で見られる
  • フラット35は直近1年分でOK: 個人事業主に最も使いやすいが、上限8,000万円。 1億円フルレバには不足。差額2,000万は別ローン or 現金が必要
  • 税理士という属性は中立: 士業として一定の信用はあるが、結局は所得連動。 売上ではなく確定申告書の「所得金額」で判定される(青色申告特別控除前)
  • 所得低の個人事業主の選択肢: ①法人で買って事業性融資(自己資金30%必要、金利1.5-3%、住宅ローン控除なし) ②配偶者とペアローン(合算可能) ③物件価格を下げる(家賃逆算の2,500-3,000万なら現実的) ④自己資金を厚くする
  • 株式譲渡益は年収にカウントされない: 住宅ローン審査では「継続性のある所得」しか見ない。 株式売却益は一時所得扱いで原則算入されない。 ただし金融資産そのものは信用補強になるので、株式を売って自己資金に回す方が実質的に効く。 富裕層はプライベートバンクの「資産連動型融資」(金融資産○億以上で借入額が出るタイプ)が選択肢になる

出典: フラット35 利用条件MoneyForward (個人事業主の住宅ローン)

🏢 個人購入 vs 法人購入(役員社宅)

家賃を法人経費にしているなら、購入も法人でする選択肢があります。両者の税制比較:

項目個人購入法人購入(役員社宅)
住宅ローン控除○ 年末残高×0.7%×13年
2025入居・省エネ適合で最大21万/年
× 不可
事業性融資のみで金利↑LTV↓
賃貸料相当額
(役員→法人に支払う金額)
建物固都税課税標準×10%+敷地×6%の1/12
1億物件で月15〜30万円。豪華社宅判定だと全額自己負担
減価償却
(中古RC築15年)
× 不可○ 耐用35年・年率2.9%
建物7,000万なら年203万×10年=約2,030万損金
経費計上○ 固都税・修繕費・管理費・ローン利息・保険料を損金算入
売却時税金3,000万円特別控除
10年超で軽減税率14.21%
法人税実効30%
3,000万控除なし。欠損金繰越と相殺可
出口シンプル個人移転時に再課税(売買or現物配当)
金利変動0.4%前後1.5〜3%程度の事業性融資

出典: 国税庁 No.2600No.3305

個人購入のメリット: 住宅ローン控除+売却3,000万控除+低金利が強力。 特に居住目的なら個人で買う方がトータルで有利になりやすい。

法人購入のメリット: 経費化(減価償却+管理費等)で法人税を圧縮できる。 役員が支払う賃貸料相当額が市場家賃より低く設定できる場合は実質負担も下がる。 ただし出口で個別所有に戻すコストや豪華社宅判定リスクがあるため、1億円規模では税理士の事前判定必須

⚠️ 法人購入のシミュレーションは個別性が高いため、本ページの「持家側」は個人購入を前提としています。 法人購入を検討する場合は、賃貸料相当額の試算と豪華社宅該当可否を税理士に確認してください。

⚠️ 前提と注意事項

  • 諸費用は概算(仲介手数料は売価×3%+6万+消費税、登録免許税は購入価格×0.6%相当、不動産取得税は購入価格×0.25%相当の軽減後想定)
  • ローン手数料は借入額×2.2%の事務手数料型を想定。保証料型を選ぶと取得時負担は下がるが金利が0.2%程度上がる
  • 固定資産税は購入価格×0.2%/年で簡易計算。実際は評価額(市場価格の60〜70%)×1.7%なので近似値
  • 譲渡所得税は居住用財産の3,000万円特別控除を適用。所有10年超は軽減税率14.21%(6,000万まで)
  • 家賃は固定で計算(実際には更新時に上下する可能性あり)。更新料は月額家賃1ヶ月分、2年に1回想定
  • 修繕積立金は経年で増額されるのが一般的(築20年以降は月額が倍になることも)
  • 変動金利想定。固定金利なら現行1.8%前後で、10年利息が約3倍になり持家不利が拡大する
  • このシミュレーションは一般的なケースの試算であり、個別の物件・税制・金利状況により結果は変わります

🎯 結論

そもそも個人で1億円フルレバは現実的に厳しい: 年収倍率8倍・返済負担率35%の制約で、 所得約1,250万円以上ないと届かない。所得が低めの個人事業主は最初から1億円物件の選択肢に入れにくい。 「シミュレーション上は持家有利」でも、銀行が貸してくれるかは別問題。

1億円という値付けと家賃15万円のミスマッチ: 月15万円の家賃はキャップレート7%(築古・旧耐震)で 2,571万円前後の物件価値。1億円との比較は不公平で、 判定式は当然「賃貸有利」になりがち。

家賃から逆算した妥当価格(2,500〜3,000万円)で買うなら、ローン返済額が大幅に下がり、 ほぼ確実に持家有利。これは家賃15万円のキャッシュアウトが10年で1,860万円積み上がる事実から自明。

法人契約で家賃が半分損金になっている場合、実質負担は7.5万円相当に下がるため 賃貸の経済性がさらに改善。「個人で買う」より「法人社宅のまま住み続ける」or「法人で買う」の方が有利な可能性。 ただし法人購入は出口課税・豪華社宅判定の落とし穴があるため、税理士に相談を。

1億円物件を個人で買う合理性は、台東区が今後10年も年率+2%以上で 値上がりし続けるシナリオへの確信度次第。過去5年トレンド(+4.4%)が続けばプラス、横ばいなら微妙。