PANWPalo Alto Networks
直近8四半期 決算ビート × 株価モニタリング
株価推移 × 売上ビート率
点の色: 大幅ビート 軽ビート 軽ミス 大幅ミス。点の大きさはビート率の絶対値。 / 末尾「直近」は2026-09-04時点の終値(決算とは独立)。
売上・EPS 推移:実績 vs アナリスト予想
Palo Alto Networks(PANW)はネットワーク、クラウド、セキュリティ運用(SOC)、そして買収で加えたIDセキュリティと可観測性までを1社で束ねるサイバーセキュリティ企業。単品を売り切るのではなく、顧客が複数ベンダーから寄せ集めたセキュリティ製品を自社プラットフォームへ集約させる「platformization(プラットフォーム化)」を戦略の軸に置く。このため会社が主戦場に据える指標は総売上ではなく Next-Generation Security ARR(NGS ARR=ハードウェアと旧来型サブスク・サポートを除いた次世代製品の年間経常収益)で、ガイダンスも売上・非GAAP EPS と並んで NGS ARR と RPO で示され、FY30 に NGS ARR $20B という長期目標を掲げる。AI は3経路で業績に効く。①AI を使った攻撃が増えることでセキュリティ予算そのものが押し上げられる。②企業が自社の AI 導入を守るための新市場(AI セキュリティ)が立ち上がる。③AI エージェントを「人間と同じ管理対象の ID」として扱う必要が生じ、ID セキュリティ(2026年2月11日に完了した CyberArk 買収)と可観測性(2025年11月発表・$3.35B の Chronosphere 買収)が AI 基盤の運用に必須の層として取り込まれる。会計年度は7月末締め。FY26(2026年7月期)は総売上 $11.48B・+24%、NGS ARR $9.10B・+63% で着地したが、後半2四半期の加速には買収2社の寄与が大きく含まれる(FY26Q3 は総売上 $3,002M のうち $388M、NGS ARR $8.1B のうち $1.6B が両社分)。AI の業績寄与が半導体・ハードウェアからソフトウェア/サイバーセキュリティへ波及していく過程を、売上よりも先に動く ARR の傾きで観測するために追加した銘柄。
| 項目 | FY25Q1 2024/11/20 | FY25Q2 2025/2/13 | FY25Q3 2025/5/20 | FY25Q4 2025/8/18 | FY26Q1 2025/11/19 | FY26Q2 2026/2/17 | FY26Q3 2026/6/2 | FY26Q4 2026/9/1 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 重要イベント | NGS ARR は +40% の $4.5B。売上・EPS とも小幅ビートで、同時に2対1の株式分割を発表し翌日は +1.2% | EPS $0.81 で +3.8% のビート。次Qガイドもコンセンサスをわずかに上回ったが反応は薄く -0.9% | NGS ARR が初めて $5B を超える。ただし非GAAP粗利率 76% が予想 77.2% を 120bp 下回り -6.8% | EPS $0.95 で +8.0% のビート、5年連続の「Rule of 50」。次Q EPS ガイドも +4.7% 上回り、7月末の CyberArk 買収発表で2日で1割下げた分を +3.1% 買い戻す | 実績は売上・EPS ともビート。同日に Chronosphere($3.35B)の買収を発表したが、次Qガイドがほぼインラインにとどまり -7.4% | CyberArk 完了の6日後の決算。EPS $1.03 は8四半期で最大の +9.6% ビートだが、次Q EPS ガイド $0.79 がコンセンサス $0.92 を -14% 下回り -6.8% | 買収2社の連結開始で総売上 +31%・NGS ARR +60%(うち売上 $388M・ARR $1.6B が両社分)。時間外は一時 +12% だったが、5月に株価が6割上げた後で翌日は -5.6% | 実績・次Qガイド・FY27通年ガイドのすべてがコンセンサス超え。それでも調整後FCFマージンのFY27ガイドが前年実績を下回り、粗利率も未達で -9.3% |
| 売上 ($) | ||||||||
| 売上実績 | $2,138.8 M | $2,257.4 M | $2,289.0 M | $2,536.3 M | $2,474 M | $2,594 M | $3,002 M | $3,410 M |
| アナリスト予想 | $2,120 M | $2,240 M | $2,280 M | $2,500 M | $2,460 M | $2,580 M | $2,940 M | $3,350 M |
| ビート率 | +0.9% | +0.8% | +0.4% | +1.5% | +0.6% | +0.5% | +2.1% | +1.8% |
| YoY成長率 | +13.9% | +14.3% | +15.3% | +15.8% | +15.7% | +14.9% | +31.1% | +34.5% |
| EPS ($, 非GAAP 希薄化後・分割調整後) | ||||||||
| EPS実績 | $0.78 | $0.81 | $0.80 | $0.95 | $0.93 | $1.03 | $0.85 | $1.02 |
| アナリスト予想 | $0.74 | $0.78 | $0.77 | $0.88 | $0.89 | $0.94 | $0.79〜0.81 | $0.98 |
| ビート率 | +5.4% | +3.8% | +3.9% | +8.0% | +4.5% | +9.6% | +6.3% | +4.1% |
| 次Q会社ガイド (midpoint: 売上 $M / 非GAAP EPS $) | ||||||||
| 会社ガイド | $2,235 M | $2,275 M | $2,500 M | $2,460 M | $2,580 M | $2,943 M | $3,350 M | $3,305 M |
| アナリスト予想 | $2,230 M | $2,270 M | $2,500 M | $2,430 M | $2,580 M | $2,600 M | $3,280 M | $3,220 M |
| 上振れ率 | +0.2% | +0.2% | 0.0% | +1.2% | 0.0% | +13.2% | +2.1% | +2.6% |
| 次Q EPSガイド | ||||||||
| 会社ガイド | $0.775 | $0.765 | $0.88 | $0.89 | $0.94 | $0.79 | $0.97 | $0.97 |
| アナリスト予想 | $0.775 | $0.76 | $0.86〜0.87 | $0.85 | $0.93 | $0.92 | $0.94 | $0.93 |
| 上振れ率 | 0.0% | +0.7% | +1.7% | +4.7% | +1.1% | -14.1% | +3.2% | +4.3% |
| 株価反応 ($, 分割調整後) | ||||||||
| 発表日終値 | $196.45 | $201.88 | $194.48 | $176.17 | $199.90 | $163.50 | $297.18 | $362.09 |
| 翌日終値 | $198.85 | $200.03 | $181.26 | $181.56 | $185.07 | $152.35 | $280.43 | $328.48 |
| 騰落率 | +1.2% | -0.9% | -6.8% | +3.1% | -7.4% | -6.8% | -5.6% | -9.3% |
注: 実績値は全件 SEC EDGAR の 8-K Exhibit 99.1(CIK 1327567)から転記した。売上は総売上(product + subscription and support)、EPS は非GAAP 希薄化後。ガイダンスの列は会社が示したレンジの中央値で、売上と非GAAP EPS の2本を載せている(会社はこのほかに NGS ARR と RPO のガイダンスも出しており、そちらは KPI チャート側で扱う)。
注: Palo Alto Networks は2対1の株式分割を実施した(基準日2024年12月12日、12月13日引け後に1株につき1株を追加交付、分割後ベースでの取引開始は2024年12月16日)。8四半期のうち FY25Q1(2024年11月20日発表)だけがこれより前なので、EPS の実績・コンセンサス・次Qガイドと株価をすべて実値÷2の分割調整後に統一している(会社公表の FY25Q1 非GAAP EPS は $1.56、当時のコンセンサスは $1.48、次Qガイドは $1.54〜1.56、当時のガイド・コンセンサスは $1.55)。売上は分割の影響を受けない。ビート率・YoY・騰落率も率なので分割の影響を受けない。
注: FY26Q3(2026年6月2日発表)から CyberArk(2026年2月11日に買収完了)と Chronosphere(2026年1月29日に完了)が連結に入っている。会社開示では FY26Q3 の総売上 $3,002M のうち $388M、NGS ARR $8.1B のうち $1.6B、RPO $18.4B のうち $1.8B が両社分。したがって FY26Q3・FY26Q4 の YoY(+31.1%・+34.5%)はオーガニック成長率ではない。FY26Q3 をオーガニックだけで見ると売上 +14.2%、NGS ARR +27.5% で、それ以前の水準の延長線上にある。会社は FY26Q4 からオーガニック成長率の開示をやめている。
注: FY26Q2(2026年2月17日発表)の次Qガイドの行だけは、会社ガイドとコンセンサスの前提が揃っていない。会社が示した FY26Q3 ガイドは CyberArk と Chronosphere を含む一方、当時のコンセンサス(売上 $2,600M / EPS $0.92)はまだ買収を織り込んでいなかった。売上ガイドの +13.2% は需要の強さではなく連結効果、EPS ガイドの -14.1% は希薄化と統合コストである。他の7四半期は同一基準で比較できる。
注: 当時(point-in-time)のコンセンサスは、各決算日の前後に出た報道を四半期あたり2ソース以上で突き合わせて採用した(CNBC/LSEG・Reuters/LSEG・Morningstar/FactSet・Zacks・SiliconANGLE・Benzinga・Investing.com・TipRanks 等)。配信元で割れたものは平均せず多数派を採っている。主な割れ幅は、FY25Q2 の EPS が $0.78(3社)に対し MarketBeat のみ $0.75、FY25Q4 の EPS が $0.88(4社)に対し Investing.com のみ $0.89、FY26Q2 の EPS が $0.94(3社)に対し Zacks のみ $0.93、FY26Q3 の売上が $2,940M(4社)に対し Zacks のみ $2,920M。FY26Q3 の EPS だけは $0.79 / $0.80 / $0.81 の三分裂だったため、表には幅を示しビート率は中央値 $0.80 に対して計算している。
注: 次Qガイドに対する当時のコンセンサスは報道だけでは取りにくいため、報道系とあわせて x-search(Grok 経由の X 検索)を全8四半期で実行し、各決算日の前後±2日の投稿を複数集めて突き合わせたうえで採用した(@garyblack00・@unusual_whales・@The_Real_Fly・@ICoptionstrade・@InvestingDesk・@TipRanks ほか。FactSet / LSEG の引用元が明示された投稿を優先)。8四半期すべてで報道系と X 系の値が一致している。
注: 8四半期すべて引け後(AMC)の発表。発表日終値は発表当日のRTH終値、翌日終値はその翌営業日のRTH終値。全日付を Yahoo Finance と stockanalysis.com の2ソースで照合して完全一致を確認し、2026年9月の3日分は Nasdaq 公式APIでも一致を確認した。いずれも分割調整後の値。時間外の初期反応は翌日終値と方向が違うことがある(FY26Q3 は時間外一時 +12% → 翌日 -5.6%、FY26Q4 は時間外プラス圏 → 翌日 -9.3%)。
注: KPI チャートのうち NGS ARR はプレスリリース記載値で、会社は通常 $0.1B 単位に丸めて開示している(FY26Q4 のみ $9.10B と小数第2位まで)。FY24Q4 より前の四半期はプレスリリースのハイライトに NGS ARR の記載がないため系列に含めていない。platformization と Prisma AIRS 顧客数はプレスリリースではなく決算説明会と決算スライドの開示値。platformization は「顧客数」ではなく「上位5,000社における platformization の件数」で、1社が複数ドメインで重複カウントされる(会社側も説明会で customers と件数の表現が揺れている)。
ハイライト決算: FY26Q4
FY26Q4(2026年9月1日発表)は、ヘッドラインの数字がすべてコンセンサスを超えながら翌日 -9.3% で売られた四半期である。総売上 $3,410M(コンセンサス比 +1.8%)、非GAAP EPS $1.02(同 +4.1%)に加え、NGS ARR $9.10B と RPO $21.2B もガイド上限を超えた。FY27 の通年ガイドも売上 $14.10〜14.20B がコンセンサス $13.79B を、非GAAP EPS $4.16〜4.19 が同 $4.11 を上回っている。つまり「ガイダンス失望」ではない。売られたのは中身のほうである。第一に、調整後フリーキャッシュフロー・マージンの FY27 ガイド 38.0% が FY26 実績 38.4% を初めて下回った(CFO はクラウドホスティング費が売上より速く伸びること、メモリ・ストレージの調達価格上昇がハードウェア側に残ることを理由に挙げている)。第二に、非GAAP粗利率 74.8% が予想を約120bp 下回った。第三に、+23〜24% というヘッドライン成長に対しオーガニックは13%台と推計される一方、会社はこの四半期からオーガニック成長率の開示をやめている。株価は2026年2月の安値から8月末までに約160%上昇しており、決算前日の9月1日にも金利上昇でソフトウェア全体が売られて -5.2%、2日間の下げは -14.0% に達した。それでもセルサイドの目標株価引き下げはゼロで、格下げは1社にとどまる。ARR は AI 需要で加速しているのに、キャッシュと粗利の質が同時に落ちる——この銘柄で観測したいのは、ビート幅ではなくこの乖離がいつ解消するかである。
出典
- PANW FY2026 Q4 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2026 Q3 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2026 Q2 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2026 Q1 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2025 Q4 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2025 Q3 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2025 Q2 8-K Ex-99.1 (SEC)
- PANW FY2025 Q1 8-K Ex-99.1 (SEC・2対1株式分割の発表を含む)
- PANW FY2024 Q4 8-K Ex-99.1 (SEC・NGS ARR 系列の起点)
- PANW FY2026 Q4 決算スライド (IR)
- PANW FY2026 Q3 決算スライド (IR)
- PANW FY2026 Q3 決算説明会トランスクリプト (Seeking Alpha)
- CyberArk 買収完了リリース (PANW IR, 2026-02-11)
- Chronosphere 買収発表リリース (PANW IR, 2025-11-19)
- FY26Q4 決算とコンセンサス (CNBC, 2026-09-01)
- FY26Q3 決算とコンセンサス (CNBC, 2026-06-02)
- FY26Q2 決算とコンセンサス (CNBC, 2026-02-17)
- FY26Q4 後の下落の解説と格下げ (TipRanks, 2026-09)
- FY26Q4 スライド解説・粗利とFCFの論点 (Investing.com, 2026-09)
- PANW 株価ヒストリー (stockanalysis.com)
KPI の推移
ヘッドラインのビート幅ではなく、傾きを見るための図。値は各点に直接書いてある(ホバー不要)。
会社が主戦場に据える指標。$4.2B から9四半期で $9.10B へ。ただし FY26Q3 以降は CyberArk と Chronosphere の連結分(FY26Q3 時点で $1.6B)を含むので、段差の全部がオーガニックではない。
- FY25Q3: 初めて $5B を超えた四半期
- FY26Q3: うち $1.6B は CyberArk・Chronosphere 分
- FY26Q4: 単一四半期の Net New NGS ARR が $1B 近く。CFO はこの中に、大手LLM顧客が他社から Chronosphere へ移行した9桁の一過性寄与が含まれると説明している
+43% から +29% まで5四半期かけて減速したあと、買収の連結で +60%台へ跳ねている。オーガニックだけを見ると FY26Q3 は +27.5%($8.1B − $1.6B を前年 $5.1B と比較)で、減速がほぼ止まった水準。会社は FY27 通年で $11.075〜11.175B(+22〜23%)、FY30 に $20B を掲げる。
- FY26Q1: 減速の底
- FY26Q3: 買収2社の連結開始。オーガニックは +27.5%
企業が自社の AI 導入を守るための製品。4四半期で約30社から800社超へ。CEO が「社史上もっとも速く成長している製品」と呼ぶもので、AI が需要として売上に入ってくる経路をいちばん直接に示す系列。FY26Q4 時点の ARR は $100M 超(スライド表記は約$120M)で、一般提供の開始から1年で $100M を超えた。
- FY26Q3: 前四半期比3倍
- FY26Q4: 前四半期比2倍。ARR は $100M 超
複数製品を1つのプラットフォームへ集約させた案件の累計件数。四半期あたりの純増は FY25Q1 の70件台から FY26Q4 の約220件(過去最高)へ増えている。FY26Q3 の +730 という段差は営業成果ではなく CyberArk 買収で Identity 側の案件が合流したもので、会社申告の純増は110件。FY26Q3 の 2,280 件は NetSec・Cortex 1,650 件と Identity・Observability 630 件の合算である。
- FY26Q3: CyberArk 分が合流。純増は110件
- FY26Q4: 純増 約220件で過去最高