AI格差は、まず体験格差として現れる
AI格差は、まず所得格差としてではなく、体験格差として現れる。最先端モデルを使う人は、毎月のように能力の更新を目撃する。一方で、古い無料版だけを触った人は「AIはまだ大したことがない」と感じ続ける。この認識差が、仕事観、教育観、未来予測を大きく分けていく。
アンドリーセンが言っていること
マーク・アンドリーセンが自分のポッドキャストで次のように話していた。
多くの人は、AIが今日すでに何をできるのかについてさえ、かなり遅れた見方をしていると思います。というのも、彼らは無料で使える古いモデルを使っていたりするからです。たとえば、2年前にChatGPTを試しただけだったり、自分が使っている何かにデフォルトで組み込まれているものを使っていたり、何らかの無料版を使っていたりする。そのため、本当に優れたモデルが何をできるのかを、実感として理解できていないのです。ちなみに、Grokは無料版としては非常に優れていますが、本当に優れたものは有料版です。
この分野に関心がある人にとっては、いくつか試してみる価値が本当にあります。Anthropic、OpenAI、Grok、それからGoogleについては今どうなのかは分かりませんが、高性能版もあります。月額200ドルのサブスクリプションもありますし、それを払える人で、この分野にかなり関心がある人にとっては、最先端のモデルは本当に優れています。
ここで言われているのは、シンプルな話だ。
- 無料版で止まっている人は、AIの現在地を見ていない
- 月額20ドル前後のサブスクでも世界が変わる
- 本気でやるなら月額200ドルの上位プランまで踏み込め
「使ってない人は、使えない」
ここに、絶望的なほどの体験格差が広がっていると思っている。
ChatGPTが世に出てから、もう3年が経つ。3年触っていない人は、おそらく、もう体験として埋まらないものができてしまっている。最先端モデルが何をできるかを、感覚として持てないままになる。
たとえば、いまメモリ需給が逼迫していて、ハイパースケーラーのCapExが止まらない、という話を文章で読むのと、Claude Codeを使って自分のコードベースを丸ごと書き換えてもらうのとでは、需給逼迫の「重さ」がまったく違って感じられる。後者を体験している人は、メモリーカバー(メモリ関連株)でヘッジに動くという発想が自然に出てくる。前者は、そもそも「AIが本当にそこまで使えるなら、メモリも電力も足りなくなるよね」という具体的な絵が描けない。
体験格差は、こうやって投資判断にまで効いてくる。1年前から、もうはっきり効いている。ちょうどClaude Codeが出たのが1年前で、そこから秋にかけてメモリ各社の決算が爆発的に良くなっていった。AIの実需がハードウェアの数字として乗り始めた局面だった。
このタイミングに、AIを「使う側」として乗っていたか、乗っていなかったかで、見える景色がまったく違ったはずだ。
使わない人は、本当に使えない
そして、これがいちばん難しいところなのだが、AIというのは「使わない人は、本当に使えない」ツールだ。
- 触っていないと、何ができるか分からない
- 何ができるか分からないと、何を頼めばいいか分からない
- 何を頼めばいいか分からないから、触っても便利さが分からない
このループに入ると、無料版を1回触って「やっぱり大したことないね」で離脱する。離脱した人は、その後の能力アップデートを目撃しないので、世間の評価とのギャップが広がっていく。
逆に、有料サブスクで毎月触っている人は、月ごとにモデルが賢くなるのを実感している。先月できなかったことが今月できるようになる、という体験を反復している。この反復が、未来予測の確からしさを底上げしていく。
行動: まず月額20ドル、本気でやるなら200ドル
具体的にやるべきことは、たぶんとてもシンプルだ。
- 無料版で止まっているなら、まず有料版(月額20ドル前後)を1つ契約する。Claude / ChatGPT / Grok のどれでもいい
- それを業務の中心に置く。「困ったときに開く」ではなく、「最初に開く」に変える
- 本気でやるなら、200ドルプランまで踏み込む。最先端モデルを業務で常用するのと、たまに無料版を試すのとでは、得られる情報量と判断精度がまったく違う
月額20ドルや200ドルが「高い」と感じるかどうかは、人によって違う。ただ、ここで支払う数百ドルが、その後の数年間の仕事観・投資判断・キャリア選択のすべてに効いてくると考えると、おそらく桁違いに安い投資になる。
AI格差は、まず体験格差として現れる。そして体験格差は、後から所得格差として戻ってくる。