Tailscale + リモートデスクトップ 手順書(サブ機Home → メイン機Pro)
Tailscale + リモートデスクトップ 手順書
別々のネットワークにある2台のWindows PCを、Tailscale(無料のメッシュVPN)でつなぎ、サブ機からメイン機へリモートデスクトップ(RDP)接続するための手順書。
このドキュメントは
published: false(非公開)。Gitでpushしておき、メイン機側でpullして同じ設定を行うためのメモとして使う。
前提・役割の整理
| 役割 | PC | エディション | RDPの向き |
|---|---|---|---|
| クライアント(つなぐ側) | サブ機 | Windows 11 Home ✅確認済 | 発信のみ(Homeで可) |
| ホスト(つながれる側) | メイン機 | Windows 11 Pro(要確認) | 着信を受ける(Pro以上が必須) |
- RDPの「ホスト」になれるのは Pro / Enterprise / Education のみ。Homeはホストになれない。
- 今回は サブ機(Home) → メイン機(Pro) の一方向なので、標準機能で成立する。
- ネットワークは別々(外出先↔自宅など)を想定 → ルーターのポート開放をせず、Tailscaleで安全につなぐ。
STEP 0. メイン機のエディション確認(メイン機で実施)
「Proで合っているはず」だが、念のため確認する。以下のいずれかで確認できる。
方法A: PowerShell(推奨・確実)
(Get-CimInstance Win32_OperatingSystem).Caption
→ 出力に Pro が含まれていればOK(例: Microsoft Windows 11 Pro)。
方法B: 設定画面
設定 → システム → バージョン情報 → 「エディション」欄を確認。
もしメイン機が Home だった場合は、この手順のRDP部分は使えない。その場合は末尾の「代替案」を参照(Chromeリモートデスクトップ等)。
STEP 1. Tailscaleアカウント作成(初回のみ・どちらのPCでも)
- https://tailscale.com/ にアクセス
- 「Get started」からサインアップ
- Google / Microsoft / GitHub などの既存アカウントでログインするのが簡単
- 両方のPCで必ず同じアカウントにログインすること(同じTailnet=同じ仮想ネットワークに入る条件)
STEP 2. 両PCにTailscaleをインストール
メイン機・サブ機の両方で実施する。
インストール
- 公式サイトの「Download」→ Windows版インストーラを取得して実行
- または
winget(管理者PowerShell):
winget install --id Tailscale.Tailscale -e
ログイン
- インストール後、タスクトレイのTailscaleアイコンから「Log in」
- STEP 1で作ったアカウントでログイン
- ブラウザで承認 → デバイスがTailnetに登録される
Tailscale IP / マシン名の確認
各PCで、管理者PowerShellまたはPowerShellから:
tailscale ip -4
→ 100.x.x.x の形式のIPが表示される。メイン機のこのIPをメモしておく(サブ機からの接続先になる)。
管理コンソール(https://login.tailscale.com/admin/machines)でも、両デバイスが「Connected」になっているか確認できる。マシン名(例: main-pc)でも接続可能。
メイン機の常時接続設定(メイン機で実施・重要)
外出先から「いつでも繋ぐ」には、メイン機を常時Tailnetに居させる必要がある。以下2つを設定しないと「繋いだら居ない/数か月後に急に落ちる」が起きる。
① 無人接続モード(Run unattended)を有効化
デフォルトのTailscaleはログインユーザーのコンテキストで動くため、メイン機がロック中・サインアウト・再起動直後だとTailnetに現れないことがある。システムとして常駐させる:
- タスクトレイのTailscaleアイコンを右クリック →
Preferences(設定) →Run unattended(無人モードで実行) にチェック
② キー有効期限を無効化(Disable key expiry)
Tailscaleのデバイス鍵はデフォルトで約180日で失効する。失効するとTailnetから外れ、メイン機の手元で再ログインするまでリモート接続できなくなる。常時ホストのメイン機は失効を止める:
- 管理コンソール(https://login.tailscale.com/admin/machines)→ メイン機の行の
⋯→Disable key expiry
セキュリティ上のトレードオフ: 期限無効化は鍵が半永久的に有効になるということ。信頼できる固定機のみに適用し、メイン機を紛失・廃棄する際は管理コンソールから必ずそのデバイスを削除(Remove)すること。
STEP 3. メイン機でリモートデスクトップを有効化(メイン機で実施)
3-1. RDPをオンにする
設定 → システム → リモート デスクトップ → 「リモート デスクトップ」をオン
(PowerShellで有効化する場合・管理者権限):
# RDPを許可
Set-ItemProperty -Path 'HKLM:\System\CurrentControlSet\Control\Terminal Server' -Name "fDenyTSConnections" -Value 0
# ファイアウォールでRDPを許可
Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "リモート デスクトップ"
3-2. 接続を許可するユーザーの確認
- リモートデスクトップ設定画面の「このPCにリモートでアクセスできるユーザー」を確認
- Microsoftアカウントでサインインしている場合、そのアカウント(メールアドレス+パスワード)で接続する
- ローカルアカウントの場合は、そのユーザー名にパスワードが設定されている必要がある
- ⚠️ 普段PIN・顔認証(Windows Hello)でログインしていても、RDPの資格情報にPINは使えない。 アカウントのパスワードが必要(Microsoftアカウントならメールアドレス+Microsoftアカウントのパスワード)。PINしか覚えていない場合は、事前にパスワードを確認・リセットしておく。
3-3. スリープ対策(重要)
スリープ中は接続を受けられない。メイン機で:
設定 → システム → 電源 → 「スリープ」を 「なし」 もしくは十分長い時間に設定。
(ノートPCの場合は「電源接続時」の設定を変更)
3-4. 再起動・BitLockerの注意(該当する場合)
- Windows Updateなどで再起動が入ると、STEP 2の「Run unattended」が無効だとサインインするまでTailnetに戻らない。無人モードを必ず有効にしておく。
- BitLockerで起動時にPIN・パスワード・USBキーの入力を求める構成(プリブート認証)だと、再起動後にWindows起動前の画面で止まり、手元で入力するまでリモート接続できない。常時リモート前提なら、BitLockerはTPMによる自動解除(起動時入力なし)で運用する。
- BIOS/UEFI設定変更やハード構成変更でBitLocker回復キー画面に入った場合も同様に現地対応が必要。
STEP 4. サブ機からメイン機へ接続(サブ機で実施)
前提: 両PCでTailscaleが起動・ログイン済み(タスクトレイのアイコンが接続状態)。
- サブ機で 「リモート デスクトップ接続」 を起動
- スタートメニューで
リモート デスクトップ接続を検索、またはWin + R→mstsc→ Enter
- スタートメニューで
- 「コンピューター」欄に メイン機のTailscale IP(
100.x.x.x) を入力- マシン名(例:
main-pc)でも可
- マシン名(例:
- 「接続」をクリック
- メイン機のユーザー名・パスワードを入力
- Microsoftアカウントの場合はそのメールアドレスとパスワード
- 証明書の警告が出たら内容を確認して「はい」
接続できれば、メイン機のデスクトップがサブ機に表示される。
STEP 5. 接続確認・トラブルシュート
疎通確認(サブ機から)
# TailscaleのIP宛にping(メイン機のIPに置き換え)
ping 100.x.x.x
# RDPポート3389が開いているか確認
Test-NetConnection 100.x.x.x -Port 3389
TcpTestSucceeded : True ならRDPポートまで到達している。
よくあるエラーと対処
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| Tailscale IPにpingが通らない | 相手PCがスリープ / Tailscale未起動 | メイン機を起動しTailscaleをログイン状態にする |
| ping OKだがRDP接続不可 | RDP未有効 / ファイアウォール | STEP 3-1を再確認。Test-NetConnection ... -Port 3389 |
| 資格情報が拒否される | ユーザー名/パスワード誤り、PINを入力している | Microsoftアカウントはメール全体を入力。PINでなくパスワードを使う(STEP 3-2) |
| スリープで切れる | 電源設定 | STEP 3-3のスリープ無効化 |
| マシン名で繋がらない | 名前解決 | Tailscale IP(100.x.x.x)で直接指定する |
| 再起動後にメイン機がTailnetに出てこない | Run unattended 未設定 / BitLockerプリブートで停止 | STEP 2の無人モード有効化、STEP 3-4を確認 |
| 数か月使ったら急に接続不能 | Tailscaleキーの失効(180日) | メイン機で再ログイン。再発防止にDisable key expiry(STEP 2) |
運用メモ
- セキュリティ: Tailscaleは自分のアカウント内デバイス間だけをつなぐWireGuardベースのVPN。ルーターのポート開放が不要なので、RDPを直接インターネットに晒すより安全。
- 常時接続: メイン機は「電源ON+スリープ無効+Tailscaleが無人モードで常駐+キー有効期限の無効化」の4条件を維持する。外出先からいつでも繋ぐにはこの4点が要る(STEP 2・STEP 3-3)。
- さらに絞りたい場合: Tailscaleの「ACL」でRDP(3389)をサブ機からのみ許可する設定も可能(任意)。
代替案(メイン機がHomeだった場合など)
RDPが使えない/使いたくない場合の選択肢:
- Chromeリモートデスクトップ: 両方Homeでも可。無料・設定が最も簡単。Googleアカウントだけで完結。
- RustDesk / AnyDesk / Parsec: 用途に応じて。Parsecは高fps用途(動画・作業)に強い。
Tailscale + 標準RDPは「Windows純正・追加ソフト最小・安全」のバランスが良いので、メイン機がProである今回は本手順を推奨。
チェックリスト
- メイン機がPro以上であることを確認(STEP 0)
- Tailscaleアカウント作成(STEP 1)
- メイン機にTailscaleインストール&ログイン(STEP 2)
- サブ機にTailscaleインストール&ログイン(STEP 2)
- メイン機のTailscale IPをメモ(STEP 2)
- メイン機で Run unattended(無人モード)を有効化(STEP 2)
- メイン機のキー有効期限を無効化(Disable key expiry)(STEP 2)
- メイン機でRDP有効化(STEP 3-1)
- 接続ユーザー確認・PINでなくパスワードを準備(STEP 3-2)
- メイン機のスリープ無効化(STEP 3-3)
- BitLockerプリブート認証の有無を確認(該当時のみ・STEP 3-4)
- サブ機からmstscで接続成功(STEP 4)