1Passwordの値上げを機にBitwardenへ移行する — 手順・料金・評判まとめ
1Passwordの値上げを機にBitwardenへ移行する — 手順・料金・評判まとめ
1Passwordが2026年3月に個人プランを年35.88ドルから47.88ドルへ値上げした。App Store経由の円建て課金では年約4,000円→約8,000円と、ほぼ2倍になる。移行先候補としてBitwardenを調べた結論を先に書く。
- 移行作業そのものは「1Passwordからエクスポート→Bitwardenにインポート」だけで済み、30分もかからない。ただしパスキーとファイル添付は自動では持ち越せない
- 料金はPremiumが年19.80ドルで、値上げ後の1Password個人プラン(年47.88ドル)の半額以下。無料プランだけでも登録件数・同期デバイス数は無制限で、常用に耐える
- 世の中の評価は「セキュリティと透明性は一級、使い勝手は1Passwordに一歩譲る」でほぼ固まっている
以下、値上げの経緯、Bitwardenの概要、料金、移行手順、評判の順にまとめる。
前提: 1Passwordの値上げ
1Passwordは2026年3月27日から個人プランを年35.88ドル→47.88ドル(約33%増)、ファミリープランを年59.88ドル→71.88ドルに値上げした。理由は「イノベーションへの継続投資と世界水準のセキュリティ維持のため」と説明されている。国内正規代理店のソースネクストも、2026年5月13日から3年版サブスクリプションの価格を改定した。
日本のユーザーにとって深刻なのは、App Store経由のアプリ内課金(円建て)では個人プランが年約4,000円→約8,000円と、ほぼ2倍になることだ。ドル建ての33%増に為替の反映が重なった結果で、既存ユーザーにも「次回更新から新価格」の通知が届いている(更新月によっては7,000円前後との報告もある)。値上げはこれで終わりではなく、法人向けBusinessプランも2026年7月から1ユーザー月7.99ドル→8.99ドルに改定される。
一方で押さえておきたいのは、Bitwarden側も2026年1月にPremiumを年9.99ドル→19.80ドルへ値上げしたことだ。Bitwardenにとって10年間で初の値上げで、既存Premiumユーザーには更新初年度25%の割引が用意された。両方とも値上げした後でも、価格差は年28ドルほど残る。
Bitwardenとは
Bitwardenはオープンソースのパスワードマネージャーだ。1Passwordとの違いでいちばん大きいのはこの点で、クライアントアプリ・サーバー・ブラウザ拡張までコード全体がGitHubで公開されている。セキュリティ企業Cure53などによる第三者監査を毎年受けており、これまで漏えい事故を起こしたことはない。暗号化はAES-256で、サーバー側からは中身を読めないゼロ知識構成。この基本設計は1Passwordと同等だ。
もうひとつの特徴はセルフホストで、自前のサーバーにBitwardenを立てて、クラウドに預けない運用もできる。ここまでやるのは技術者向けだが、「その気になれば自分で握れる」逃げ道の存在自体が評価されている。
料金プラン
2026年7月時点の公式料金は次のとおり(ドル建て決済)。
個人向け
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 登録件数・同期デバイス数無制限。コア機能はすべて使える |
| Premium | 月1.65ドル(年払い19.80ドル) | 2段階認証コード(TOTP)の生成、ファイル添付、緊急アクセス、セキュリティレポート |
| Families | 月3.99ドル(年払い47.88ドル) | Premium相当のアカウント6人分+家族間の共有無制限 |
法人向け
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Teams | 1ユーザー月4ドル | 認証情報の共有、監査ログ、ディレクトリ同期 |
| Enterprise | 1ユーザー月6ドル | SSO連携、アカウントリカバリー、細かいアクセス制御、セルフホスト対応 |
1Passwordとの比較
| 用途 | 1Password(値上げ後) | Bitwarden |
|---|---|---|
| 個人 | 年47.88ドル | 無料 or 年19.80ドル |
| 家族 | 年71.88ドル | 年47.88ドル(6人) |
1Passwordに無料プランはないので、「まず無料で全部移して、TOTP生成や添付が欲しくなったらPremiumにする」という段階的な乗り換えができるのはBitwardenだけだ。
移行手順(1Password → Bitwarden)
公式ヘルプに沿った手順はこうなる。
1. Bitwardenのアカウントを作る
Bitwarden公式サイトでアカウントを作成する。ここで決めるマスターパスワードがすべての鍵になるので、長くて覚えられるパスフレーズにする。あわせて2段階認証(無料プランでも認証アプリ・メールが使える)を設定しておく。
2. 1Passwordからエクスポートする
1Passwordのデスクトップアプリで「ファイル → エクスポート」を選ぶ。形式は次の3つから選べるが、.1pux形式(1Password 8.5以上)を推奨する。CSVより多くの項目をそのまま持ち越せるからだ。
.1pux— 推奨。1Password 8.5以上.1pif— 旧形式.csv— 最終手段。macOSでCSVを選ぶ場合は「すべてのフィールド」と「列ラベルを含める」に必ずチェックを入れる
3. Bitwardenにインポートする
BitwardenのWebアプリ(ブラウザ版)にログインし、「ツール → データのインポート」でファイル形式に「1Password (1pux)」を選び、エクスポートしたファイルをアップロードする。
このとき1点だけ注意がある。インポートは重複チェックをしない。同じファイルを2回インポートすると全項目が二重になるので、やり直すときは先に取り込んだ分を消してから行う。
4. 中身を突き合わせる
1Password側の登録件数とBitwarden側の件数を突き合わせ、主要なアカウント(銀行・メール・仕事)に実際にログインできるかを数件確認する。
5. エクスポートファイルを完全に削除する
エクスポートしたファイルは暗号化されていない。全パスワードが平文で入った状態なので、インポートが済んだら即削除し、ゴミ箱からも完全に消す。この手順は公式ヘルプでも明記されている。
6. 拡張とアプリを入れ替える
ブラウザ拡張とモバイルアプリをBitwardenに入れ替え、1Password側の自動入力をオフにする。しばらくは1Passwordを解約せずに並走させ、「Bitwardenに入っていなかった」項目が出たときの保険にする。問題がなければ更新日前に1Passwordを解約する。
自動で移行できないもの
ここがこの移行のいちばんの落とし穴なので、独立して書いておく。
- パスキー:
.1puxエクスポートには含まれない。各サービスで再登録するのが確実な道。iOS 26以降はCredential Exchange(パスキーを含む認証情報をアプリ間で直接受け渡す業界標準の仕組み)でパスキーごと移行できた報告があるが、まだ環境を選ぶ - ファイル添付: 自動では移らない。1つずつ手動でアップロードし直す。しかもBitwardenの添付はPremium機能
- 2段階認証コード(TOTP): シード値自体は
.1pux経由で移るが、Bitwarden上でコードを生成させるにはPremiumが要る。無料で使い続けるなら、認証コードは別アプリ(Google Authenticator等)に分離する手もある
世の中の評価
高く評価されている点
2026年の比較レビュー(Security.org、Cybernews、CyberInsiderなど)を横断すると、評価軸はだいたい共通している。
- 透明性: コードが全部公開されていて誰でも検証できる。監査結果や認証の一覧ページも公開されている
- 無料プランの充実: 登録無制限・デバイス無制限の無料プランは、パスワードマネージャーの中でいちばん条件がいい
- 価格: 有料にしても1Passwordの半額以下
- 実績: 漏えい事故ゼロ。LastPassの流出事件(2022年)以降、乗り換え先として名前が挙がり続けている
弱いとされる点
- 使い勝手: 自動入力の反応や検索のしやすさは1Passwordのほうが磨かれている、という評価が英語圏・日本語圏とも多数派。日本語のレビューでも「自動入力してくれない場面がある」「検索が使いにくい」という声がある
- Secret Keyに相当する仕組みがない: 1Passwordはマスターパスワードに加えて、デバイスにしか保存されない128ビットのSecret Keyを要求する。Bitwardenはマスターパスワード+2段階認証の構成なので、マスターパスワードを弱くすると防御が薄くなる。移行するなら強いパスフレーズと2段階認証をセットで
- 添付・TOTPが有料: 無料プランからの差分がここに集中している
総評
複数の2026年比較記事の結論は「コストと透明性ならBitwarden、UIの磨きと利便性なら1Password。どちらも安全性は一級で、どちらを選んでも失敗ではない」に収れんしている。値上げ後の1Passwordに年47.88ドルを払い続ける価値を感じないなら、Bitwardenは移行先の第一候補になる。
どちらを選ぶかの目安
- Bitwardenに移る: 年間コストを抑えたい。オープンソースの検証可能性に価値を置く。まず無料で試したい。パスキーの再登録とUIの粗さを許容できる
- 1Passwordに残る: 自動入力・検索・アプリの完成度を最優先する。Secret Keyの二重防御を手放したくない。パスキーを多数登録済みで再登録の手間が重い
判断材料をひとつ挙げると、パスキーの登録数が少ないうちに移るほど移行は軽い。パスキー移行の標準化(Credential Exchange)は進行中なので、待てば楽になる可能性もあるが、値上げ後の料金は待っている間も発生する。
出典
- Import from 1Password — Bitwarden公式ヘルプ
- Bitwarden料金プラン — 公式
- Bitwarden launches enhanced premium plan — 公式ブログ(2026年1月の価格改定)
- 1Password個人プランを年35.88ドルから47.88ドルへ値上げ — AAPL Ch.
- 1Password、3月27日から値上げ — ゴリミー
- 1Passwordが突然2倍に値上げ(App Store経由・年約4,000円→約8,000円) — note
- 1Password Business値上げ確定|2026年7月改定 — ONLYPASS
- Bitwarden vs. 1Password — Security.org
- 1Password vs Bitwarden 2026 — Cybernews
- 1Password vs Bitwarden: 8 Tests — CyberInsider
- iOS 26のCredential Exchangeでパスキーごと移行した報告 — 1Password Community
- 無料パスワード管理アプリ「Bitwarden」の使い方 — lifehacktivist(日本語レビュー)